雷兎

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4/1/2024, 10:58:00 AM

エイプリルフール――――

エイプリルフールと言えば、過去に嫌な思い出がありましてね。まだ若かった僕はエイプリルフールの意味をよく理解していませんでした。
一日全体を通して、嘘を付けるエイプリルフールと称されていると思ってました。でもね、その方が僕にとっては都合が良かったのかもしれません。

15年前の4月1日――――

明日は奏ちゃんと僕の付き合って3周年記念日だ。
折角高級レストランを予約して、おめかしする為にスーツも購入した。かなり気合いの入った準備をしたつもりなので、奏ちゃんに恥をかかせる訳にはいかない。普段貧乏な僕からしたら痛い出費だが、大切な彼女との記念日くらい奮発しなければ男が廃る。

明日が楽しみだ、きっと奏ちゃんも喜んでくれるはずだ。彼女にはこの事を伝えていないが、それなりにお洒落をしてきてくれるだろう。
いつもデートをする時は、とっても可愛いお洋服を着て現れるからね。あの姿はお姫様そのものだ。

なんて現を抜かしていると、一本の電話が鳴り響く。
僕は急いで家の電話を取り、受話器に耳を当てた。

「奏の母親です、奏が事故にあって緊急搬送されました。搬送先は██病院なので来れるなら来てほしいです」

とだけ告げられ電話は切れた。
僕は呆気に取られ、ただただ口を餌を求める鯉の様にパクパクする事しか出来ずにいた。
今日はエイプリルフール……
きっとこれは嘘だ、夢だ、幻だ。
そうじゃなければ彼女は本当に――――

3/31/2024, 11:59:36 AM

幸せに――――

幸せになりたい、幸せが一番、幸福こそが生きる意味、生きてる事が幸せだ————

嗚呼煩わしい。
そんな言葉等、遠の昔に聞き飽きた。
どれだけ幸せを願っても天は人の声に耳を傾けない。
どれだけどれだけどれだけ願っても、人の声なんてモノは天には届かない。
それなのに何故人間は救いを求める。
私には理解が出来ない……いや、理解したら負けだ。

しかしこれを人は頑固と呼ぶらしい。
だが、頑固なんてモンは好きでなる訳じゃない。
成りたくて成る性格じゃない。

《成りたくないからこそ成ってしまった成れの果て》

そう私は考えている。
皮肉な事に今の姿は、私にとって不幸せだ。
幸せは望んで手に入れるモノじゃないのかもしれない。がめつく生きたとしても、手に入れられる代物じゃなかったのかもしれない。

だが人間は、人生の終点にて、一つだけ手に入れられる代物がある。
そうだ、それこそが私が心から望むモノ。

《終わりの幸》

という訳だ。

3/30/2024, 9:05:21 PM

何気ないふり……
今一度意味を知ろうと思い、僕はスマホを手に取る。
現代において疑問があれば、数秒の作業で答えが得られる……そんな便利な世の中だ。
実際、こんな程度の思考ですら巡らせる猶予を僕に与えてくれない程に。

さて、漸くスマホ画面に目を向ける。
検索結果のトップに望んだ回答が出るシステムは相変わらず助かっている。

「何気ないふり」
・何気ない素振り
・意識的にしているもの、していないもの

成程、意識的……か。
別の言葉に置き換えると、見て見ぬふりや隠し事をして正常に振舞っているとも捉えられる。
言葉としての範囲が広いからこそ、文章の前後で意図を汲み取る必要のある言葉だ。
意味を理解して初めて僕の過去を振り返ると、何気ないふりをしてきた瞬間って多いなと感じる。
現実から目を背ける事も、業務を先延ばしにして余裕ぶる行為も、何もかも全てが何気ないふりで作ってきた人生だったりするのかもしれない。

そんな人生から僕は――
一旦何気ないふりをします。

3/29/2024, 5:25:41 PM

ハッピーエンドとは__
幸せな終わりである。
しかしそれが真実とは限らない。

成る可くして成ったハッピーエンドこそ
トゥルーエンドに仕上げよう。
真実のエンディングにしてしまえば
君が望んだ世界になるのだから。