Haru

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9/23/2025, 8:43:53 AM

 僕の名前はクラウディ。最近6歳になったんだ。趣味はキャンプ!いきものと宇宙が大好きで、よくお父さんと近くの森でキャンプをしてるよ。森の中から見上げた夜空は星で溢れててすっごく綺麗なんだ!またキャンプがしたいな。

 4歳の頃両親が離婚して、今はお父さんと一緒に暮らしてる。理由は知らないけどクラウディっていう名前はお母さんがつけてくれたみたい。息子に”くもってる“って名付けちゃうのはすごい感性だよね笑
 でもやっぱり会ってみたいって思うことはあるよ。お母さんだから。

 アメリカでは6歳の子供は初等学校に行かないといけないんだ。今日はその初日。お家にいたいって言ったらお父さん困った顔してたよ。仕方ないから今日は行ってあげるんだ。ちょっとだけ寂しいけど、校門までお父さんがついてきてくれたから頑張ってみる!校舎に入るまで何度も振り返るけど、お父さんはずっと手を振ってくれたよ。

 自分の教室を見つけた。ガラス越しに中を覗くと、おんなじくらいの年の子がたくさんいる。初日なのにもうみんな仲良しみたい。僕が扉を開けたらみんなの視線が一斉に僕を刺してきた。ちょっと俯いちゃう。   
 逃げるように自分の席に座ってちらっと隣を確認する。女の子だ。読書してるみたい。......話しかけてみようか。
 「......ねえねえ」
 「......どちらさま?」
 僕が声をかけると女の子は本から視線をうつす。僕の存在を捉えて、怪訝そうに眉を寄せた。
 「初めまして。僕、......」
 そこで詰まる。僕の名前、バカにされないかな.......女の子は不自然に止まった僕の自己紹介にさらに眉を寄せた。
 「どうしたの?私はアンナよ。あなたは?」
 名前を聞かれて口籠もる。逃げ道が塞がれるような感覚だ......でも言わないといけない。腹を括って言うしかない。
 「僕の名前は、クラウディだよ」
 「へえ......クラウディ、いい名前じゃない」
 「変......じゃない?」
 「変って......親がつけてくれた大切な名前でしょ?変なわけないわ」
 アンナは僕の言ってることが変だと笑う。その声につられて自然と僕も嬉しくなった。
 「そっか、ありがとうアンナ」
 「いいよ。これからよろしくねクラウディ」
 嬉しくて顔が熱くなるのがわかった。親の大切な名前。僕は自分の名前をバカにされるかどうかしか考えてなくて、そんなことも忘れてた。大切な親の大切な名前、それだけじゃないか。
 家は最高だけど、学校も悪いもんじゃないな。友達もできそうだし。それもとってもいい友達。お父さんに自慢してやろう。

2/18/2023, 11:40:36 AM


長い長い髪をとかしてゆく
腰まで伸びた彼女の焦茶の髪
丁寧にやさしく痛めないように
「今日はなかなか通りにくいな...」
おっとごめんよ。もっと優しくね
しっかりじっくり30分ほど
彼女の髪にそっと手を通して、上から下へとほぐしてゆく。
終わったら少し休憩。やっぱり疲れちゃうからね
それも終わったら後は寝るだけ
二人で手を繋いで寝室に行く
名残惜しいけど僕は机の上で君の手を離すんだ
彼氏を連れてきたら嫉妬しちゃうかもしれないけど、いつでも一緒にいるからね

それじゃあまた明日
おやすみ



2/17/2023, 10:34:04 AM


中学高校どっちも、2年生の時にハマったものは一生ものになるらしい

ゲームとか部活とかスポーツとか?

僕も大切なものに出会った記憶がある

友達と一生分笑い合った中学生活

思い返せばあっという間だった高校生活

かけがえのないものでした

お気に入りとはちょっと話が違うけど、本当に大切なものって実はすぐそばにあったりするよね

身近な幸せに気付けたり、些細な喜びを感じれるってすごくいい

死にたくなる時もたくさんあるけど、楽しい時もちゃんとある

なんだかよくわからないけど

幸せに生きますね

2/16/2023, 12:28:25 PM

誰よりもあなたが好きだから

だから告白できないの

サッカーボールを追いかけて

無邪気に走って笑う君

どんなに君を求めても

伝わらないと知っている

君には好きな子いるからね

毎日一緒に帰っても

友達としてしか見れないの?

次の日教室来てみたら

君はなんだか嬉しそう

どうやら彼女ができたみたい

泣きたい思いが込み上げる

でも、これでいいんだよ

私の思いは伝わらない

「俺も彼女欲しいなー」

私の思いは、伝わらない

2/16/2023, 8:00:26 AM

      私からの10年後の手紙

「成功ですね...」
「ああ...」
その研究室には二人の男がいた
試験管に入った透明な液体を見て二人は感慨のため息をつく
「この薬がたくさんの人々を救うんですね、先生...」
「ああ、そうだ。今までよく頑張ってくれた」
先生と呼ばれた男は助手らしき男の肩口に手を添える
「先生が僕を誘ってくれたあの日から、もう8年も経つんですね」
「あっという間だったよ...なんとか間に合ってよかった」
「さあ、最後の仕事ですよ、先生」
「そうだな」
男たちは実験室を出て廊下を進んでゆく
どこまでも白い洗練された廊下
二人の急くような足音だけがそこに響いていた


「あーしんどー」
8月。
燃えるような灼熱が身体中を予断なく焦がす
今日の最高気温は31度、今年に入って一番暑い日だ
こんな日に外出をしているのには理由がある
俺は大学6年生
そう、就職活動である
必死に勉強した高校時代、その甲斐あって有名大学の医学部に進学できた、できたんだが...
「はあ...なんで医学部にきたのかねえ...」
俺は血がダメだった
見るだけで体が拒絶反応を起こす
解剖などもってのほか
外科、内科、循環器内科、ほとんど無理でした...
なので仕方なく就活
こんな暑い日にせかせか頑張ってるわけです
今日受けるのは大手製薬会社の面接、失敗は許されない
「よしっ、気を張っていくか!」
やるしかないのだ


ダメだった...
面接の日から5日後
今朝届いたメールだったが、なかなか開けられず、内容を確認したのは夕方ごろ
「うそだろ...」
受け答え結構上手くいったと思ったんだが、ダメか...
これでもう12社目
自分の不甲斐なさにヤケになる
「散歩にでもいくか...」
全く、上手くいかない人生だ


「あれ?」
散歩から帰って郵便受けをのぞくと手紙が入っている
気になってとってみると、そこには自分の名前と「読んでね」という文字が書かれている
「なんだこれ...?」
家に入り手紙を開く

10年前の僕へ

やあ、こんにちは、10年前の君
僕の名前は大芝徹。君と同じ名前です
まあそれは当たり前なんだけどね笑
信じてくれるかわからないけど、僕は10年後の君です
何言ってんだって思ってる?僕もこんなのが届いたらそう思うよ
でも、ホントだから、聞いて
そっちの方の今である2023年から10年後にとあるウイルスが生まれます
そのウイルス致死率は98%
こっちの世界では表れて2ヶ月で1億人以上が亡くなってる、やばいでしょ?
僕らも急いで特効薬を作るつもりだけどかなり絶望的なんだ...
だから君に頼みたい
10年前から特効薬を作って欲しいんだ
ウイルスに関する情報は送れないんだけど、ひとつ大事な情報がある
そのウイルスにかかる一人目の人だ
僕も驚いたんだけど、このウイルス8年間も潜伏してたんだ
しかも無症状だから気付けない
症状が出て、気づいた時には遅かった、多くの人々が罹ってたからね
だからその一人目を見つけて協力させるんだ
その人の名前は、高田慎二
長崎県長崎市西浦上町出身の22歳男性だよ
君にしか頼めないんだ
どうか頼むよ


「は?」
こいつはなにを言っているんだ
大体2ヶ月で1億人って...そんなわけないだろ...
「はあ...ばからし」
大体俺は血が苦手なんだ、誰のイタズラか知らないが、もう少しまともな嘘にしてほしいもんだ
そんなことより腹が減った。こんな手紙より夜ご飯だ
体の内から感じる空腹感に耐えながら立ちあがろうと手に力を入れる
「うおっ」
足を滑らせ転んでしまった
右手に持っていた手紙が空を舞い、顔に被さる
「痛ってえ...」
手紙をとる。ふとあることに気づいた
さっきと文章が違う...?
「これ裏もあったのか...」
まだ阿保の戯言は続くのか...
くだらないとは思うが、尻の痛みが消えるまでは付き合ってやろう

とは言ったけど君は血が苦手だからね、医者なんて無理だって思うだろうなあ
だけどね、それは違うよ
君が本当に恐れているのは痛みだ
痛みは出血を伴うことが多いからね
現に僕は医者として現地を走り回ってる
研究者だってできるはずなんだよ
なあ徹、負けるなよ。
お前は確かに人より何かをうまくはできない
でもそれは最初だけだろ?
勉強だってスポーツだって死ぬほど努力したからできたんだ
俺たちは努力の才能があるんだよ
だろ?徹


努力の才能。父さんがよく言っていた言葉だ
いつも俺を励まして、応援してくれた
そんな今は亡き、父の言葉
「なんだよ...」
辛い大学生活だった
友人関係もうまくいかず、医療の道には進めないと言われ、それを誰にも相談できなかった
救われたような気がした
ある日ぽっくり逝ってしまった父さんがまた、励ましてくれているようで
胸の中がポカポカする
頬を走るように涙が溢れた
もう、迷いはなかった


「さあ、慎二さん。これを飲んでください」
「完成したんですね...!わかりました」
慎二はそう言って、もらった薬を水と一緒に飲み下した
「経過観察のためにあと1ヶ月だけいてもらいます、長い間本当に申し訳ない...」
防護服を着た男が深々と頭を下げる
「いいんです、先生が僕の人生を変えてくれたんですから」
その笑顔は屈託なく、慈愛に満ちたものだった


病室を出て、防護服を脱ぎ、そのまま外へ出る
陽気な日差しと鳥のさえずりがあたりに充満していた
「終わったよ、父さん、10年後の俺」
太陽の光がシワの刻まれた彼を祝福していた

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