詩『善悪』
善悪は
まるで砂糖と塩か
砂糖はなくても生きられる
けれど「つまらん」人生だ
塩はなくては生きられぬ
そして過ぎれば殺される
甘しょっぱい
菓子をぼりぼり、ゴクン
好きとか嫌いはいいけれど
きっとどちらも君らしさ
腹八分目がちょうど良い
善悪なんてー、人の数
詩『流れ星に願いを』
「あっ、ながれぼしー」
10才の娘が必死に祈る
まだ夢を見れる歳のようだ
「なぜパパ、祈らないの?(怒)」
今度はお説教だ…こうべを垂れる
ママそっくりになってきた
病院の帰り道
願いを叶えてくれるなら
世界中の夜空を探すだろう
余命を聞いた日から
この世に裏切られた気がして
何も信じていなかった
娘は裏切られたとそう言って
流れ星を恨まないだろうか
「あっ、また星だっ、パパっ!」
私は妻の奇跡を祈った
一日でも長くこうやって
ママのことを願う時間を作ろうね
流れ星に願いを
そうさ、だれも信じてはいない
信じたいだけなんだ
流れ星に願いを
だから、だれも恨みもしない
「大丈夫?…元気を出してパパ」
そっか、わかってるのか
私を、励ましたかった演技なのか
娘は私より、大人のようだ
満天の星くずと
手をつないだシルエット
娘の笑顔が、私の流れ星だ
詩『ルール』
憲法、法律、条例、規則、常識
それらの執事か秘書さんか?
ちいさな下っぱのルールくん
破ってしまえば気持ちいい
殴られ役の噛ませ犬
それでも必要なルールくん
きゃんきゃん、ミャアーミャアー
面倒見の良い飼育員
ほんとはヒーロー、ルールくん
スーパーマンかウルトラマン
あこがれてるけど手は出さない
基本はお願いルールくん
ワールドカップやオリンピック
スポーツの世界じゃ神様だ
一世一代、鬼ルール
いろんな顔して追いかけてくる
けっこう嫌われ泣いてるけれど
やっぱりともだち、ルールくん
詩『今日の心模様』
オネショをかくし 寝た振りも
見つかりママの 肩をもむ
鼻クソ窓に こすり付け
しかられちゃった 雨の昼
おしっこ便器 はずしてた
そうじをしてたら ほめられた
オナラをしたら 下痢だった
死にたくなった 晩ごはん
夜更かししては ユーチューブ
冷蔵庫からは 盗み食い
ぐるぐる、今日の心模様
花びら付ければ はなまるだ
最悪、最低、そんな日も
寝るまえ花びら つけりゃいい
詩『たとえ間違いだったとしても』
たとえ間違いだったとしても
死んでいたってゴーストでいたい
たとえ間違いだったとしても
生きていたってゴーストでいたい
たとえ愛されなくてもいいの
あなたを守って身代わりになれたら
たとえ愛されなくてもいいの
わたしが勝手に好きになったから
たとえ間違いだったとしても
恋を悔いたり絶対にしない
たとえ間違いだったとしても
これが最上の幸せだから
たとえどちらか生き延びたって
心中した日がふたりのゴール
たとえ運命が引き裂いたって
愛はゴースト、あの世もつづく…