「さようなら」その言葉を言わずに消えてしまった彼女は、忘れたくても忘れられない。
最近お気に入りに入れてた人が皆おかしくなっている。
無題でずっと何かを言い続けたり
お題だけ書いて内容を書かなかったり
永遠と文章を書かなかったり
早く元に戻って。
私はそう、力を込めて願った。
黄昏。
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私は生まれつき身体が悪い。
足は不十分だし耳も聞こえずらい。
体調だって崩しやすい
ただ、私が唯一誇れるのは「目」だった。
普通の人よりも不完全な私が唯一、最も優れていたのは「目」。
私の視界は一般の人間よりも広く、見やすく、はっきりと見える。
耳は聞こえずらいが、目はどこにいっても確かに見える。
生まれつき身体が悪い私は数々の虐めにあってきた。
皆は私の体が全て不十分だと思い、暴力や暴言をうけてきた。
それでも、私はまだ生きている。
勿論、正直に言うとこの世に未練はない。
誰かに何かを伝えたいわけでもない。
毎日病院生活で、いつ死ぬか分からないこの状況で生きたいとは思えないからだ。
薬、点滴、手術、治療 。医療の力をここまで借りても私は治ることがない。
ただ、一つ言うなら 私の優れた個性をこの窮屈で退屈な病室で楽しみたい。
だから私は今日も病室の車窓から黄昏れている。
いつか夕日が沈む頃に私の息が途絶えるのかと、
おぼろげに考えながら私は 今日も深く呼吸する。
大丈夫、きっと明日も生きれるから。_____
彼女がそう言って7年。
今日は中秋の名月だそうだ。
世は皆SNS用の写真を撮り、夜だというのにフラッシュが焚かれる。
そういいながらも俺は縁側から満月を見る。
八方から都会の音が聞こえてくる中、俺は耳を澄ませた。
「中秋の名月…か。
満月に願いを込めても何も起きやしないよなあ。。」
肩を落としながらも、満月に対し手を組む。
「どうか、どうかもう一度だけ、彼女を生きさせてあげてください。」
神頼みとはこの事だろうか。
我に返り、目を開けると月は雲に覆われていた。
「馬鹿げたことをしてしまった。彼女はもう…」
「いけないいけない、中秋の名月の日に涙を流すなんて気恥しい。やめだやめだ」
とは言っても、彼女のことを思い出す度に目頭が熱くなる。
「…きっと、明日も彼女は見守ってくれる。」
淡い期待を抱きながらも現実に目を向ける。
いつも通り寝床にはいり、人々の声をあとに目を閉じた。
"きっと明日も"
ひまわりが咲き、虫が鳴く。
真夏の中波が打ち寄せる海に、砂浜を照らす太陽。
向こう側からは暑そうに下敷きで扇ぐ音が聞こえる。
だんだんと暖かい空気に包まれていく。
ひまわりがあったはずの団地は、いつの間にか紅葉でしきつめられた一本の凛とした木になっていた。
暑かったはずの運動場は少し肌寒い風が吹いていた。
皆の服装が半袖から長袖へと変わっていく。
帰り道、ハロウィンまであと何日かという話題でもちきりだった。
秋は地味、微妙に感じるかもしれないが、実は一番変化のある季節で愛されているのはここだけの秘密だ。