薄墨

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8/22/2025, 12:07:17 AM

両腕をめいっぱい広げて君と飛び立つ。
人生初のバンジージャンプ。

8/20/2025, 2:25:08 PM

「大人になっても、きっと忘れない」
「あなたが好きなものと嫌いなものは、きっと忘れないから」
「何十年経とうと、きっと忘れない」
「あなたのことは、きっと忘れない」
そうやって誓い合った私たちだけど、まさか、この歳になって、あなたを恨むことになるなんて。

「こんな老いぼれに手を貸してくれて、ありがとうね。親切な方ね」
なんて。
穏やかなあなたの、いつまでも愛らしい、シワだらけの笑顔なんて見たら。

ずるい。
「きっと忘れない」なんて約束、蒸し返せないじゃない。

恨もうにも、恨めないじゃない。

8/19/2025, 3:22:32 PM

丸い目をした愛しいあなたに
なぜ泣くの?と聞かれたから。

大人だって泣きたいときがあるんだよ、なんて、
答えにもなっていない言葉を返した。

8/19/2025, 12:25:03 AM

足音が、
近づいてくる
足音が、
ゆっくり、
ゆっくり、
確実に。

遠い暗闇の中から、
ゆっくり、
ゆっくり、
一歩、
一歩、
確実に。

近づいてくる…
近づいてくる!
ひた
ひた
ひた
ひた

かつ
かつ
かつ
かつ

私の足音
じゃない足音
近づいてくる
遠い暗闇の中から
ゆっくり、
ゆっくり、
一歩、
一歩、
確実に

8/17/2025, 2:45:17 PM

焦げるような日差しが、地面を焼いている。
ずっと先に誰かいる。
道はまっすぐ続いている。

足を踏み入れたくなるほど、丁寧に整備された鮮やかな道だった。
太陽の下で枝を伸ばしている木々の末端に茂る葉が、意味もなくざわめいている。
蝉の、うるさいくらいかしましい大合唱が、誘うように響きわたる。

一歩を踏み出したくなる心根を、じっとこらえる。
この夏の中に踏み出すことこそ、まだ正体すら分からない奴らの思う壺なのだ。

いくら、数年前に消えてしまった夏という季節が恋しくとも、目の前の、額縁の向こうに広がる、あの夏には、足を踏み入れてはいけない。

入ったら最期、終わらない夏に囚われ続けるのだから。

私の役目は、感情のまま、この終わらない夏に囚われることではない。
私の役目は、冷静に論理的に、この終わらない夏を研究し、管理することなのだから。

焦げるような日差しが、地面を焼いている。
ずっと先に、黒い人影が立っている。
道はまっすぐ続いている。

蝉が、誘うように鳴きわめいている。

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