君が半袖を着てきた。
もうそんな季節なのか。
そういえば、中間が近いもんな。
中間。
中間試験。
.....................。
勉強しないと、と思うたびに
自分の数少ないやる気が干上がっていく。
教室の窓を開けて身を乗り出す。
来年からは教室にエアコンがついて、
窓には転落防止用の突っ張り棒がつく。
こうして柔らかい風を感じられるのもあと少し。
夏って暑いから嫌だけど、
なんでか大好きなんだよな。
ああでも暑すぎる。
早く紅葉が散りますように。
天国とか地獄とか宗教によって違うじゃん?
そーゆー宗教学?を大学でやってる姉ちゃんいてさ、
なんか教えてもらったんやけど、
キリスト教を信じないならキリスト教の地獄へ、
仏教を信じないな仏教の地獄へ、
イスラム教を信じないならイスラム教の地獄へ、
って。
信じる者は救われるの逆は、
信じない者は救われない、らしいよ。
それ聞いて俺さ、思ってん。
めっちゃ都合良い宗教作れば良くね?って
なんか全部の宗教に繋がってて、
来るもの拒まず去るもの追わず、みたいな?
やっぱ人間には縋る物があった方がいいと思うん。
え、何?なんの漫画読んだんだって?
いやいや、俺真面目。超真面目。
日頃の行いってさすがにひどいだろ!
ちょっ待って待ってって!
一旦話し合おうよ!
俺、お前とならどこでも天国だと思ったから
打ち明けたんだ!
お前は、そう思ってない?
新月は、
地球で唯一月が太陽に照らされない日。
さながら月の有給日。
そりゃ、月だって休みたいよな。
まあ太陽はほぼ毎日仕事だけど。
あ〜土日出勤無理〜〜〜〜
あの頃の不安だった私へ。
高校合格すれば不安無くなるっておもってたよね
誰かの言う通りにすれば良いって思ったよね
そんなことないよ
今でも不安は止まらなくて
病院で安定剤貰っちゃった
安定剤えぐいよ
切れた時凄いけど
結局不安からは逃げれないんだからさ
安定剤にたどり着くまで頑張れよ、みたいな。
私ももうちょっとだけ勉強してから寝ようかな
おやすみ、良い夢を!
なーんちゃって!
応援することなんてないよ馬鹿め!
私が今ここに居て、これを書いてる。
それがあなたが頑張った証拠じゃん?
私が生き証人だから、
他の人から認められなくたって
未来のあなたがあなたを肯定してあげる。
その代わり生きてもらう、みたいな?
win-winの関係っしょ?
だから、とりま人間関係とか置いとこ?
私が居る 大丈夫だから
一旦全部忘れたっていいじゃん。
あなたが忘れたことは私が覚えてる
私が忘れたことはあなたが覚えてる
これも50/50みたいな?
まあまあ、とりあえず寝ましょ
睡眠不足はお肌と脳死の敵なんだから!!
昨日へさよならしようぜ。
ってあいつが言ってきた。
昨日はあの子の...私達の幼馴染の命日だ。
今年でもう3年になる。
一緒に入ろうな、って言ってた高校で、
私達は今日もあの子の影を追いかける。
あの子の家族は引っ越してしまって家はないし、
手元にはふざけて3人で撮ったプリくらいしかない。
「もっと遊べばよかった。話せばよかった。」
なんて、何回も考えた。
でも、もうそれは遠い遠い昨日になってしまった。
それに、
「もう忘れてしまってもいいんじゃないか」
って思ってしまう自分が嫌になる。
何が忘れる、だ。
3人の思い出はそんなすぐ捨てられるものじゃない!
そう思って、もう3年。
もう進路を決めなくてはいけない。
そんな時に、あいつは提案してきた。
「昨日へさよなら?」
「おう」
昨日へのさよなら、とは。
聞けば、一種のおまじないらしい。
透明な水と願い事を書いた紙。
それと大切な思い出を川へ流す。
「不法投棄にならない?」
「なに、神様もこんくらいは許してくれるだろ」
あいつをつれってたんだから。
そんな言葉が聞こえた気がした。
「俺はやるよ。先に進むためにも、このままじゃきっとだめだ。あいつには悪いけど、きっとお互いのためにならないと思う。死んだ人の声なんてわかんないけど、ずっと引きずられたってあいつも落ち着いて寝れないだろ?」
なんて言われた。
ずるいよね。
そんなこと言われて、見捨てる奴がいるか。
幼馴染なめんな。
私達は裏山へと向かい、手順をなぞった。
「お互い、進めるといいな。」
「かっこよく言ってるけど、あんた留年の危機じゃ無かった?」
「今言うなよ...!あいつに聞こえるだろ!?」
「案外笑ってるかも」
「...そうだといいな」
山を降りる視界の端、
あの子の長い髪が見えた気がした。