用意するのは透明な水と願い事を書いた紙。
その紙を水で濡らして食むと願いが叶う。
「久しぶりに活動すると思ったらその噂について?」
「まぁ部長らしくて良いと思うっす!」
私達3人はオカルト研究会、通称オカ研だ。
そう言っても部活としては認められていないのだが。
部長の私とクラスメイトの涼香、後輩の満で
一応、3ヶ月に1回くらいは活動している。
「最近流行りの噂よね、それ」
涼香はどうやら聞いた事があるらしい。
「そう!それでこの噂、透明な水の謎を解明してくれ〜って頼まれたんだよ」
「誰に?」
「ほら、吹部のかほちゃん」
かほちゃんは、吹奏楽部の部員で情報通の子。
私のそういう噂の7割はかほちゃんから来る。
「そのかほちゃん?はこの噂に関わってるんすか?」
「かほちゃんの友達が実際に試したみたい」
「試しちゃったんすか…」
「怪しいと思わなかったの?その子」
「新入生らしくて、まあしかたないのかも」
この妙竹林高校は、そんなのが多い。
そんなのと言うのはいわずもがな、
心霊現象、すなわちオカルトである。
1年で必ず学年関係なく7人が居なくなるこの高校。
話を聞く限り、誰も入学しようと思わないだろう。
そのため、この妙竹林高校。
名前を書くだけで入学できる(事実)高校である。
心霊現象が多発した結果、倍率がすこぶる下がり、
このありさま。
まぁ、涼香のようにその道の名家もいる、らしい。
編入も可能で、これまた試験は無いため、
何も知らないおつむの悪い若者が7人。
悲しいことに揃ってしまうのである。
「それで、その子をどうすればいいの?」
話がそれたが、本題はそれである。
かほちゃんが言うには、
いつもの7人からどうにか外して欲しいらしいが…
「無理ね。」
「無理っすね。」
「で、ですよね…」
はっきりいって無理だ。
そもそも何かの幸運で今年を逃れたとしても、
1度足を踏み入れてたなら、また引きずり込まれる。
それが、オカルトというものなのだ。
……少なくともここにおいては、だが。
「まあまあ。そしてこれがそれに使ったっていう透明な水でございまーす」
私がペットボトルを取り出して机に置くと、
「わたくしのほうにそれを寄せないで頂戴。」
と涼香が部室を出ていってしまった。
「涼香さん、行っちゃったっすね…」
満はどう思う、と聞いてみると、
「えーと、部長さん」
「はい」
「一般的に、おまじない、つまり呪術系に使ったものには色々と厄介な思いが着いちゃうんすよ」
「もしかして…」
「うん、すごいです、それ」
燃やせー!!!!と、2人で近くのお寺に駆け込む。
幸い、知り合いの住職さんがすぐに燃やしてくれた。
良かった…のか?
まあかほちゃんが何も言わないってことは大丈夫なんだろう。おわりおわり。
理想の私?
顔が橋本環奈ちゃんくらいかわいくて、
足がナムジュンくんくらい長くて、
炭治郎みたいに勇気があって、
推しの子のアイちゃんくらい人気で、
初音ミクちゃんくらい声が良い!
あとあと、!!
って妹に言われた。
そこから先もNiziUとか、エペとか、
YouTuberとか、VTuberとか、
色々言ってたけど。
私の子どもの頃ってなにに憧れてただろ。
プリキュアとか?アイカツとか?プリパラとか?
こうみると、結構女の子してたんだな。
あ、そうだそうだ。思い出した。
妖怪ウォッチだ。
あの頃は男女関係なく公園に集まって、
バトルしたり交換したりバスターズやったり。
みんなで妖怪見えたらいいのに、とか
今日の宿題やりたくないの妖怪のせいだ、とか
あぁ本当に楽しかった。
本当に不思議だけどさ、
あの頃の理想の私は高校生の今の私だけど、
高校生の私の憧れはそうやって笑う貴方なんだよ。
ずっと思い出に閉まってたけど。
まだ、誰かオンラインになってるかな。
3DSを探しに行くとしよう。
突然の別れ。
別に、一生話さないわけじゃない。
明日からも多分教室で挨拶するんだろうな。
俺とお前は幼馴染だった。
家族ぐるみで仲が良くて、今日まで一緒にいた。
だから、
だから当然、隣にいるのは俺だと思ってた。
「恋人ができた」
そんな報告を聞いたのは、今日の放課後、下校中。
俺はその言葉がうまく噛み砕けなくて
「そっか」
なんて言葉で終わらせた。
明日からはその恋人と登下校するらしい。
俺と一緒に歩いた道をあなたと恋人は歩いて、
俺と遊んだテーマパークにあなたと恋人は行って、
なんか、俺の大切な思い出が汚されてるみたいな。
君の恋愛対象は俺の性別じゃない。
もともと、叶わない恋だったんだよ。
さっさと諦めろよ、俺。
さよなら、俺の初恋。16年の恋心。
願わくば、あなた達が幸せになってくれますよう!
恋物語といえば、
古いもので源氏物語、新しいものはsilentとか?
でもいつも嘘っぱちのフィクションの恋に憧れてた。
私は、恋に恋してた。
4歳。きっと白い馬の王子様に会えると信じていた。
9歳。担任にそんな夢は無いと現実を教えられた。
14歳。卒業式の日に告白されるのを夢見てた。
今。周りの恋の話を聞いて、泣きそうになる。
私だって、好きでいられる彼氏が欲しい。
私だって、ずっと好きでいたい。
私だって、誰かを一途に愛したい。
なんで愛せないんだろう。
蛙化現象。みんなそれを女の我儘とか言うけど。
私は本当にそれをずっと患っている。
くちゃくちゃと音を立てて食べるあなた。
サプライズと言って予定も聞かず誘うあなた。
それを断った時の舌打ち。
夜遅くにメールしてきて、返事しないと怒ってきて。
他の男と話すなっていうくせに、
あなたは私以外の女の子と楽しそうに話すんだね。
失望。絶望。諦め。
たった二文字で表せるのが、とてももどかしい。
私とあなたの1年は、
こんな二文字で終わっちゃうんだね。
さよなら。
大嫌いなあなた。
真夜中、帰り道。
バイトが終わって家路へつく。
学生は10時までしか仕事出来ないのがもどかしい。
もっと働けるのに。
真夜中と言っていいのかはわからないが、
もう空は星すら沈んでいる。
そろそろ雪の季節だろうか。
この前より日が沈むのが早くなったかも。
何はともあれ、
頑張った自分へのご褒美に肉まんでも買ってやろうと
コンビニの明かりに足を進める。
今夜の夕飯はなんだろうか。