自分はこの話の主人公だ。
しかし、自分の人生は自分のものではない。創作者が作り上げたます目を歩くだけの駒である。
外側も、内側も、自分の最後も、何もかも最初から決まってた。
2024/08/08 #最初から決まってた。
私の唯一の明かり。私だけの陽だまり。
貴方の帰りが遅くても、貴方が不満を溢しても、私には貴方だけなんだ。
だから帰ってきて。貴方が居ない部屋はこんなにも冷たくて、寒い。サイレンが怖い。
早く、早く、早く、早く早く早く
車から降りて私の元へ戻ってきて。
貴方は私の太陽。私は貴方の月。
2024/08/12 #太陽
君とチェスをするのが好きだったんだ。
嫌なくらい小さくて、白い病室で二人きりで。時の流れさえも忘れて遊ぶのが好きだった。どんなに苦しくても、寂しくても、君がいればそんな気持ちは消し飛ぶ。
あの時、白い病室で目立つ、君の口から溢れた紅い極彩色が目に焼き付いている。
自分はなんてちっぽけなのだろう。
自分が可哀想なくらいに能無しで、何も意味を見出さないから、ほら、自分のせいで毎日が退屈だ。
チェスってこんなにつまらないものだっけ。
どんなにつまらないことでも、時の流れさえ忘れて、一人で遊び続けている。
2024/08/05 #つまらないことでも
ずっと一人だった。哀しくて、虚しかった。
でも貴方のおかげで、私の真っ白な世界は色付いた。
貴方は最初、笑っちゃうくらい下手だったけれど、飲み込みが早くてすぐ上達していったチェス。
でもいつからだっけ。
貴方が目を覚まさなくなってしまった。悪夢にでも取り憑かれている様で、眉間に皺を寄せ続けている。力になれなくてごめんなさい。何もできないけど、貴方の目覚めを私は待ち続ける。
大好きな貴方の目が覚める前に、チェスボードを用意して待ってるから。おはようを言わせて。
2024/08/05 #目が覚める前に
花が嫌い。
いつか散るから。
果物が嫌い。
いつか腐るから。
白が嫌い。
何にでも染まりやすいから。
消毒液が嫌い。
鼻につんとくるから。
手術が嫌い。
痛いし、辛いから。
窓の景色が嫌い。
いつも代わり映えがないから。
今日も生と死の狭間を揺蕩っている。
自分が嫌い。
2024/08/02 #病室