晴野遊貴

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「お前のこと、嫌いだよ」

二人での通学路で、僕は立ち止まって吐き捨てるように言った。するときみは振り返って、

『どうしたの?』
とぎこちない話し方で問いかけた

「靴紐ほどけた」
しゃがんで靴紐を直す振りをした。地面に向けている僕の顔はとてもきみに見せられたものではない。

「嫌いだ。お前と仲良くなんてならなきゃ良かったんだ」

聞こえないきみには絶対に届かない告白。

届けてはいけない告白は、にじんだ視界の中で地面に吸い込まれていった。

6/17/2025, 2:41:05 PM