summer

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5/10/2023, 11:23:44 PM

モンシロチョウ/



ちっさいころ言ってた
『もんしろちょうちょ』
久しく見てないから
見たいなって思ってて

そしたらこないだ居たよ
晴れの日
駅前の大理石のオブジェに

鱗粉のまぶさるさらさらした翅(はね)
葉っぱみたいな脈のすじ
細い細い細い触覚

白くて こまやかで
息をしてて
ちっさいころ友だちだったものは
(もう触れもしないけど)
こんなに綺麗な生きものだった

4/28/2023, 10:50:34 PM

刹那/



いまだけでいい、と思えて
危険な想いを手にする

いまがよければ、なんて
くだらないとわかっていて

頭が子どもにもどったんだ、と
自分を見くだすいいわけをする

なにも変らない、知ってる
だったら

やけっぱちの想いをしっかり握る
武器(えもの)は重みを増す

今夜ぶち壊せなくても
わずかに抉(えぐ)るだけだとしても

諦めるな ずっと抉れ
いつか砕ける どうせなら

十のがらくたと引き換えに
一つのかがやく刹那をつかめ

4/23/2023, 2:56:00 AM

/たとえ間違いだったとしても



うたた寝に
夢を見た
お告げのようにも思えたが

私なぞの身に
そんなことが起きるだろうか

空は曇りだが
雲は薄墨と白によく光り
私らしい空だった

あれはお告げなのかもしれない
私は
よんぶんのさんくらい、信じることにした

4/21/2023, 2:23:32 PM

/雫


しりとりのめぐる輪のなかに
 ひたり、と 沈黙が落ち
 耳の底に氷がひとかけ溶けた気がして
 誰かが「幽霊だ」などと叫ぶので
 ちりぢりになってしまう

ずん、と地がひびき
 人びとは足を止め不安に見かわす
 列車は止まり 踏切は鳴り続け
 それら全てをうつして
 壊れた水道の口から一滴がふくらむ

くちびるに落ちる雨粒は
 広い天から
 どうやって私を目がけ
    墜落(おち)てきたのだろうと
 いつも思うが
 思いつくことはどれも空虚で

 せめてうたを紡ぐこの唇だけは、と
 天から落たもので湿(しめ)して濡らして
 今日もこればかりの
 しずくうた。

4/19/2023, 10:13:26 PM

/もしも未来を見れるなら



のぞき穴のついた白い扉がひとつ
どうするかな
のぞく?
あける?

私はしばらくドアから遠ざかり
ちらちらと伺う
またしばらくして
耳をつける
扉の隙間から漏れ聞こえる音は
街の雑踏に似ていて
波の音、
からだの中で聴く
鼓動にも聞こえて

私はそっと身を離す
のぞき穴のついた白い扉がひとつ
暗くなると
扉の下に細く細く光がまたたく
私は……

のぞかない
のぞかない

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