夕紅の糸の人
多分時々夢で逢うあの人なんだと思う
誰なのか名前もわからない知らない人
だけどいつもその人が居たら
心は熱く苦しいほどに愛おしくて
そこに居るだけで幸せを感じている
夢でしか逢えない魂の伴侶
もし現実で貴方に逢えたなら
多分私は全てを投げ捨てて
貴方の元へと駆け出すんだろうな
「巡り会えたら」
奇跡とは自分で起こすものである
宝くじに当たるには買わなければ当たらない
誰かと出逢いたいなら外に出なければならない
待っているだけでは
望んでるだけでは
奇跡に巡り会う事は有り得ないのだから
天文学的な数字を引き当てて
そこで奇跡を得られるのだ
そして本当の奇跡は
こうして生を受け生きている事だと思う
こればかりはどう望んでも
どうしようもないからだ
輪廻転生があるのならば
もう一度この世界に生を受けたい
今度は面倒くさい人間ではなく
広い野原の小さな花として生きたいものだ
「奇跡をもう一度」
西の空が朱色に染まり
陽が隠れる間際の僅かな時間
一日の中で一番綺麗な空だと思う
朝日が昇る時間も綺麗だけれど
夜の帳が降りる瞬間がいい
街ではこれからがお楽しみだと
ネオンが灯り昼と変わらぬ光が溢れる
だけど私は
沈む夕陽を眺める生活の方が好ましい
「たそがれ」
美味しいものを食べて
自分の好きなことをやって
みんなで話をして笑いあって
時にはやりたくない勉強や仕事をして
それでもそれは将来のためだからと
受け入れてそして自分にご褒美をあげる
そういった日常は繰り返し訪れるけど
もしかしたら突然それは無くなるかもしれない
地震や嵐 戦争や原発事故
不安要素は多々ある中
それでも今ある幸せを信じて未来を望む
だからこそ当たり前の幸せがある
新しい明日を願いつつ
柔らかい布団の中に身体を沈める
「きっと明日も」
シーンという音が聞こえてきそうな静けさの中
本のページをめくる音だけが聞こえる
ふと顔を上げると部屋に差し込んできた陽光が
ブレスレットを飾る棚に当てっていた
キラキラと光が反射し
小さなミラーボールのように虹を放っている
石たちのおしゃべりはそれぞれが輝きを放ち
とても賑やかだった
こんな日は紅茶かな と
自分一人だけのお茶を用意するために
台所へと足を向けた
「静寂に包まれた部屋」