西の空が朱色に染まり
陽が隠れる間際の僅かな時間
一日の中で一番綺麗な空だと思う
朝日が昇る時間も綺麗だけれど
夜の帳が降りる瞬間がいい
街ではこれからがお楽しみだと
ネオンが灯り昼と変わらぬ光が溢れる
だけど私は
沈む夕陽を眺める生活の方が好ましい
「たそがれ」
美味しいものを食べて
自分の好きなことをやって
みんなで話をして笑いあって
時にはやりたくない勉強や仕事をして
それでもそれは将来のためだからと
受け入れてそして自分にご褒美をあげる
そういった日常は繰り返し訪れるけど
もしかしたら突然それは無くなるかもしれない
地震や嵐 戦争や原発事故
不安要素は多々ある中
それでも今ある幸せを信じて未来を望む
だからこそ当たり前の幸せがある
新しい明日を願いつつ
柔らかい布団の中に身体を沈める
「きっと明日も」
シーンという音が聞こえてきそうな静けさの中
本のページをめくる音だけが聞こえる
ふと顔を上げると部屋に差し込んできた陽光が
ブレスレットを飾る棚に当てっていた
キラキラと光が反射し
小さなミラーボールのように虹を放っている
石たちのおしゃべりはそれぞれが輝きを放ち
とても賑やかだった
こんな日は紅茶かな と
自分一人だけのお茶を用意するために
台所へと足を向けた
「静寂に包まれた部屋」
楽しい時間はすぐに終わる
同じ時間なのに何故なのか
仕事や勉強はものすごく長いのに
大好きな時間だとあっという間
もうちょっとだけってつい思ってしまう
君との別れもそう
少しでも一緒に居たくて
つい手を繋いだり
そういえばさ なんてなんでもない話をしたり
また明日会えるのに寂しくなるんだ
当たり前の幸せが心地よくて
全てを放り出して縋っていたくなる
この幸せが当たり前ではなく
永遠でもないことを知っているからこそ
君には「さよなら」は言いたくないんだ
だから「また明日ね」って言うんだ
約束して絶対君と会うために
「別れ際に」
雨が一粒頬を濡らす
急に降ってくる雨に
周りは慌てて傘を出したり
雨宿りできる場所を探し駆け出したり
一瞬で慌ただしくなっている
だけど私はそのまま歩く
空を見上げ神様にお礼を言った
涙を隠してくれてありがとう
この雨が止む頃には
いつもの私に戻れてるだろう
「通り雨」