晴川

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1/11/2025, 4:21:27 PM

マッチをまた1本、燃やす。
そうすると暖かな家の中でごちそうと優しい人たちが笑顔で迎えてくれた。

消える。またもう一本。
なんとなくわかっていた。マッチを燃やし尽くす頃にはわたしは凍え死ぬのだろう。でも、家に帰るくらいならこの暖かなな夢の中で眠ってしまったほうがいいのかもしれない………。




冷えきった冬の夜、売れ残りの薪を背負いながら帰宅中の少年は、道の隅でぼんやりと小さな灯火を眺めている少女を見かけた。

目の焦点があまりあっていない。こんな寒い中あの格好で何時間いたのだろう。誰が見ても凍えきっていた。
道を歩く大人たちはそんな少女には目もくれず足早に去っていく。少年は思わず声をかけた。

「なぁ、そんな格好じゃ死んじまうぞ。さっさと家に帰んなよ。乞食だってもっとましな寝床にありついてるぜ」

少女はそれでもぼんやりとマッチの火を見つめている。無視された事にムッとした少年はその火をふうっと吹き消して、

「そんなちっぽけな火じゃ鼠でも暖まれないだろうな」

火を消された少女は少しの間マッチを見つめていたが、突然ハッと気がついたかのように顔を上げた。
それから少年に何か話しかけるように口をもごもご動かしたが、寒さのせいで歯の根も合わないようだった。

やがて少女の目は潤み、目じりから流れた一滴がツウと頬を伝い、すぐに薄く氷を張ってしまった。

「はぁ、しかたがないなお前」

少年は呆れたと言うように大きなため息をこぼすと、着ていた分厚いコートを少女を羽織らせ、彼女の首から目の下あたりをマフラーでぐるぐる巻きにした。

それから背負っていた薪を2束ほどと木の皮を少女の目の前に置き、

「暖ってのはな、こうやってとるんだよ」

少女の持っていたマッチ箱をひったくると、マッチを一本つけて、薪の上の木の皮に火をつけた。それから器用に火を大きくして、あっという間に立派な焚き火を作り上げてしまった

少女の目からとめどなく涙が溢れた。しかし今度はそれが凍ることはなく、マフラーに染み込んでいった。

「おい、なんだよ。なんで泣くんだよ」

どうして良いかまるでわからない少年は帽子や耳あて、手袋まで与えてしまったが、少女はさらに泣くばかりだった。



困り果てた少年が、さらに2束の薪を足した頃、少女はようやく話し始めた

「わたし、このまま眠ってしまわなくて良かった。起こしてくれてありがとう。あなたはわたしの王子様よ」

真っ赤な目と頬でにっこりと笑いながら言うもんだから、彼にはまるで灯火のように見えた。


「さしずめお前は眠り姫か白雪姫か?そんな赤い顔で、さぞ林檎がお似合いだろうな」

「もう手遅れだろうが、風邪を引く前にさっさと帰んな。こんな夜中にお前のようなの一人じゃ、連れて行かれても知らないぜ」

少年は懐から袋を取り出すと、マッチ代だと言って少女に押し付けて、走り去っていった。




少女は焚き火が燃え尽きるまで眺めていたいと思ったが、少年が去ってすぐに火が消えてしまったので、家に帰った。

そっとドアノブをひねると、父は酒を抱えたまま眠っており、少女はそっと、『マッチ代』をテーブルに置くと、そのまま自分の布団にくるまった。


わたしは夢を見ていた。たぶん覚めない夢を。あのとき彼が声をかけてくれなかったら永遠に。

これは奇跡だ。マッチを持ったわたしを薪を持っていた彼が気にかけてくれた。防寒具をくれて火まで起こしてくれた。
彼はわたしのせいで風邪をひいていないだろうか。またあそこにいたら会えるだろうか。わたしの王子様。

彼がくれた防寒具と布団に包まれながら、暖かな家屋の中で彼と一緒に食事をする夢を見た。




明くる日。少年は熱を出し、薪の売上と防寒具はどうしたのかと母親に問われながら、半分眠りかけていた。
熱に浮かされながら、森の中で焚き火を囲んで、
林檎のような頬をした少女と、
まるで王子と姫のように優雅に踊る夢を見ていた。

1/5/2025, 4:35:11 PM

朝7時。雪かきをしに庭へ出た。

昨晩は大雪で、帰宅後と22時に2回雪かきをしたが、
やってもやっても積もるばかりで、
もう明日の自分に任せようとさっさと寝てしまった。

庭へ出ると、昨晩が嘘のようにきれいに晴れていた。
まだ夜とさほど変わらない静けさと暗さだが、
空の向こうに薄っすらと日が差し始めている。

雪が降った後特有の澄んだ空気が胸いっぱいに広がる。それと同時に鼻の中が凍った。

−17℃。顔を覆って出てくるべきだったか。頬表面の水分が冷えて頬が痛い。産毛も凍って白くなってるだろう。


だがそれでも私は、この夜明け前の雪明けの空気が好きだった。雨上がりの空気とはまた違う。吸うだけで体の芯が凍えてしまいそうな、この凛とした大気が。

まあしかしいつまでもこうしているわけにはいかないので、速やかに雪かきを始めた。

まず家の前の階段の雪を除雪用のほうきで掃く。
下から出てきた氷を氷突き棒で割ってまた掃く。

それから家の前の道の雪をよけて、あとはひたすら雪を雪山に運び靴が埋まらない程度に除雪していく。

最後に除雪車が通る場所に庭の雪山に乗りきらない雪を出した。
本当は道路に雪を出すのはあまりよくないのだが、ここに車が通ることはほぼない。(この雪量なら尚更)

本当は面倒なので雪かきなぞ人に頼んでしまいたいが、そうなると1回○万円ほどかかるので最終手段だ。どうせよけたってまた降ってくるのだ。運動不足解消になると思おう。



8時半を過ぎた頃、大雑把にだが作業を終えて自宅へ入った。途端に眼鏡が曇る。

雪国の家屋内は大抵ガンガン暖房を焚いており、うちも例外ではなく、室内温度25℃。正直暑いくらいだが、
室内では半袖でアイスを食べるのが雪国の民である。

私もその伝統に則り、朝風呂を終えてからとっておきのアイスを取り出し、ガスストーブの前でテレビをつけながら食べ始めた。
まだ午前だというのに、なんて素晴らしい休日!

こんなにも良い天気なのだ、今日は駅前のスケートでもいこうかしら。休日だから混んでいるだろうか。

ああでも、氷の上を風のようにきって滑るのは、言葉では説明のしがたい気持ちよさがある。
特に屋外スケート。厚い雲の奥からささやかに降り注ぐ日光を浴びて、少しガタついた氷上を刃で削る楽しさよ。

習っていたわけでもない。学校の授業でやった程度のものだが、やはり楽しいものは楽しい。

決めた。今日は駅前で買い物ついでにスケートに行こう。それから近くのカフェで優雅に珈琲でも飲んでのんびりしよう。それがいい。



連休最後の休日にふさわしいものにすべく、私は外出の支度を始めた。

1/4/2025, 5:28:59 PM

『本当の幸いとはなんだろう。』


少年はつぶやいた。
ぼくは答える


「みんなの本当の幸いのためならば、
もしそんなものがあるならば、ぼくはたとえ、なんべんでも体を焼かれたってかまわない。けどね、」

「きっと、ぼくにはぼくの、きみにはきみの、ひとつ
ひとつの幸せがあるだけさ」






『お母さんは喜んでくださるだろうか。』

「きみのお母さんは泣いていたよ。でもきみのこと
立派だとおっしゃっていた」







『ほらあそこ、きらきらひかってきれいだねえ。
ぼくのお母さんも手を振っているよ』


「ぼくには大きくてまっ暗な穴が見えるよ。
ぼくにもきみの景色が見えたらよかったのに」





今でもすべて憶えている。














「「ねえ、ぼくたち、どこまでもいっしょにいこうね。

カムパネルラ!」」











声が重なった。かつてのぼくと共に。



「……行けたらよかったのにねぇ。
ぼくのひとつの幸せはね。カムパネルラ、きみと友達であることだったんだよ。」



これが夢であることを、いつも同じ台詞で思い出す。


「きみが友達であることが誇りで、何より嬉しかった。
いじわるなザネリなんかのために、君が沈むことなかったのに」


そして彼は消えているのだ。あの時と同じように。





銀河鉄道。ぼくとカムパネルラが最後に一緒にいた場所。あのときはまた昔のように仲良く語り合えた。
そのときにはきっともう、カムパネルラは沈んでいたのだろうけど。


水底にいるはずの彼と、遥か銀河を走る汽車の中で語らったあの時間を、私はこの年になった今でも夢にみている。何回も、意味のない返事を虚像に向かって放り投げていた。

「なぁカムパネルラ。君は、君のひとつの幸せを手に入れられたのか?」


そう問いかけたとき、半分夢から醒めているのがわかった。かつての面影もない、年老いた姿で虚像を見つめる。
同じことの繰り返し。返事がないとわかっていても、
目が醒める前のこの問いをやめることは、
いつまでもできなかった。

虚像が静かにこちらを見つめている。








……虚像が静かにこちらを見つめている。まだそこにカムパネルラが立っている。なぜだろう。




『ぼくは本当の幸いを手に入れたよ。ぼくは立派な行いをした。お母さんは褒めてくださったでしょう?
そして友達と素敵な旅ができた。これ以上の幸せったらないよ』


「嗚呼、まさか」


『ねぇジョバンニ。もう少ししたらぼくら、
本当にどこまでもいっしょに行こう』


これは夢だ。わかっている。わかっている!
だけどもそうか、夢だもの。ちょっとばかし自分の嬉しい方へ向いてもいいじゃないか。


「きみか、きみなのか。ぼくのこと、迎えにきてくれたのかい」


彼はポケットから小さな紙切れを取り出して、私に手渡した。


『あのとききみが持っていたチケットには劣るけどね。ぼくらこれでおんなじとこまで行ける。』


それは小さな切符だった。かつてカムパネルラや他の乗客が持っていたのもこれだったのだろうか。


「また、会えるのか?」


『きっとまたいろんな星を見に行くんだ。約束しよう』






眩い光で目が覚めた。頬を伝う冷たい水で、嗚呼やはり夢だったのかと頭も冴えた。




頬を拭ったとき、何かを握りしめていることに気がついた。



古びた、1枚の切符。







私は約束の日までに身の回りの整理と彼への長い土産話を書き留める作業に追われた。







切符の日付は、次の星祭りの日。再びあの銀河鉄道に乗る日まで、あとxx日。

1/3/2025, 2:56:37 PM

初日の出。

年始最初の日の出である。ただの太陽。
なのに、わざわざ休みの日に、早起きして!
拝みに行こうとする人間が一定数いる。

せっかくの休みに俺は早起きなんぞしたくない。

そもそも前日の大みそかは夜ふかししても良い日なのだから次の日にはゆっくり昼まで休むべきではないか?

初詣や初日の出を見に行くよりかは、寝正月を満喫して、正月明けの学校や仕事に備えるべきでは?

そんなことをだらだら文句を言っていれば、母から
「お年玉が欲しかったらついてきなさい。寝坊したらおいてくわよ」
と人質(金)を盾にされた。

仕方がないので半分寝ぼけながら家族で神社へと向かった。近所の神社は山の上にあるので、そこから日の出も見える。初詣のついでに初日の出を眺めることができる場所だ。

寒い中震えながら待っているとようやく日が差してきた。神社の砂利や石畳がキラキラ輝いている。
眺めていると、砂利の上に何か透き通る物が光っていた。拾ってみるとそれは蛇の抜け殻だった。それも多分白蛇。日にかざしてみると、抜け殻の鱗の形が光に透けてよくわかった。

丁寧にそれをしまい、初詣を終えて帰宅した。
おみくじも引いた。

中吉
金運:神の加護あり

早起きは三文の徳とはこのことだろうか?懸賞でも当たるのだろうか

家では無事今年もお年玉を貰って一安心したので、試しに何か運試しをしてみようかと蛇の抜け殻を部屋のテーブルに飾って考えていた。

「それどうしたの?」
昨日から家に泊まっていた叔父に尋ねられた。神社で拾ったことを話すと、白蛇は縁起がいい。今年の干支でもあるから尚更だ!譲ってほしいと言い出した。

神の加護ありかもの金運アイテムをそう簡単には渡したくない。追加のお年玉を検討してくれるならと交渉した。
+5000円くらいもらえないかなと思ったところなんと叔父は諭吉2人、渋沢3人をくれた。三文の徳!!と思って喜んで金運アイテムを渡した。いい取引をした!



2ヶ月後、叔父が宝くじを当てた話を聞き、俺は神社に蛇の抜け殻を探しに行った。

1/2/2025, 2:30:39 PM

健康第一!
やりたいと思ったことを無理しない程度に実行する!
やれるうちにやりたいことやっといて
少しでも理想の自分に近づくのだ!!!!

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