『子供のように』
最近、私は子供の頃の夢をは見るのでございます。あの頃の私は、おそらく、とても、扱いづらい子供でありました。
母親のことも、先生のことも、クラスメイトのことも、周りの人間全員を敵だと思っていましたから、友達なんて1人もいなかったのでございます。
今思えば、本当の敵は私自身だったのでございましょう。頑張れない私も、醜い私も、素直になれない私も、誰にも好かれない私も、私が愛すべきだったのでございます。
私が嫌いな私自身のことを誰が愛してくれましょうか。
私はこのことに気づくのが大分遅かったのです。
ああ、やっぱり、私は未熟者です。
それでも、私は、そんな未熟者を愛さなくてはならないのです。ええ、そうです、誰かに愛されるためにです。どうしても、私は誰かに愛されたいのでございます。
『放課後』
夕日に照らされる教室で君と二人きり。
『カーテン』
カーテンをお開けになって、朝日に照らされ、焼かれるのも良いことでございます。
なにぶん、私の朝食はパン派でして、焦げる寸前のトーストを好んでおります。ええ、火の扱いというのは、まったく充分なものでございます。耳に響く、目覚まし時計のピピピという音が、小鳥のさえずりのようで、ああ、わたし、来世は鳥になって、喉が焼き切れるほど鳴いてみたいのです。そして、自分の炎に包まれて、焼き鳥になってしまいましたら、あなたの飲み会のつまみにでもなってしまいたいですわ。
さあ、焼かれてしまいましょう、天からの恵みを全身で受け止めてみましょう、そうして、この生をしまいにしてしまいたいのです。
ああ、なんということでしょう。
今日は雨でございましたか。
『涙の理由』
私の涙の理由が君以外にいるわけないでしょ。
LINEの返信なんて良くてリアクション。
遊びに誘うLINEに既読無視はさすがにびっくりしたよ。
あの文章考えるのに、私3日かけたんだよ。
ほんと酷いよ。
それでも君を好きな私は、馬鹿ですか?
わかってる。馬鹿だなーって
君の矢印が私に向くことはないって、
君の瞳に私が映ることはないって、全部わかってるよ。
『ココロオドル』
今日はたまたま1本前の電車に乗れた。おそらく信号で、ひとつも引っかからなかったからだろう。1本前の電車に乗れるだけで、座れるし、駅から走らなくていいし最高だ。毎日これに乗れたらいいのだが、何故か朝はギリギリの行動をしてしまう。なんて考えながら、イヤホンを取り出し耳につける。せっかく座れたし、単語帳でも見ようかな〜と鞄から取り、ふと前を見ると、綺麗な顔をした子が小説を読んでいた。制服を見る限り、同じ学校なのだろう。窓から浴びる朝日がまるで後光のように指している。背筋を伸ばし、少し伏せ目で本を読む様は、女神のようだった。ついじっと見てしまっていた。彼女はニコッと笑い、再び視線を本に戻す。きっと私は明日から、1本はやい電車に乗るだろう。そう確信した。