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1/14/2025, 1:18:05 AM



『まだ見ぬ景色』

私はいつもの自分のこだわりやルーティンを守るのが好きな人間だ。

そうするとスムーズに物事が進む気がするし、何より達成感があり自分自身が安心できるから。

みんな大なり小なり、こだわりを持って自分が納得できる方法で生活しているんだと思う。

でもある日、曲を聞いているとこんな歌詞があった。

『いつもと同じ朝食を食べて、同じ電車に乗り、同じ風景を見ながら通勤していると君と目が合い、同じだった筈の日常に強い光が差した。』という歌詞だった。

目が合っただけで?
ひねくれた自分は、よほどの美男か美女だっただけだろ。と思った。

そんな事を思ったくせに、曲のメロディーが好みなのもあり、自分もそんな感情を知ってみたくなった。

いつも左側に寄って歩く道、いつも選ぶミルクティー、いつも渡る信号、いつも立ち寄る時間。

大した日常を送る自分ではないから、こんな事しか変えられないけれど、いつもと逆を選ぶというルールで一日生活してみることにした。

右側にあったいつも閉まっているように見えたお店も近くを歩けば、実はもう開店していたんだな。

なにやら茶葉が高級だと書いてあるミルクティーを選んでみると、甘味が少なく大人の味わいだ。
自分は甘ったるいのが好きな子供舌なのだと知る。

こっちの信号で渡るとレコード屋の前を通るので、昔の曲が流れていて、気になるので帰ってからこの曲名を調べようと頑張ってメロディーや歌詞を聴きながら信号を渡る。

なんだか寄るのが嫌だなと思っていったお店も行く時間を変えれば、お店の雰囲気も変わり、店員さんに親戚に教えてもらえた。

あまり普段から人の目を見れない自分だけれど、その時に見た新鮮な光景は、あの日聴いた歌詞のように光が差し込んだ気がした。

まだ見ぬ美しい景色だとか、キラキラした世界だとか、そんな大層なものでなくても、自分がほんの少し変われば、いくらでもまだ見ぬ景色が見られるんだと気づいた日もまた、まだ見ぬ景色だ。

1/13/2025, 12:27:30 AM

『あの夢の続きを』

子供の頃は夢を見るのが楽しくて好きだった。

怖い夢を見るのは怖かったけれど、それもこんな怖い物語があるんだ!という発見があり好きだった。

寝る前に枕の下に好きな絵本を置いたら、その絵本の夢が見れると聞いてやってみると、本当に夢で見たりして嬉しかった。

大人になると夢の種類も増えて、小学校で話した事もないような同級生や、好きだったような気がするあの子や、名前も思い出せないような場所を夢で見る。

実際にした心底嫌な思い出も、いなくなったあの人など起きると泣いてる事なんてあったりもする。

夢とは実際に経験した事を脳が処理し、記憶を整えている時に確認として呼び起こされるものが夢らしい。

それならば、夢みたいな想像も、自分では思いつかないストーリーや人物だって、自分が作り上げてきた記憶のパーツだったんだ。

夢を見ながら寝言を言ってそのまま現実でも続きを喋ってしまうように、自分の経験を元に夢みたいなストーリーを追ったっていい。

子供の頃に見たワクワクした気持ち、この道を進むとどこに着くんだろうとドキドキする気持ち、それを思い出しながら続きを描いたっていいんだ。

夢みたいな話と笑われても、夢だって現実なんだ。

あの夢の続きを。

1/12/2025, 1:15:13 AM

『あたたかいね』

冬の朝は寒くて苦手だ。

まだ眠りたい体を無理矢理起こしてカーテンを開けて、顔を洗いに洗面所へ。

リビングより冷え切っている洗面所から早く出たくて、急いで用意を済ます。

お湯を沸かすポットをONにして、寒い足を温める為にヒーターをセットする。

暖かいココアを飲みながら外はもっと寒いんだろうなとか考えていると家族が起きてきた。

昨日何時に寝た?
朝ごはんは何にする?
寝癖凄いね。

そんな事を話していると、寒いのを忘れていた。

ヒーターと暖かいココアで暖まる体と、
人と話す何気ない会話で温まる心を感じた朝。

あたたかいね。