見つめられると3/29
文化祭の、軽音部のライブ。
次は、私のソロだ。
親、おばあちゃん、知らない人。
そんなに見つめないで。
見つめられると、とっても緊張しちゃうから。
ふと、片思いしている先輩を見つける。
彼もこっちを見ていたのだろうか。
ビビっと目が合う。
目を逸らせない。
そんなに見つめないで。
見つめられると、胸がどきっとしちゃうから。
ないものねだり3/27
「はあー」
大きくため息を吐く。すると、ふと肩の力が抜ける。
どこにでもいるサラリーマンの僕には何も無い。
名誉も富も信頼も、友も家族も恋人も。
金も美貌も才能も。
そんなことを考えている時ほど、電車に貼ってあるポスターに目がいく。
いっそ、俳優になれたらなぁ。
「はあー」
大きくため息を吐く。すると、ふと背中が丸まる。
どこにでもいる地下アイドルの私には何も無い。
お金も自由も趣味も、友も家族も恋人も。
プライベートとくつろぎも。
そんな時ほど、スマホの端の求人に目がいく。
いっそ、サラリーマンになれたらなぁ。
バカみたい3/23
みんなに合わせて笑ってバカみたい。
周りの目を気にしててバカみたい。
自分の好きを閉じ込めてバカみたい。
人を信じられなくてバカみたい。
一人で抱えて潰れてバカみたい。
二人ぼっち3/22
私は、こんなのおかしいと思う。
私のクラスの担任の先生は、最悪な先生だ。
なぜなら、とても厳しくて、昨日なんて、授業中に喋っていただけの男子を、泣くまで叱って、それに加え、
「高学年なら泣き止みなさい。切り替え!」
と怒鳴って立ち去った。
私は、許せなかった。
なのに、男子は叱られるのが怖くて反論しないし、女子だって、権力のそばに居たいのか、それとも、男子に酷い目にあって欲しいのか、先生と楽しそうに会話している。
でも、一人ぼっちで反論したって勝ち目などない。でも、私は協力者を見つけた。
その名も柳田蓮だ。
そいつが、先生の背中をぐっと睨め付けるのを見て、こいつなら協力してくれる、そう確信した。
これで、ようやく私は二人ぼっちになれた。
一人も二人も、あの先生の前では無力にすぎないのに、蓮がずっと頼もしく見えて、なんだか悔しかった。
夢が醒める前に3/21
きっと夢だけど、醒めないで。
「今日の放課後、校舎裏に来てください」
下駄箱にこんな手紙が入っていた。
急いでひっくり返したり、封筒を覗き込んだりしてみたけれど、名前は見当たらない。
この手紙が、横山先輩からだったらな、、、とふと思ってしまう。
横山先輩には、半年前から恋をしている。
そして、そんなことをぼーっと考えていると、前から歩いてきた先生とぶつかってしまった。
「すみません!」
と反射的に謝る。そしてふと床を見ると、ノートが散らばっていた。
「あ、拾いますよ。」
と言い、ノートを拾う。その中に、横山先輩のものもあった。
私は固まった。手紙の、「今日」の文字と、ノートの「今日」の文字の筆跡が同じだったのだ。
私の心臓は、ばくん!と高鳴った。
それから放課後まではあっという間だった。
そして、放課後になって、校舎裏に行くと、少し顔を赤らめた、横山先輩がいた。私も耳まで赤くなる。
「ずっと、本田さんの優しいところが好きでした!付き合ってください!」
夢ならば、醒めないでくれ。
どうせ夢だろうけど、醒めないでくれ。
「はい、喜んで」
オーバーヒート寸前の心臓を抑えながら言う。
そして、その後、一緒に帰る事になった。
長い夢だった。でも、どうせそろそろ醒めてしまう。
それが嫌で、引き留めたくて、手を繋いだ。
夢とは思えないほどに、温かかった。
もう満足だ。醒めてもいい。そう思って、ほおの内側を強く噛む。
痛い。ちゃんと痛い。
今まで、諦めかけていた嬉しさが、今一気に押し寄せてきた。