あなたからの初めてのLINE。
さっきからずっとトーク一覧の中にある
あなたの名前を見つめている。
いつも通り話せばいいだけ。
そう、たったそれだけのことができない。
中学校に入学してから3年目。
卒業の年になって、やっとLINEを交換できた。
すごく嬉しかったし、たくさんやりとりしようと
思っていた。
でも、いざとなるとできなかった。
指が動いてくれない。
開けたら、あなたに私の感情を
ぶつけてしまいそうで怖い。
卒業までは我慢するって決めたのに。
たったこれだけのことで、言ってしまったら
きっと今までの努力が全て水の泡になってしまう。
どうしたらいいんだろう。
何を話したらいいのかを考えながら
私はスマホを閉じた。
また明日考えよう。
もう二度とそのLINEを開くことができないことも
知らずに私は眠りについた。
#開けないLINE
ピンポーン。
インターホンの音がする。
身体を起こして玄関へ向かう。
インターホンで相手を確認して驚いた。
なぜなら、そこにあなたがいたから。
私は朝から体調が悪くて学校を休んでいた。
だから、あなたに会うなんて想像していなかった。
だって、いつもは電話だけだったから。
熱のせいで幻覚でも見えているのかと思ったけど
何回確認してもそこにいるのはあなただった。
パジャマのままだし、髪もボサボサ。
そんな状態であなたには会いたくなかった。
来てくれたのはすごく嬉しいけど、
ちょっと恥ずかしかった。
外に出て少し話した。
「わざわざ家に来てくれてありがとう。」
そう伝えると、
「最近休むことが増えて心配だったから。」
ってあなたは言ってくれた。
そんなふうに優しいこと言わないでよ。
期待させないで。
好きになっちゃうじゃん。
「明日は学校行くつもりだから、また明日。」
そう私が伝えると、
「また明日。無理はしないでね。」
そう言ってあなたは帰っていった。
家の中に入ってもまだあなたの声が
聞こえるような感じがしていた。
ほんとに優しすぎて嫌んなっちゃう。
わざわざ来てくれるなんて…
あなたの家と私の家は車で40分かかるぐらい
離れてるよね。
早く帰りたかっただろうに来てくれて嬉しかった。
明日はあなたに会うために今日は早く寝よう。
今日のことを思い返しながら私は眠りについた。
#突然の君の訪問
卒業式の後、少しでいいので時間もらえますか?
って聞いたらあなたは笑顔でOKしてくれたよね。
私が伝えたいこと絶対に分かってないでしょ。
ねぇ、私のことどう思ってるの?
恋愛対象ではないことだけは分かってる。
あなたに恋人がいるのかは分からないまま。
恋人がいるのならまだ諦められたかもしれない。
私の気持ちを伝えないまま終わるのは嫌だ。
あなたに引かれるかもしれないのは分かってる。
それでもいいの。
あなたのことを諦めようと思って
いろいろ努力したんだよ?
彼氏を作ったり、
あなたの悪いところを頑張って探してみたり。
でもダメだった。
だから決めたの。
もう会うこともなくなるし、自分の気持ちを
整理するためにも、卒業式に告白しようって。
伝えたいことはたくさんある。
でもね、伝えきるには時間が足りない。
今まで本当にありがとうございました。
私はずっと先生のことが大好きでした。
迷惑かもしれないけど、絶対伝えたかったんです。
さようなら。
それを伝えるだけで私は精一杯だった。
あなたの前では最後まで笑顔でいたかったら。
あなたの前を去ってから、
涙が枯れるんじゃないかってぐらい泣いた。
同性で、あなたは先生で私は生徒で。
絶対叶わないって分かってても、
私は諦められなかった。
先生、世界で1番大好きです。
#さよならを言う前に
あなたと私の間に終わりなんて来るはずないよね?
あなたと会えなくなるなんて嫌だ。
話せなくなるなんて嫌だ。
なんで今まで通り関われなくなっちゃうの?
ほんとは分かってたよ。
あなたといつか別れる日が来るって。
でも好きになっちゃったんだよ。
こんなことをあなたに言っても何も変わらないのは分かってる。
せっかくあなたと出会えたのに。
ねえ、理解できないよ。
歳が離れてるから?
同性だから?
先生と生徒って関係だから?
全部だよね。
他にもあると思うけど。
あなたと同い年なら良かった。
今とは違う出会い方をしたかった。
異性だったら、もっと私のことを見てくれてた?
そんなこと考えてたらキリがないよね。
とにかくこれからもあなたと一緒にいたい。
卒業なんてしたくないよ。
でも、あなたを困らせたくないから
今日も自分の心にふたをする。
先生、大好きだよ。
幸せになってね。
さようなら。
#終点
これは叶わない恋なんだって。
そんなことは最初から分かってたはずなのに。
こんなにも苦しいのはなんでだろう。
#最初から決まってた