「待ってて」そう言われてから、どれだけ時間が経過しただろうか。
「早く来てよ、」いくら伝えても、この声が届くことはない。
『おい佐々木!何回言ったらわかるんだ!髪は暗く、スカートは『規定の長さで』だ!!』
「うっせーな。別にお前ら教師にあたしの髪色なんて関係ねーだろ。スカートだって短くて何が悪ぃんだよ。」
『今回こそ親御さんに連絡させてもらうぞ!!!』
「別に勝手にすれば。」
『今連絡するからな!』
「……」
『山中先生、佐々木さんの親御さんの電話番号は?』
『あーっ…えっとー。』
『?』
『……佐々木さん、親御さんが居ないんですよ。』
『え?』
『だから…その…すみません。』
『い、いやでも!母方や父方の家族や親戚くらいは…』
「んなもんいねーよ。」
『え?』
「あいつら全員うちのこと見捨てやがった。
あたしのことなんてどーでもいいんだよ」
『あの…一応佐々木さんがいた施設の電話番号なら教えれますが…』
『施設…』
「あんなとこ、電話しても出ねーよ。
今までのやつら見てきたから分かる、いくら電話かけたって誰も出やしねえよ。」
『佐々木…じゃあ、今はどうやって過ごしてんだ!!そんな大変な状況ならもっと早く言ってくれれば助けたのに、、』
「別に助けなんていらねーよ。」
『…今からでも遅くない。お願いだ、全て話してくれ。そしたら何か手助けが…』
「うっせーよ!!おめーらなんかの助けなんてやってもらうだけ無駄だよ。」
『お、おい!!佐々木!!』
「もうこんな場所二度と来るかよ。」
『佐々木さん!!』
『佐々木!!待て!!』
「……どーせおめーらもあいつらと一緒だろ。」
私は、幼い頃に両親に棄てられた。
昔から親は喧嘩ばっかで私に当たってばっかだった。
父と母が出てった後一人で死ぬくらい泣いた。
正直あのまま死にたかった。
こっからどーすればいいのかも分かんなかった。
当時は小学2年生で幼稚園のときに描いた私と、ママと、パパの絵を泣きながら破った。
しばらくして警察がきた。
玄関のドアを開けた瞬間に私は警察にパトカーに乗せられた。
警察が私の家を捜査したあと私は警察に話を聞かれた。
何も答えなかった。
その後施設に連れてかれて、その施設でクソみたいな人生を送った。
虐めは当たり前だし弱いやついじめていきがってるやつばっかだった。
私はその輪に入らなかった。
別に虐められてるやつが可哀想とか、そういうんじゃなくてなんとなくあいつらと一緒になるのが嫌だった。
だから施設では常に独りだし正直浮いてた。
施設にいる大人たちもいじめは見て見ぬふりだし当時の私よりもちっさい子供にも厳しいしまじで最悪な環境だった。
地獄の環境から逃げてきたやつが集まってんだ、そりゃ地獄の施設になる。
そんなまるで牢獄みたいな場所で過ごしてまあまあ年数が経った時。
『はーい今日もこのパンとスープを一人一人配るので好きな場所で食べてくださーい。』
「(今日もこの飯かよ。)」
「ねえ、あんた。」
「…何。」
「なんか最近調子乗ってなーい??」
「ほんとそれ笑私たちの陣地だから好き勝手されたら困るんだよねー。」
「(はあ…ほんと最悪。ついにいじめの標的があたしになったってわけね。)」
「ねえ!聞いてんの??無視とかありえないから。」
「聞いてるよ。別に調子にも乗ってないしあんたらの陣地とかねえから。」
「はあ??なにそれ笑私たちに逆らうの?」
「別に。あんたらたかが5人くらいのガキに構ってる暇ないし。」
「は?笑なにお前笑私ら同い年だからー。」
「それな笑何自分が大人みたいな雰囲気出てんの?」
「まじでそれなー、キモいから。」
「確かにあたしら中1で同い年だけど精神年齢はあたしの方が高いから笑」
「は?きも。まじ無理。笑笑笑」
「それー。死ねよ。」
「お前みたいな奴が一番嫌い。さっさと死ねば?」
「あとからここ来たくせに偉そうにすんなよな」
「あっそ。それだけ?」
「何お前。がちできもい。もういいや。笑
どーせ大人たちなんも言わねーしやっちゃお。」
「だねー。」
「好きにすれば。」
「そんなん言えんの今のうちだから。」
そっからは結局私が全員怪我をさせてしまった。
けどあとから施設の大人にばか怒られたけど響いてないし正直殴ったのも正当防衛的なもんだと思った。
時が経ち15歳の春____
「あ、」
「あと1週間であたし16歳だ。」
『佐々木美優ちゃんはもう少しで16歳になりますね。そろそろお別れです。』
「(やっと地獄から出れる。。)」
「え、あんたもう16なの?」
「そうだけど。」
「あっそ」
「…何?」
「いや、同い年だけど私らの方が誕生日後だったんだなあって。」
「誕生日いつなの」
「私ら全員9月。」
「9月…ふっ笑可哀想にね笑」
「……うるさいわよ。」
「……怪我のとこ、いつになったら治んの。」
「だから言ってるでしょ。ほぼ治る確率は0%。
あんたの喧嘩の強さ知らずに喧嘩売ったからね。」
「5人全員怪我とかうけるよね。」
「なんもうけないわよ。私なんて頭と腕未だに痛いんだから。」
「…言っとくけど、反省もしてないし悪いとも思ってない。」
「…それと、友達とも思ってない。」
「分かってる。言われなくても。」
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『だからなんでそんなに喧嘩するんだ!佐々木!』
「おめーには関係ねーよ」
『佐々木…お願いだから反省してくれ、!!
自分がどんなことしてんのか分かってんのか!!??』
「分かってるよ。分かってんだよ。けど別にこれが悪いことなんて教育された記憶ねえし。」
『お前なっ…!!』
「殴りたいなら殴れよ。別にあたしのこと殴って怒ってくれるやつなんていねえし」
『……もういい、早く戻れ。』
「…泣いてもあたしはなんとも思わねえから。」
『分かってる、だからもうさっさと戻れ』
「あたし、一応生徒だけど。」
『生徒とは認識してる。けど、正直に言うと呆れた。佐々木。』
「…あっそ。」
" 私は、今までほんとに沢山の人に迷惑をかけました。最後に、どこにも書けなかったことを書きます。
本当に、皆が好きでした。
誰にも愛されたことがない私でも『愛』が何か分かりました。本当は仲良くしたいし反抗したくないのにどうせ愛されないだろうと思って素直になれなかった。
本当に皆好きだし、優しかった。 "
この手紙は、一体誰が見つけてくれるのだろう。
" どこにも書けないこと "
※ダークモードで見ていただくとより雰囲気が出ておすすめです。是非ダークモードでご覧してみてください。
度重なる熱いkiss。
せっかく塗り直したリップも、彼の唇のせいで無駄になる。
「ん、…」
止めてほしくても彼の声が漏れる度にまた足を絡めてしまう。
大人なジャズに大人なキス。
ああ、なんだか少し、
大人な気分。
"Kiss"
さびきった鎖と汚れた木の板の歴史は今後も続く__
"ブランコ"
花にとまる虫に、空気が美味しい自然。
周りを見渡すとほとんどが畑で、懐かしい団地に思い耽る。
足を動かす度に温かいご飯を楽しみにする。
「懐かしい味」に辿り着くまで、もうそう長くはない。
「ただいま」
ガラガラッという音ともに玄関に響く声。
『おかえりなさい。』
何度も聞いたはずの言葉と声が一気に私を安心に包ませた。
何年も前まではハンバーグが目の前にあったはずなのに、今目の前にするのは味噌汁と白米、焼き魚だった。
「いただきます。」
手を合わせて母を見た瞬間茶碗を持って箸を動かした。
『母の味』というやつなのだろうか。飽きるほど食べたはずのご飯は思わず涙が溢れるほど温かく久しぶりの味だった。
田舎に旅をしてみてよかったと、旅路の果てにやってきて思った。