力を込めて
刈り取った稲を束ねる。
鎌で刈ってから二束を交差するようにまとめて
藁で固く縛る。
秋なのにまるで冬のような寒さの雨の中、
足元の泥で滑りそうになりながら
ひたすら刈って束ねた。
レインコートを着ていても
皆、前髪がびっしょり濡れていて
昔の人はこの作業をずっとやっていたのだと考えて
本当に大変な仕事だと思った。
そしてこの行程を、全て
一台の機械でこなしてしまえることに驚愕した。
技術の進歩をありがたく感じるのと同時に、
基本の昔ながらのやり方を知ることがなによりも
大切なことだと実感した。
星座
あの日、真夜中に冬の星座を眺めながら
ひとりで流れ星を探していた。
年に数回の流星群の夜だったから。
通りに面した家の前に立っているのに
誰の気配もなく、
ただ自動販売機の光だけが
存在感を放っていた。
手はかじかんで、顔は冷たくなって
ずっと見上げていたために首も痛かったけれど
ひとつ流れ星を見つけてから
なかなかやめることが出来なくなった。
流れ星を待っている間、
他の星もたくさん見つめて。
それはとても有意義な時間だった。
とても寒かったけれど
きっと私は
また今年も流星群を眺めるのだと思う。
巡り会えたら
少しでもいいから、言葉をかわしてみたい
けれど、私のことだから
やっと会えても
遠くから見つめることしかできないかもしれない
なので、手紙を書いてみようと思います。
言葉は気持ちが伴って生まれるものだから
文字でもきっと、想いは届くでしょう。
きっと明日も
明後日も
涼しくなってきた風に季節を感じて
何か好きなことをして
やらなければいけないことをして
そうやって、ただ繰り返すのかもしれない。
それでも、同じような日々の中で
知らず知らずのうちに
きっと何かを学んでいるのだと思う。
時には立ち止まって何もせず
何も考えたくなくなることがある。
そして、そう感じても
無理矢理にでも動かなければいけないことも
珍しくはない。
そういう時には
自分にとって栄養になるものをたくさん詰め込んで
なんとか乗り切ることができれば
きっとまたいつか思い切り休める日がくる。
そんなことを頭の何処かで考えながら
今日までなんとかやってこれたから
多分、明日もなんとかなるでしょう。
窓から見える景色
意識して記憶を辿ると、しまいこんでいた
何気ない日常の一欠片がよみがえる。
小さい頃、久し振りのぼた雪にはしゃいだ日。
部室からテニス部の練習をこっそり眺めた日。
窓からの景色の記憶だけでも
思っていたよりたくさんあることに気づきました。
ただ、その一瞬のことは覚えていても
その後何があったかは、なかなか思い出せなくて。
それでも、その時の雰囲気や気持ちだけでも
鮮明に浮かんでくるというのは
不思議で面白いことだと思います。
まるで心の中にたくさんの窓があって
そこを覗き込んでいるようで。