「どこまでも」
気分転換に
朝に海を見に行ったら
どこまでも続く水平線
そこから出ずる
太陽の光
空には秋の雲が
点在し
実に美しい景色だった
きっと私の心も
こんなふうに
生きたがっている
他に遠慮もせず
どこまでも自由で
時に暗くなっても
その上には
太陽があって
そんな景色を何時までも
見つめていた
「未知の交差点」
その日
私は会社で凄く嫌な事があって
気持ちが荒れてクサクサしていた
このまま家に帰るの嫌だなあと思い始めた
嫌いな人の顔がチラつく
気分転換に知らない道を歩いてみることにした
夜だったけど
確かあの路地の先には行ったことがない
建物があったはず
そうそう、この道を真っ直ぐ
やがて知らない十字路に出る
ここは右に曲がった事がないなあ
今日は曲がってみよう
すると道の右側に見たことがないお店が見える
赤い屋根におしゃれな建物
惣菜のパン屋さんだった
私は興味が湧き入ってみた
お店の中は木製の棚にパンが並んでいた
「いらっしゃいませ!」
若い女性が店にはいた
店員さんらしい
「こんばんは
初めて来たんですけど
ここのパンのおすすめはありますか」
「ありがとうございます!
このクロワッサンと惣菜のデニッシュが
おすすめですよ」
私はその2つのパンを買って
家に帰った
空には月が欠けて見えている
家に帰って
早速、その2つのパンを食べることにした
「うわー!
マジ美味い!
知らないって損してた…」
家に近いパン屋さんだった
今度から毎週の休みに通おうかな
何だか食べてると
心がポカポカ温まる味がした
また、食べたくなるパンの味
次に行ったら
色々と店員さんに話しかけてみようか
パンは美味しかったと伝えよう
そんな事を考えているうちに
会社であった嫌な事は忘れていた
明日はどうするべきか…
うーん、作戦を練る
パンはどうやら私のエネルギーになってくれたみたい
「一輪のコスモス」
今日もコスモス畑のコスモス達は
元気だった
その日は晴れで気持ちの良い朝
コスモス達も早く起きて
朝のおしゃべりを楽しんでいる
キバナコスモスが話をする
「昨日は人間が私をいっぱい写真に
撮ったわ」
白いコスモスも話はじめる
「あら、私も沢山撮ってもらったわよ」
ピンクのコスモスは朝の身じたくに念入りだ
「私も今日は沢山撮ってもらいたいわ」
どうもコスモス達では人間から
カメラで撮ってもらうのを竸っているようだ
小さなつぼみのこれから咲くコスモスも
話はじめた
「私も咲いたら沢山撮ってもらいたいわ」
その日のコスモス畑には人間がいっぱい
見に来ていた
キバナコスモスも風に揺られながら
ポーズをきめる
白いコスモスもピンクのコスモスも
皆、綺麗に写してもらおうと頑張っている
人間もいい写真を撮りたいから
カメラを片手にアングルを探す
今日もコスモス畑の
コスモス達は元気である
自分の短い生命を精一杯生きている
風にそよぎながら
太陽はその様子を見て
暖かい光をそそいでいる
今日もコスモス畑は何事もなく
平凡な一日を
精一杯生きるのだった
「秋恋」
夏のモクモクとした入道雲も
好きなんだけど
秋に見られるうろこ雲やひつじ雲を
最近、よく見かける
いつも空が気になり
散歩の時は空を見上げている
春は桜と青空の
見事なコラボレーションが見られて
卒業式や入学式の時期
別れと出会いの時期になる
空は黙って私達を見つめている
秋、
空が明るいと
秋の花や紅葉が楽しみである
今日は晴れるかな
曇りかな
晴れたらいいな
「愛する、それ故に」
昔の結婚生活は完全に
私の片思いだったけど
何処かにドーンと旅行したとか
何か買ってもらったとか
そんな大きな思い出より
ささやかな小さな出来事が
幸せな心に残る思い出となった
夫婦で一緒に歩いた記憶があるが
川べりの道をウォーキングして
川の中を覗いたり
鳥や木々の四季を楽しんだりして
毎日を過ごしていた
私はあまり欲がないのか
そういった小さな幸せを味わうのが好きだ
今でも朝のコーヒーや
空模様や雲の形
朝の空気とか
そういう、小さな小さな
ささやかな幸せが自分であるし
心に残る思い出になっている