『キャンドル』
キャンドルの光が柔く揺れる。
少し明かりを落とした部屋に外の雪が光を差し込んだ。
「寒いね」
呟いた声に返ってくる言葉はない。
あなたがくれたアロマキャンドルのラベンダーの匂いだけがやけに鼻腔にこびりつく。
あなたの匂いを感じて、あなたと初めて見た映画を見て、あなたが好きだと言っていたものを食べる私を、あなたは空の上から見ているのだろうか。
それならどうか、この聖夜くらい姿を見せてくれないだろうか。
未だに忘れられない私を、慰めてくれないだろうか。
クリスマスの話です。早すぎんか。
クリスマスもイブも学校の補講があるらしくて萎えてます。
まぁどうせクリぼっちなんですけどね。寂しいです。
『たくさんの想い出』
BLです。お気をつけください。
きっとそれは、運命だったのだろう。
冬の日の最中、人混みのその向こうに驚きと嬉しさをごちゃまぜにしたような顔をして立っていたあなたを思い出す。
前世では伝えられなかった思いとか、感謝とか、そんなものが飛び出そうになって、それでも声帯が凍りついた俺をあなたが抱きしめたその時から、今世の幸せが決まった。
時が流れて昔より近い隣にいるあなたが馴染み始めた頃、なぁん月島ぁ、と甘えた声であなたが俺の名を呼んだ。
「前世ではできなかったことを今世ではいっぱいしよう。そして、たくさんの想い出をつくろう」
「いいですね。手始めに何しますか」
「……キスしたい」
ぐ、と喉の奥が詰まった気がした。
え、やばい。なんだそれ。破壊力。
「…だめか?」
見えない尻尾と耳をしゅんと垂れさせながら、あなたが呟く。
そんなのだめなんて言えないだろ。
「だめじゃ、ないですけど」
「いいのか!?」
さっきのは何だったんだというレベルに喜色を全面に散りばめた顔であなたが笑う。
「…はい」
言うが早いか、あなたの唇が俺のそれに重なった。
柔らかい、ささくれなんて知らないようなそれを感じてケアをしておればよかったなんて考える。
時間的には一秒にも満たないようなその時間が、俺には永遠に感じられた。
「嬉しい。ずっとしたかった」
少し恥ずかしいけれど、今言わなければ後悔すると思って俺もです、と囁く。
あなたの驚いた顔がやけに愛おしくて、その唇に再び自分の物を重ねた。
ゴールデンカムイより鯉月です。
これは前世ではお互いに誰より大切で恋愛感情は持っていたけれど最後まで恋愛なしで隣にいた鯉月(のつもり)です。
そう思って見てください。
お願いします。
『冬になったら』
冬になったら何をしようか。
雪合戦はしたいよね。雪だるまも作りたいかも。こたつで丸まってみかんも食べたいし。
まあ、君といられたらなんでもいいんだけどね。君が笑いながらそんなことを言うから、余計に愛おしくなった。
冬になったらどうしても君を思い出してしまうから。
寒いねって笑いあった声も、いいじゃんって繋いだ手も、雪を踏み込む君の姿さえ覚えているのに、君はどこにもいないから。
だから、冬は好きじゃない。
いい感じになりませんでした。無念です。
ひとつめとふたつめ繋がってません。
『はなればなれ』
心と体がはなればなれになりそうな私を繋ぎ止めて、絶え間ない愛情を与えてくれたのはあなただったから、そんなあなたが幸せであってほしいと思いました。
もしも来世がなればなれで始まったとしても、私はきっとあなたを見つけるから心配しないで。
それが偶然であろうと、運命にしてみせるから。
だから、笑って。
『子猫』
子猫がにゃあ、と可愛らしく鳴いて、私がそれに呼応するようにみ゛ゃあとかう゛っとか声を上げて、母と父が笑う。
それが幸せ。