私は一人きりというものが嫌いで、一人になるくらいなら嫌いな人だったとしても常に他の誰かといる空間で過ごしてきました。
一人になるとなぜか泣き出してしまうのです。
なので、子供部屋は私が家を出るまで妹と一緒でしたし、実家を出た後も友達とシェアハウスをして暮らしていました。
しかし、30代になり、シェアハウスをしていた友人が結婚することになり、私は人生で初めてながい
「一人きり」を過ごすことになりました。
これが大変で、一人になると涙が止まらなくなるので
す。会社にできるだけいようと思ったのですが、仕事というものはあまり好きではなく、残業もせず家に帰って今います。
困り果て、涙を酒で誤魔化す日々が続いていたのですが、その日々を続けると、なぜか心が楽になってゆくのに気がつきました。
何かこう、心の摩擦というものがなくなり、自分にツヤが出たようでした。
私が一人きりになった時に泣いてしまうのは、
「もっと一人の時間を頂戴」という心の駄々だったのかも知れません。
僕はここにきた。
君を探しにきたんだ。
あの夏、僕は君を夏に忘れてきたから。
日が当たると少し茶色みが出るそのかみの、ワンピースにかかるのが忘れられないんだ。
君を取り戻しに僕はここへ来たんだ。
何をしにきたのかというと、君の墓参りに来たのだ。
君を忘れそうになったら、僕はいつもここにくる。
ここに来て何かと君との思い出を思い出そうとする。
でも、今回はどうしたことか、思い出が1つも思い出せない。もう6年も経ったからだろうか。
僕は少し悲しげに墓から遠ざかった。
家に帰ると、君が好きだった卵焼き(君は甘めのものが好きだった)を作り、6年間変えられていないカーペットの上で食べた。
そこで気づいた。
あの墓は、君の骨が置いてあるだけで、その場所には何の思い入れもない。
思い出は、この、君と過ごした家に染み付いているのだ。
そう思うと、色々思い出してきて、その思い出に浸りながら僕は卵焼きを口へと運んだ。
海が美しいと思えるのは今年で最後だと、
足を海につけた時に思った。
足の指と指の間が海水に染まる。
肌が少し白く見える。
きっと忘れない。この美しさを
自分の心に羅針盤があるとしたら、私は自分の針を無視してあなたの目指す方向へと進もうと思う。
私はあのいじめから救ってくれたあなたへの恩を返していない。だから、あなたが西へ行くのなら、私は西へ行くし、あなたが止まったら私もそこで止まろう。
そう、思っていた。
あなたには、あなたの親友がいて、別に私が支えなくても、助けなくてもよかった。
その時、初めて自分の心の針は動き出した気がした。
これからは、自分の針が思う方向に進もう、もう無理やり針をあなたに向けて曲げなくてもいい。
そう思って、私は私が好きな方向へと歩いて行った。