もう一つの物語
物語を読んでいる人の感情、
それに起因する出来事もまた一つの物語。
一つの物語は、
大抵もう一つの物語を描き出す。
物語は時に一人の人の人生までをも変えてしまう。
柔らかく傷つきやすい人の心の内側から
考え方、趣味嗜好、様々な物に影響を及ぼす。
そういう意味で物語は
人の心を壊したり癒したりできる
恐ろしくも優しいものなのかもしれない。
暗がりの中で
光を探していた。
その光はもしかしたら
一生かけても見つからないものかもしれなかった。
存在すら確かなものではなかったし、
先が見えないと不安で諦めてしまいたくなった。
けれども、それは訪れた。
光がこの世界に存在することを教えてくれた。
もちろん、光が見つからないこともあるだろう。
しかし、見つかる可能性も同じようにあるのだ。
いつかまた暗がりを歩くことがあるかもしれない。
その時にはあの時見つけた光を思い出そう。
そしてまた、光を探すのを続けるかやめるのかを
決めればいい。
自分の本当の気持ちを見つけられることが
一番難しく、大切なことだから。
行かないで
いつだって、
流れ星は地平線の向こうに消えていった。
桜の花びらは儚く散ってゆくものだし、
綺麗な蝶も木々の向こうにいなくなる。
心踊る瞬間はほんの一瞬のことで
去りゆくまでの時間はあっという間に訪れる。
それでも。
それでも見たいと思ってしまう。
儚いものは切なさと同時に
いつも美しさを持ち合わせている。
人は、その一瞬の美しさに魅せられてしまう
そんな生き物なのかもしれない。
声が枯れるまで
必死に何かを叫べるほどに
何かに情熱を燃やすことは
今はあまりないかもしれない。
何かを本気で思うということは
とても力を使うもので
疲れてしまうこともあるものだから。
けれど、そういうものは必要でもある。
世界に彩りを与えてくれる。
いつか、力を使っても良いくらいに
本当に思いたいものを見つけられたなら
そのものの色に染まってみたい。
始まりはいつも
先が何も想像できないうちに
流されるように過ぎていって
いつの間にか、その場所に落ち着いている。
そして何かが終わりを告げれば
また次の始まりに繋がっていく。
生まれる感情も
各々の考え方やどんなものの始まりなのかで
それぞれ違う。
数えきれない程の始まりがある。