ほっと一息。
いつもより自分を大事にする夜。
映画を見て泣いて、ココアの優しい甘さに舌鼓。ベッドに転がりスマホをいじる。お菓子も少しつまんじゃおう。カロリーとか今だけは忘れて。
あくびを一つ。目を擦り、きちんと歯を磨いたら天井と挨拶。静かに呼吸を繰り返す。
うん、明日も頑張れそう。
2024/10/08 #束の間の休息
子供達が帰った後、ブランコが微かに揺れる。ブランコに腰掛け、たそがれているのはまだ若いのに顔がやつれているスーツの男性。
はあ、と大きな溜息を吐きそのまま視線を地面に向けている。
「どうしたの?」
と声をかけた。男性は思った以上に業務が忙しく、つまらないもので希望を見出せないらしい。可哀想に。
「私が助けてあげるよ。お兄さん。」
歳をとってしまうからいけないんだよね?任せて。
お兄さんの大きな手をとって導いてあげる。今は私の時間。逢魔が時、黄昏とも言うんだっけ。...詳しいことはどうでもいいか。
「お兄さんの味は悪くはなかったよ」
2024/10/18 #たそがれ
きっと明日も想いを馳せる。
2024/09/30 #きっと明日も
ネオン街には蝶がいる。その蝶たちは自身を売り、自ら標本になる。
ビルの最上階から夜の街を眺める。こんなにも見てくれは美しいのに、少し傷がつけばそこからどれだけの膿が溢れるのだろうか。どんなに美しいものも化けの皮を被ることで、本来の醜さを隠すのだ。
人間も顔を剥げばどんな醜悪なものが見れるのだろう。
好奇心を満たすため今日も美しい夜景に紛れ、自身の手を汚く染めていく。所詮人間そんなものさ。
2024/10/18 #夜景
色鮮やかな花々が咲き誇る。私は一人歩いている。
穏やかな日に当たり、頬を心地よく撫でる風が吹く。私は花のベッドにゆっくりと腰を下ろし横たわった。草花の香りが身体中を巡り、ゆっくりと私は力を抜いた。そのまま意識を手放して。
あんなに穏やかな日から何年が経っただろうか。かつての色彩は失われ、代わりに冷たく固いコンクリートが大地を覆っている。穏やかな日は皮膚を突き刺す光に、心地のよい風は汚染された空気を運ぶようになってしまった。これを発展と呼ぶべきか。
そんなことを考えながら、延命装置を外し意識を手放した。
2024/10/18 #花畑