雨が奏でるメロディは
静かで優しい
傘のドラムに空き缶のシンバル
木々のマラカスに水溜まりのベル
コーラスにはカエルたちも参加してる
何故か雨だといつもよりも静かだと思うのは
私だけだろうか
大人になり雨の日の外出は
億劫に感じるけど
子どもの頃は新しい傘や長靴を早く使いたくて
雨の日が待ち遠しくもあったっけ
はしゃぎすぎてずぶ濡れになって
怒られたもんだな
よし 新しい傘を買おう
そして雨のコンサートに参加しよう
「雨音に包まれて」
全てが輝いて視えるの
景色も空気も貴方も
今までこんな事なかったわ
貴方が居るだけで世界は変わるの
これが恋の魔法ってやつなのかしら?
貴方が触れるもの全てが欲しい
貴方の話すこと全てが知りたい
貴方ことを永遠に見ていたい
こんなにも愛おしくて
こんなにも欲しくって
こんなにも大事で
…
だからこそ
私を見ない貴方のことが
狂おしい程に許せないのよ
「恋か、愛か、それとも」
雨は嫌いじゃない
周りは静かになるし
空気は洗われるし
傘の下で涙が流れても隠せるから
傘の分の自分の空間
人混みでもぶつからなくなる傘の魔法
雨音で消されるノイズの中
私の音も消えていく
このまま消えられればいいのに…
だけどそれはまだ許されないらしい
いつの間にか雨の声は小さくなり
周りが少し明るくなる
…神様は意地悪だな
こんな私にも祝福の橋を見せてくれるなんて…
「雨上がり」
貴方の事が本当に大好きだったわ
でも貴方はそんな私の事なんて
わかろうともしなかった
ー星が綺麗ねー
ほら 私の言葉に耳も傾けてくれない
少しでも私に関心を持ってくれれば
こんな事しなくてよかったのに…
ー明日も月が綺麗でしょうねー
私を見てくれないその目は要らないよね?
「これで最期」
雨上がりの空に
大きく掛かる虹の橋
地上を忙しなく歩く何人の人が
気づいているだろうか
雲の合間から覗く青空に
7色の橋が輝いて見える
足を止め空を見上げ
なんと自分は小さい事かと
思い知らされる
その美しさを心に残し
天使の橋はゆっくりと
その姿を滲ませて消えた
「空に溶ける」