初めて君と目が合った時、雷が落ちたみたいな衝撃だった。
それからは、気づけば君のことを目で追ってたし、話し声だって勝手に拾ってた。そのくせ君に話しかけようとすると、急に暑くなるし頭の中は真っ白になるしで上手く話せない。
毎日そんなことの繰り返し。だと思ってたのに。
どうしてこっちを見つめてるの?どうしてそんなに顔を赤くしているの?
あぁ、目が合った。恥ずかしいから逸らしたい。でも、紅く染った君の顔を見ていたい。
テーマ:君の目を見つめると
空気の澄んだ寒い春先の夜、空を見上げる。いつもよりも綺麗な星空が広がっていた。そんな日にはよく昔のことを思い出す。
僕は小さい頃、孤児院にいた。いつから孤児院にいたのかは分からないけれど、少なくとも親の顔は覚えていない。そんな子供時代を過ごした孤児院で、特に仲の良かった奴がいた。
そいつとは同い年だったこともあって、気がついた頃には一緒にいた。そいつとは性格こそ真逆だったけれど、何故か居心地が良くてお互いにお互いの隣が一番落ち着く場所だった。だから、そいつとはいろんな話をした。今日の夕飯はなんだろうとか、今日はこいつとあいつが喧嘩したとか日常のなんてことない話から、将来の話とか、宇宙の話とか、真面目な話も、たくさん。
孤児院で暮らしていくうちに、気づけばそいつとの日課はいくつかできていた。例えば、嫌だと思ったことはその場で言う、後に引きずらない。あとは、お互い苦手な食べ物が出たら、こっそり交換。バレたら連帯責任、とか。その中に、毎晩就寝時間を過ぎた頃、こっそり屋根に昇って雑談をするっていうのも、入っていた。うちの孤児院はそこそこ子供が多くて、一階が共有スペースと院長先生の部屋、二階が子供たちの部屋、という割り振りだった。部屋も基本的に六人で一部屋で、多い部屋では十人くらいいる部屋もあった。そんなんだったから、部屋で夜中に雑談する訳にも行かなかったし、ましてや廊下でなんてことやったら院長先生から大目玉を食らうことは間違いなしだった。そこで、思いついたのが屋根の上だった。だから、毎晩就寝時間を過ぎた頃、院長先生がいなくなったことを確認して、こっそりと屋根に上った。もちろんバレたらお叱りは免れない。そんなスリルもあって、楽しかった。
けれど、中学三年生に上がる頃、あいつは死んだ。飲酒運転の車に突っ込まれて即死だったらしい。僕はもう既に、養子として引き取られていた後で、その話も孤児院からの電話で知った話だ。僕は初めそんな話を信じられなかった。僕は運良く引き取ってもらえた。これから毎日会うことは出来ないけれど、せめて文通はしようって、できるだけ毎日手紙を出そうって話して、本当に毎日文通をしていた。その日も、手紙が届いていて、何が書いてあるんだろうかとか、どんなことを手紙に書こうかとか、そんなことを考えていた矢先の話だった。暫くは、ショックから何も手につかなかった。でも、そんな時なんでなのかは分からないけど、ある日話したことを思い出した。何の話の流れかはもう覚えていない。ただ、そいつは僕に珍しくお願いをしてきた。そいつは俺が死んだら、俺の分までお前がいろんな景色を見て、最後の最後に俺に話に来いって。その時僕はなんて返したんだったか。でも、何故かそんな話を思い出した。それからは、何とか前を向くようにした。そして、日記を付けたり、旅行先で撮った写真やチケットなどをノートに纏めるようになった。旅先で見たもの、聞いたこと、知ったこと、できるだけ全部を纏めるようにした。いつかあいつのところに行った時、一つでも多く伝えられるように。そんな習慣は今でも続いている。ノートも日記帳ももう二桁だ。ノートに至っては、三桁目を超えている。それでもきっとあいつは少ないって怒るから、まだあいつの所にはいけない。
だからさ、もう少し待っててよ。まだお前との約束果たしてる途中だからさ。星の綺麗な夜はお前のことを思い出すからさ。
テーマ:星空の下で
作者のつぶやき:
初めてひとつの物語として最後まで書き切りました〜!
ただ、自分でも分かりにくいなとは思っているので、雰囲気だけで呼んでいただければと思います。
もうすぐ始まる新しい環境での生活。期待もあるけれど、不安もある。むしろ、不安の方が強いくらいだ。正直、自分でも自信がある訳では無いから。
でも、それでいい。自分は自分のままで。少しづつでも進めていれば、それでいい。一歩に満たなくても、半歩でも、半歩に満たなくても。それでも、本当に少しでもいい。それでも、前に進めているのなら、それで、いい。
そうやって、少しづつでも進んだその先でいつか振り返った時、きっと見えている景色が今とは違っているから。
何が自分の手の中に残るかなんて分からない。もしかしたら、何も残らないかもしれないけれど、それでもいい。手の中に何も残っていなくても、きっと心の中には何かが残るから。
そうやって、自分を少しづつ肯定して、生きていく。
それでいい。そのまま自分の思うがままに進んでいけばいい。
テーマ:それでいい
僕はたまに思うんだ。
自分の中からいらないものを一つだけ消せたらって。
そうしたら、もっと生きやすくなるのかなって。
もし一つだけ消すなら何を消そうか。
感情?それはいいね。何も感じなくてすむ。何も感じなくてすむってことは、傷つかなくてすむってこと。それはとっても魅力的だ。でも、何も感じないってことは、好きな物も何も感じなくなるってこと。それは少し辛いなぁ。
じゃあ、痛覚はどうだろう。正直、痛いのなんて大体の人が嫌だろうし、なくてもいいかなって思わなくもない。でも、痛みがないと命の危険に気づけなくて危ないんだよね。何かで聞いたことがある。うーん、命の危険に気づけないのは、よくないきがするなあ。
んー、これを挙げちゃうのは、あんまり良くないのかもしれないけど、そもそもの命を消したらどうなるんだろうね。ほら、死後の世界とか、極楽浄土とか、天国とか、地獄とか。宗教によっていろんな言い方はあれど、何かしらある、みたいに言われてるだろう?逆に何も無いなんて考え方もあるけどね。本当はどっちなんだろうね。まぁ、なんでもいいや。
ねぇ、もし君が何か一つ自分の中から消すなら、何を消す?
テーマ:一つだけ
「あなたの大切なものはなんですか。」
X月XX日 くもり
今日は国語の授業で課題が出た。テーマは、「自分にとって大切なもの」。パッと思いつかなかったので、友達にそれとなく聞いた。ある人は親から貰ったネックレス、またある人は小さな頃におじいちゃんが作ってくれたパズル、など。それらを参考にしつつ、考えてはみたが今のところは思いつかない。まぁ期日までは一週間あるため、ゆっくり考えようと思う。
X月XX日 くもり
今日も今日とて変わらない1日だった。昨日からずっと自分にとって大切なものが何かを考えているが、思い浮かばない。考えすぎたからなのか頭が痛い。今日はこれくらいにしておこう。
X月XX日 くもりのち雨
天気が崩れ出して少し憂鬱だ。そういえば、夕方のニュースで世界的に新型ウイルスが流行しているらしい。海外ではロックダウンも起きているようだ。これから、どうなるんだろうか。
X月XX日 雨
今朝、急に学校から連絡があった。新型ウイルスが世界的に流行していることから、休校という措置をとることになったらしい。したがって、作文の課題の期日も少し延びた。ありがたいが、それでも早く書き上げてしまわなければ。休校期間中の他の課題にも取り組まないと。
X月XX日 晴れ
学校がないとゆっくり起きられて、ありがたい。一日家の中にいられるというのも、かなり嬉しい話だ。かと言って、それが大切なもの、という訳でもないのだが。
X月XX日 晴れ
気がつけば、休校になって二週間がたった。課題をのんびりと進めつつ、作文についても考えた。まだ分からない。自分の中で、物足りなさを感じるようになった。いや、物足りなさ、というか、どこか違和感を感じる。何故だろう。
X月XX日 くもり
休校期間になって二週間半。違和感の正体が少し見えた気がした。友人と誰かの家で遊ぼうか、という話になった時、新型ウイルスが流行しているということで、話が流れた。その時にふと思い出したが、友人たちとは部活が違うため春休みに入ってから会えていない。要はふた月半近く会えていない。それに気がついた時、急に寂しくなった。
X月XX日 雨のちくもり
昨日の日記をつけた後から、作文に取り掛かり始めた。上手く言葉にはできないけれど、昨日のことは書くべきだと思ったのだ。ただ、変な文になっていそうなので、後でもう一度読み返さなければ。
X月XX日 晴れ
今日は久しぶりの登校日だった。作文の発表の日だ。先生が作文を読みクラスの中で優秀だと判断された生徒が先生から指名を受けて発表する。私は発表する側だった。他の人が私の作文を聞いてどう思ったかは知らない。それに興味もない。けれど、今回の出来事は私の中で大きな意味を持っていると思う。
「私の大切なもの」
初め、私は自分にとって大切なもの、と言われて何も思い浮かばなかった。命はもちろん大切だけれど、いつかはみんな平等に失う。お金も大切と言えば大切だけれど、こういう作文で挙げるものとしては少し違う気がするし、何より私自身、そこまでの大金は欲しいと思わない。だから、私にとって大切なもの、が何も思い浮かばなかった。
でも、今回新型ウイルスが世界的に流行し世界中でロックダウンが起きて、学校も休校になった。それにより、外に出られない、以前なら、毎日会えていた友達に会えない。遊びに行こうと言って予定を合わせさえすれば遊びに行けていた。それすらも、叶わなくなった。
そんな新しい毎日になって、私はようやく気がついた。今まで当たり前だと思っていた日常が本当は当たり前ではなく、特別なものだったのだと。そして、私にとって大切なものだったと。私にとってこれは忘れていた事実でした。
だから私にとって大切なものは、日常を過ごせること、です。
テーマ:大切なもの
作者のつぶやき:
今回は日記風にしてみました。難しい……。日記部分をもっと長くかけるようになりたいですね。まぁでも、そこそこ書きたいことは書けたので、自分としては満足です。