夜空が反射して海面に映っている。ゆっくりつま先を海に沈めてゆく。こうしてまじまじと見ると、宇宙に沈むように感じる。
冷たい、けれど心地が良い。
泡が月光に照らされ輝いて見える。それはさながら星のようで美しい。
海も宇宙も同じなのかも知れない。どちらも未知で溢れている。
海へ、墓場を求めて明日もきっと漂い続ける。
2024/08/23 #海へ
「コール」
「...レイズ!」
「コール...。」
ここで勝てなきゃ負ける。いや、負けなんてあり得ない。レイズしたんだ。
カードを死角で裏返し、袖口に忍ばせ別のカードを出す。さあ勝負の時間だ。
「フォーカード...!」
お嬢さんには申し訳ないけど、ここで大儲けして
「ロイヤルストレートフラッシュ。あはは、お兄さん油断したね。駄目じゃない。」
盤面が裏返った。何故?バレていないはずだろ...!?
「お兄さん、これは運の世界。イカサマも良いけれど、それは一番じゃない。」
全てがひっくり返った。
2024/08/23 #裏返し
晴天に想いを馳せる。飛ぶ事が出来ればどれだけ楽しいだろうか。ああ、僕はどうして飛べないんだ。
いつか飛べる日を夢見て。
「...あ!ペンギンが空飛んでる!すごいね!」
今はただ、空を飛ぶ鳥のように、水中を泳ぐ。
2024/08/23 #鳥のように
静寂。
こんなにも呆気なくて、心地が良いのね。私は何故こんなやつに振り回されてたのだろうか。
...今までの鬱憤を沢山ぶつけようとしたのに、いざとなると何も出てこなかった。
さよならを言う前に、くそったれくらい言っておけば良かった。
2024/08/23 #さよならを言う前に
一昨日は晴れ。昨日は雷雨。今日はせめて曇りだと良いけれど、多分雨。
明日の天気は私の行い次第。私が彼のことにちょっと鈍感になって、気づかないふりをするだけ。
帰って来たみたい。何食わぬ顔でただいまなんて、知らない香りを纏って良く言えるね。
...ここはグッと堪えて。
「おかえり、待ってた。...ご飯食べよ。」
明日はきっとなんもない。
空にさよならしなきゃ。
2024/08/23 #空模様