詩(お題)
『雨に佇む』
悲しみの雨に佇む
濡れながら冷えながら
感じて語らう
たくさんの粒でさえ
私を簡単に
殺せない
しあわせの雨に佇む
穏やかで優しくて
天気雨みたいだ
いっぱいの粒でさえ
私の笑顔は
引き出せない
台風の雨に佇む
叩かれて飛ばされて
地獄を味わう
狂暴な自然さえ
足早(あしばや)逃げてく
負け犬だ
絶望の雨に佇む
見上げればキラキラと
宝石みたいだ
たくさんの愛でさえ
守れぬ世界に
死んでゆく
詩(お題)
『私の日記帳』
私の日記帳、燃やして欲しい
数日まえ頼まれた
「私が死んだら、約束してね」
だったら書くなよ!
そう言いかけて、うなずいた
読まれて困るもの、恥ずかしいもの
でも気持ちは残したい
あなたが生きてた、証拠だもんね
毒矢もハートも
託されたなら、ぜんぶ読む
えっ?
読んじゃうよね?
普通だよね?
違うの?
私は、読みたいっす!
「ごめん」
詩(お題)
『向かい合わせ』
向かい合わせのテーブルには
いつも恐怖が座ってた
期待と不安の自分だったり
暖かくて迷惑な親だったり
支えでありライバルの友達や
感情を破壊する異性だったり
向かい合わせで座っていると
思わず伏せて視線を外す
向かい合わせの運命たちを
やっとこの頃
抱きしめたくなった
詩(お題)
『やるせない気持ち』
宛名のない、行き場のない
ひとりぽっちの、公園のベンチ
それが、やるせない気持ち
見上げる三日月が、にじんでく
叶わないのに、諦めきれず
願いは千切れて、落ち葉に変わる
それが、やるせない気持ち
落ちれば朽ちていく、ひっそりと
守りきれず、失ってく
情けないほど、みじめなじぶん
それが、やるせない気持ち
それでも生きていく、夢はある
詩(お題)
『海へ』
渋滞してる道路
潮の匂いに高まる鼓動
潮騒が聴こえてくる
久しぶりの海へ、ゴー!
砂まみれのサンダル
ギラギラ太陽
やけどする砂浜、踏みしめて
水着デビューは大胆に
海小屋はにぎわい
子供は探検家、若者は無法地帯
それを見つめる老人たち
流れる夏らしいミュージック
海水は少しナマ温かい
カニや海草をよけながら
海へ、深い海へ、歩いてく
振り向けば砂浜は過去になる
泳げば溺れて海水を飲み
それでも泳げば足がつる
もぐればサカナやエビがいた
足の指先でアサリも探す
もうすぐ満潮、来るから戻れ
誰かが仲間に叫んでた
ゆっくり泳いで砂浜向かう
意外と満潮、追い抜かれてた
顔もやけどでヒリヒリしてて
夜はアサリでビールを飲んだ
海へ、もう一回、そう海へ
それはすべて、昔の記憶