星嶺歩王

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3/26/2026, 1:42:48 PM

我が主は
強く逞しい体で、
頭が良く、統制力もある
そして妖術が使え、とても強い。

俺は、
逞しい体なんか持ってないし、
特別頭が良いわけじゃないし、
妖術が使えるわけじゃない。
貴方との共通点といえば、甲賀衆に産まれた事だけ。
太閤豊臣秀吉の配下として、共に闘っただけ。
元々、天と地との差があった。

目の前で散っていった貴方を見て、
俺は自分の無力さを憎んだ。

なんで、強い体じゃなかったのか
なんで、頭が良くなかったのか
なんで、妖の技を取得できなかったのか
なんで、俺じゃ無かったのか
なんで…なんで?




なんで!!!


ないものねだりも甚だしい。


そして、俺は主の仇にも負けた。

伊賀者のくせに、陽光の様に眩しく、強かった。
京の街と秀吉の為にあんなにも強くなれるなんて…
あぁ、なんで俺はこんなに弱いんだ…。
仇に負け、貴方が居ないこの世など、生きている意味など…。

「佐助」

「っ…!?」

「下らない事をするんじゃない。生きろ、生きて…殿を守れ。そして、殿が道を外れたと感じた時は、甲賀衆の、全てを見ていたお前の手で。処罰を下すんだ。」

殿…
俺の殿は貴方しか居ない…。
でも…俺の唯一の"殿"の命だ。
俺が…俺がやるしかないんだ…!

「はっ…!白雲斎様の命、しっかりとお守りいたします!!」

「…達者でな」

「はくうんさ……ま…、…ッ白雲斎さまぁあああ!!」


一頻り悲しみに暮れた俺は、太閤秀吉様の側近として、秀吉様を守る為、我が主、白雲斎様の命を守る為、更に強くなる事に専念した。

"ないもの"は俺の心の中で俺をいっそう強くしてくれるから。





参考
カブキカフェナゴヤ座「GOEMON.-桜華絢爛春ノ眺ハ嗚呼絶景」
より

3/24/2026, 5:27:21 PM

「今日の占いによると、ところにより雨が降るそうですわ」

澱んだ茶色の雲の下、さほど大きいとは言えない城の中の部屋に二人。
青年とその夫人が、各々の作業をしながら空を見上げている。
「どこで降りそうなんだ?」
「〇〇国から◇◇国にかけて。我らが城の真上も。広い範囲であります故、各所で量も違うかと」
「なるほど…。」
二人は、朝の訪れとともに、恵みとも災いとも取れる空を見上げていた。
バラのように美しい夫人の顔も、今日は、一日中水を浴びたラベンダーのように沈んだ顔をしている。
「何かご予定が?」
「今日は久方の休暇だったんで、バンコーとウサギ狩りでも行こうかと思っていたが、この天気では到底出来まい。今日はお主と共にのんびり過ごすとしようじゃないか!」
「ほんとうに!?」
「あぁ!ここ最近、夜中も顔を見せる事が少なくなってしまっていた。減った分を取り戻さねば。」
「んもう♡愛しい人!」
「こちらの台詞だ。こんなに美しく可憐で、
…こんなにも愛しい人が隣にいるなど。なんて幸せ者なんだ、俺は!」



本日の〇〇国の天気は、ところにより雨
時々晴れ





魔苦滅須バックストーリー


参考
W.シェイクスピア「マクベス」
ナゴヤ座「MACBETHー魔苦滅須ー」
より

3/22/2026, 3:21:26 PM

バカみたいに戯れて
バカみたいに笑って
バカみたいに泣いて
バカみたいに喧嘩して
バカみたいに忘れて
バカみたいにまた笑う
ほんとに、何やってんだろうなぁ






バカみたいに楽しい

3/18/2026, 6:00:34 AM

「卒業式?泣かないよ笑
なんで俺がお前のために泣かないといけねんだよ笑」
「君はいつまでもひどいなぁ笑」
他愛のない会話をしながら帰った2月28日。
中学からずっと一緒だったたった一人の親友(?)と笑いながら、いがみ合いながら(笑)帰った卒業式の前日。
俺たちは晴れの門出を待ちに待ちながら、帰路に着いた。


「っ…うぅっ…」

「何泣いてんだよ笑泣かないって言っただろぉ?」

俺の足元で親友は嗚咽をあげるほどに泣きじゃくっている。
俺はしゃがみ込んで彼の顔を覗き込むが、俺を見る事も跳ね除ける事もせず泣き続けている。

「なんで…なんでぇ…!」
「なんでもクソもねぇだろ笑」

辺りを見回すと、父さんも母さんも、担任のいけすかない先生も皆んな泣いていたり悲しい顔をしていたり。
水臭いったらないなぁ。
少なくとも、お前以外の人間は嬉しいだろぉ?
皆んなが望んでた事じゃねぇか!
俺の素晴らしい旅立ちを目に刻んでくれよぉ〜。

文字通り綺麗だったと思うぜ〜。



『昨日23時50分頃、〇〇市〇〇区〇丁目の雑居ビルの前で死体が発見されました。遺体は、身元が判別出来ない状態で、警察は身元判別を急ぐとともに、自殺として捜査を進めている方針です。』


3/17/2026, 2:40:35 AM

僕が夜の廊下を怖がっていた時、兄さんは
「おれがいるからこわくねぇよ」
と笑いながら言ってくれた。
兄さんがいなくなってから、僕は全てが怖くてたまらなかった。
僕から兄さんを奪っていった全てが怖くて憎くて
でも、どうしても諦めきれなくて。

僕は警察官になった。
法と金が渦巻く世界で。
「怖い」なんて言葉、使った瞬間堕とされる世界で。
僕は「正義」を武器に闘うことを選んだ。

そして今は、何かを憎しみ、何かを拒み、怖がっている兄さんのために。
血で滲む視界の中、同じように血まみれの兄さんの手を掴むように。
今できる精一杯の笑顔で。

「僕がいるから…怖くないよ…」


参考
A.デュマ「モンテ・クリスト伯」
カブキカフェナゴヤ座「GANKUTSU-O~復讐の鎮魂歌~」
より

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