凛世

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9/7/2025, 10:12:07 AM

忘れ物を取りに教室へ入る

しんとした部屋を夕陽が染める

校庭から聞こえる小さい声

昼間の騒がしさ息苦しさは全くなかった

早く帰らないといけないのはわかってる

だけど

やらずにはいられなかった

黒板にバカヤローと大きく書いた

学校が嫌いだった

この場所が嫌いだった

あいつらが殺してやりたい程に嫌いだった

そんな事書いたところで何かが変わる訳ではない

ため息をついて文字を消した

明日もここに来るのか

憂鬱な気分で夕陽に焼けた教室を振り返り

このまま燃やしてくれと思いつつ

そっと教室の扉を閉めた







「誰もいない教室」

8/29/2025, 11:12:29 PM

子供の頃に家族で遊びに行った

今は無き遊園地

日が暮れて電飾に飾られて回る回転木馬

軽やかな音楽に合わせ

ゆっくりと動く馬と馬車

幼い自分には夢のような光景だった

これに乗ればシンデレラになれるかも

なんてバカなことを考えたのを覚えてる

時の流れは無情なもので

ニュースであの遊園地が閉園すると聞いた

あのキラキラ輝く回転木馬は

永遠に時を止め

夢の世界のみで回り続ける







「心の中の風景は」

8/21/2025, 9:41:23 AM

記憶は美化されるものだけれども

それでも忘れられないものってあるよね

楽しかったこと

美味しかったもの

一緒にいた人が違うだけで

いつもの出来事も特別になる

憧れの先輩と一緒に

ポテトを食べながら歩いた帰り道

その日は何故か2人だけだった

優しくて背の高い人気のある先輩

ドキドキしながら

いつものように話しながら

特別な時間を喜んでいたっけ

いつまでもこの道が続くといいのにと

わざとゆっくり歩いてみたな

夕焼け空の下り坂を歩くと

その時のことを今でも思い出す

先輩の笑顔と夕日

どっちも眩しかった若かりし日の思い出











「きっと忘れない」

8/19/2025, 2:02:03 AM

追いかけ走り抜ける雲の影

道の先に揺らめく陽炎

風に頷く大きな向日葵の花

蝉の大合唱に眩し過ぎる陽射し

昔から変わらない夏の風景

違うのは

夏休みだというのに子どもの遊ぶ声がないこと

変わったのは人の環境

自然の中思いっきり遊ぶというのは

もうできないのだろうか

木陰で伸びきっている猫を見て

まだまだ暑い日は続くのかと

秋を心待ちにしている自分に苦笑しつつ

麦茶を取りに冷蔵庫へと向かった





「足音」

8/18/2025, 9:44:15 AM

何時だっただろう

記憶にあるあの日は

幼い日の暑い日としか覚えていない

知っているはずの小さな里山で

一人彷徨い歩き続けた

空はもう夕陽で染まり

夜の闇が迫りつつある中

知っているであろう木を探して歩き回った

背の高い雑草と枝の折れる音

鳥の羽音と風の音

怖くはなかったけど怒られるという恐怖

どうしようという焦りが大きくなっていった

風に押され草を掻き分け歩くうちに

いつも登っている木が見えてきた

帰れる!

後々考えると

あの里山は迷う程大きくもないし

後日遊びに行った時も

あんなに背の高い草はなかった

あの日の記憶は夢なのだろうか…

今も時々思い出す

あの暑い日の出来事








「終わらない夏」

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