赤い糸なんて信じない。
だって固く結ばれてたって、
いつかはきっとほどけてしまうでしょ。
接着剤でくっつけるのは、
きっとほんとの愛じゃない。
それでも、私たちならさ
ずっとほどけないって、
信じてる。
岐路に立つ。
人生の岐路に立つとかいうけど、
実質あたしの人生は詰んでる。
定期試験100点中20点だったし、
LINEで誤爆するし、
親とは3日たっても喧嘩してるし。
あーあ。あたしの人生ってなんだったんだ。
今すぐ飛び降りたいけど、あたしの部屋は一階だ。
つらい。つらたん。
怖いから推しに逃げて、
推ししか勝たん👊👊👊とかやってるけど、
何も悩み事なさそうに見えてても、
本当のあたしは、わたしは、ずっとつらいんだ。
今回の定期試験はいっぱい勉強した。
せんせいに何回も聞きに行って解けるようになった!
はずだった。
LINEも、ちゃんと確認して送った!
...はずだった。
間違えて、友達の友達に送ってしまった。
親とは和気あいあいしてます!
親子関係は良好です!
親ガチャなんて要りません!!!
、はあ。
親ガチャが嫌いなのはホント。
だって自分が惨めになっちゃう。
親ガチャでSSRを引いたなら、
今までの家族はなんだったんだろ。
それに、なんだかんだで情を持ってる。
親は子どもを無条件に愛してるわけじゃない。
それでいうとあたしの人間関係は100点中40点とか。
バッチリ赤点。
うん、良かった。
赤点で良かった。
このままじゃあたしの人生、全部赤点かも。
でも、もういいや。
努力したって報われない。
報われるのは、すごいひとだけ。
あたしはそこにいないや。
人生の岐路。
岐路にちなんでキロメートル先までいこうかなんて。
ばっかみたい。
ひがんにいこ。
それでこの悔しさも収まるはず。
この虚しさが報われるはず。
さよなら、あたしの大嫌いな劣等生。
ばいばい、明日からのあたし。
世界の終わりにあなたと。
あのでたらめニュースは本物だったみたい。
わたし、嘘だと思ってた。
だって、本当に信じられないわ。
高校生のときの予言が、今になって実現するなんて。
そう、夫と出会ったのも高校生の時。
たまたま隣の席になって、
その次も同じく隣で...。
今思うと、凄い確率だったんじゃないかしら。
ふふっ、神さまも祝福してくれていたのね。
わたしは貴方に告白されたとき、正直迷ったのよ。
この人と一生 生きて大丈夫なのかしらって。
でも、本当の本当に杞憂だったわ。
だってあれから33年。
子どもに恵まれて、今度孫も生まれるんですって。
わたしが居なくなっても、
あたらしいいのちがあなたのまわりでかがやくから。
だからどうか泣かないで。
わたしはあなたの笑顔が大好き。
ちょっと照れ屋さんなところも、
わたしの誕生日を必ず祝ってくれるところも、
散歩のときに手を繋いでくれるところも。
わたしはあなたから数え切れないくらいの
プレゼントたくさん頂きました。
もう死んだっていいって思うくらい幸せだった。
だけど、孫の顔が見られないのは少しだけ残念。
大好きなあなたへ。
いつまでも愛してます。
体に気を使って、3食きちんと食べるんだよ。
あなたってばすぐご飯抜くんだから!
正直に言うと、人生ってだるくてめんどくてかなしい
だから、いったんばいばい
「あ〜、雨じゃん。ユウウツになるね」
おー、と返事をする彼女を横目に、
俺は心の中でガッツポーズをした。
(これ...あいあい傘のチャンスじゃん!)
だが人呼んで、話せば残念、歩く姿は奇行種の俺だ。
(絶対普通に誘ったら断られる...!!)
それだけは勘弁。俺はイケメン。片思い歴3年の男。
いける。いけるはず...。
「あ、なあ」
「何?どうかしたん?」
「あ〜、えっと。傘忘れたから入れてくれ」
「お前朝ビニール傘差してきてたじゃん」
「あ」
忘れてた。完全に忘れてた。
いや、まだいける。
「教室に忘れてきてさ」
「お前の腕見てみろよ」
「あ」
あった。今朝買ったビニール傘が。
いやいやいや。さすがにおかしい。誰かの陰謀だ。
いや、いやぁ...まだ、いける?
「さっきからお前おかしいぞ。どうしたんだよ。」
彼女が聞いてきた。これが正真正銘最後のチャンス。
「あいあい傘してぇな〜的な?」
「は?」
言われちまった。お前何言ってんだの感嘆符。
昔からこれが怖くて自分の本音言えんかった。
「ほら」
「え?」
「早くしろって言ってんの。雨止んじゃうから」
「あっと...よろしくお願いします...?」
「ハハッなんだよそれ」
もう雨は止み始めている。
「走ろ!」