星嶺歩王

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4/18/2026, 5:02:49 PM

俺にとってこの世界は無色だ。
白と黒で構成された無機質な世界。
人々の笑いは耳鳴りに変わり、人々の悲鳴は心地よいサウンドに変わる。
変わり映えのない、つまらない世界。
この世界に色がついた瞬間が一つだけあった。
ダングラールとヴィルフォール、そしてフェルナン。あいつらの顔が歪む所を見たとき、私の視界は色鮮やかに変化した。
あいつらに復讐する。
そう決意した瞬間だった。
殺すことなく、
俺が請け負った全ての苦痛を味わうまで、
絶望と恐怖のどん底に突き落とすまで。
俺が色鮮やかな世界で暮らせる様に。



しかし…


私の目に映った世界は色鮮やかな世界とはかけ離れた世界だった。
じっとりと赤黒く、汚い、目も当てられない世界。
ダングラールとヴィルフォール。
二人の手に握られた刃には、
誰のものだろう
ドス黒い命の液体がべっとりついている。
目の前の弟もまた、
ドス黒い液体に塗れて蠢いている。
弟が手を伸ばしている。
「にいさん…にいさん…」
と蚊の鳴く様な声で呟いている。
何故だ、何故だ。
この復讐で私にも色のついた世界が見られるはずだった。
だが私の目に映ったのは、一色だけだった。
挙げ句の果てには弟の命さえも奪っていってしまった。
私は…俺は一体なにを見ていたんだ?
俺は…何の為に色を追い求めていたんだ?
分からない…分からない…


分からない




……

参考
A・デュマ「モンテ・クリスト伯」
ナゴヤ座「GANKUTSU-O〜復讐の鎮魂歌〜」
より

4/14/2026, 1:47:26 PM

神様へ
あの人と付き合わせてなんて申しません
あの人と話す機会が欲しいなんて申しません
ただ、見守っていてください
それであの人と少しでも目を合わせられたあかつきには
褒美として
あの人の笑顔をください

4/13/2026, 1:07:31 PM

本日は晴天なり

私の心も快晴なり

貴方といれば快晴なり

4/7/2026, 6:57:11 AM

雨降る吉原。三浦屋の張見世には、着物の裾を露で濡らす艶めかしい遊女達が、街行く殿方を待つ。
店の2階からは、雨粒の後ろに隠れながら、男女の時を過ごす声音があちらこちらで聞こえる。

店奥に一人佇む麗しい花魁。
揚巻太夫は、部屋の格子窓から外を覗いた。
遊郭の明かりに照らされ、雨雲は赤く染まった。

「あの人の目そっくり」

揚巻は、愛しの助六を想った。
彼のその、赤く沸る火を灯した目に揚巻は惚れたのだ。

「遅いねぇ…。…助六さん…」

今日もまた、店前には陰見世の札が掛かっている。
助六が買ったのだ。今宵の彼女を、
待ちくたびれた揚巻は、ゆっくりと床に伏せてみた。

少しして、階段の軋む音がした。
店の人じゃない。強い足音。雑踏の中でも一際聞こえた。
襖が開いて人の影が鮮明に見えた。
そこにいたのは、全身ずぶ濡れの助六であった、

「待ちくたびれたでありんす…」

水も滴る良い男とはこの男の事を言うのだろう。
顔も着物もじっとり濡れていた。
普段は傘を差してくるのに。
喧嘩の帰りだろうか。
傷ひとつない顔、されどくたびれた様子なのはすぐに見て分かる。

「すまないね」

助六の目は、まだ赤い火が燻って見えた。

「手拭いを」
「ありがとう」
「今日はどちらへ?」
「東門に輩が固まってたんで、懲らしめてきた」
「そうでありんすか…」

助六は着物を一枚格子窓に掛けると、揚巻の前に座った。

「お前の眼は綺麗だ。見つめていると、さっきまでの熱が冷めて疲れも癒えていくようだ」
「それなら、わっちも」

刹那、揚巻は助六の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「助六さんのその眼…。喧嘩の時の赤く沸る目も、輩を煽る時の幼い目も、私を見据えてくれる男らしい目も…全部好きだわえ」

「いつにも増して強気だな」
「遅れて来た罰でありんす。覚悟はよろしいか?」
「望むところだ」

雨降る吉原、三浦屋の店奥では、ずぶ濡れの色男と殿方の海に溺れる花魁の物語が始まった。



めっちゃミスった。

4/3/2026, 2:26:22 AM

語り合いながら呑んだ酒も
バカやって怒られた日のあのネタも
気の向くままに旅した道も
二人で肩組んで戦に励んだ日の空も

友に会えなくなった時の寂しさも
友に再会できた時の嬉しさも

大切な人に刃を向ける絶望も

復讐の炎を燃やし続けた瞳も
主の為、敵を討ち取り突き上げた拳も

桜を見上げてみんなで笑ったあの時間も

この10年が
この全てが

俺たちの
皆んなの

大切なもの




参考
カブキカフェナゴヤ座名古屋山三郎一座
10周年の軌跡

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