人形の様な人々は、人形の様にたたずむ
行く宛も無いから、只、たたずむ
床も壁も真っ白で、落ち着かない待合室
皆、同じ様な服
洒落た服を着ている者は居ない
私以外は
私は
行く宛も無いことが誇りなのだ
私は特別だ
ふらふら歩いている方が勿体無い
只、たたずんでいる
無個性な中で、私は輝く
誰も言葉を発さないなら
私が言葉を発しよう
私の素晴らしさを
気高さを
嫌と言う程に聴かせてやろう
今や私は無個性なのか
洒落た服さえ意味が無い
立ち上がれない
彫刻に成ったように
身体が動かない
今や私は無個性なのだ
情緒が消え失せる
感覚が薄れる
どうでもいい
もうどうだっていい
下を見て安心する私は
何時の間にか
地の底へと
堕落したのだ
室内は気味の悪いくらいに
静かなのだ
別れ際に言われてみたい
『また学校で』
特別な言葉でなく、身近な言葉でいいから
言われてみたい
教室を見渡すと、絶妙な距離感の男女がちらほら
『羨ましいな』と思う
私って、男の子にはどう見えてるんだろう?
無機物?何の言葉も発しない、何か…
女の子にも同じように見えてるのかな?
自分を慰めたい
そんなとき、どうするか
『書き記す』
とにかく書き記す
意味のないような事も、どうでもいいことも、書く
明日の私への伝言
【今日こそ楽しい1日にしろよ】
秋といったら、【合唱コンクール】だと思う。
やけに先生が熱くなる。
みんな気合いを入れ始める。
『金賞とろうね!』『最後の合唱楽しもう!』
体育館に響くか心配だけど、頑張りたい。
形の無いものは沢山ある
愛情とか友情とか恋心とか
友達と手を繋いだり、言葉を交わすのは
ひとつのものとして存在してる
誰かを好きな気持ちも
誰かを愛する気持ちも
おんなじように存在してる
そんないろんな感情や気持ちは
手に取れないし触れることもできない
けど、存在してる
形は無くとも、ちゃんとあるんだよ
だから、もしも誰かがあなたを嫌っていたとしても
決して苛立っちゃいけない
その感情や気持ちの存在を否定しないで
存在証明を打ち消さないで
ガキの頃によく近所の公園で遊んでいた。
ブランコだったり鉄棒だったり、公園にしては遊具が多かった。
でも、その内、俺はジャングルジムが好きだった。
てっぺんに登ると、なんだか気分が良かった。
太陽に手が届くような、月や星に手が届くような、
そんな感じだった。
ジャングルジムはあの事が起きた後に撤去された。
代わりに、そこには屋根のある休憩所が出来た。
そこまで思い入れがあった訳じゃない。
でも、ガキだった俺は物悲しさを覚えていたと思う。
ちっぽけな俺でも
太陽を
月を
星々を
手にする事が出来ると教えてくれた。
ペンキの剥げたジャングルジム
思い出すほど愛しくなる。
再び巡り合う時を気長に待っていよう。