祈りの果て
私には『推し』が存在する
本当は人間関係が嫌い。面倒くさい。
でも生活のために、笑顔を貼り付けて
周りと話を合わせて
今日もなんとかやり過ごす
「あ〜ぁ、ずっと休みにならないかな」
変わり映えのない祈り
家に帰れば私と『推し』だけの時間
私の願いはあなたの幸せ
これ一択
憧れ、尊厳、応援…明日の活力
「あー幸せ」
誰も知らなくていい
私だけが知ってればいい
だから
『推し』には果てなんて存在しない
ティーカップ
秋立つ空
朝は少しひんやりして、指先が冷たい
食卓には いつもの朝食
あなたの前にはオレンジジュースとソーセージマフィン
私にはダージリンティーとクィニーアマン
「サラダも食べてよ」
野菜が苦手なあなたにポテトサラダを作ったわ
人参もいっぱい入れてやったわ
あなたの少し嫌そうな顔を見ながら
お気に入りのティーカップに砂糖を1つ
好みの甘味になったわ
「なにニヤついてんだよ」
「別に。ただ、好きだなって。」
今度はあなたがニヤついてるわよ
寂しくて
記憶に残っているのは
冷たい水が僕のすぐ隣でいっぱい
僕に向かってきたこと
ひとりぼっちで怖くて寂しくて震えてたんだ
その時
小さな人間の手が僕を包んでくれた
その手には小さな赤いお星様の模様がついていたから
僕はその人間を 赤い星の子 と名前をつけた
僕には名前はなかったけど
「アルト 」って僕に言ったから、僕の名前?かな
それからの僕はとても幸せ
ご飯は美味しいし、お散歩も大好きだし、赤い星の子と
一緒に寝るんだ
いいでしょ。
赤い星の子は僕を大切にしてくれる
だから僕はこの子を守ってやるのさ。だから僕もこの子も早く大きくならなくちゃね。悪い敵がいたらやっつけないとね。
なのに、赤い星の子がお布団にずっと寝てる
どうしたんだろう?お昼寝?僕も寝ようかな
「アルト、オワカレシマショウネ。」
あの子に似た人間が僕を撫でながら言った
なんのことだろう?
鼻につく草の匂いとあの子の匂いが混じっているな
この匂いは苦手だけど、星の子は好きなのかな?
早く僕の名前を呼んで、撫でて欲しいな
それから赤い星の子は僕の前から消えてしまった
あれ?赤い星の子?
鼻につく草の匂い。僕この匂い嫌い
でも、あの子の顔が見える
顔を舐めたら アルトと呼んでくれるかな?
………赤い星の子の味がしない、声が聴こえない
撫でてくれない
僕のこと嫌いになっちゃった?
寂しいって泣いたら、また赤い星の子がきてくれるかな
早く 赤い星の子とお散歩したいな
心の境界線
海と空 水平線と地平線
境界線はないけれど
僕の心には手負の獣が存在する
それは 弱さと脆さ
土足で越えようとするな
容赦なく 牙を向く
勝者も敗者もくだらない
わかっているんだ
裏切りも 絶望も
わかっているんだ
夢も 希望も
この世界はイビツで満ちている
決して他人にはこの境界線は越えさせない
……でも 花が一輪咲いたなら、僕から一歩踏み出してみようか
透明な羽根
ふわり ふわりと舞う
白い綿雪
君の肩に落ちては消えていく
それは透明な羽根の様に
手を伸ばしても 掴めはしない
お互いの白息は同じなのに
熱だけはチグハグで…
「ごめんね」
なんて言うなよ
まだこの恋は終わっていないんだ
君を 手放したくないんだ
僕は君が 好きなんだ
君のつけた名残雪は
新しい自分を見つけて駆け出した様に
続いて 消えていく…
「おかしいな」
僕には羽根がない様だ
動くことも 名前さえも呼べなくなったよ
君は
僕に何も残こしてはくれないんだね