彗皨

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大丈夫、きっと明日も生きれるから。_____

彼女がそう言って7年。
今日は中秋の名月だそうだ。
世は皆SNS用の写真を撮り、夜だというのにフラッシュが焚かれる。

そういいながらも俺は縁側から満月を見る。
八方から都会の音が聞こえてくる中、俺は耳を澄ませた。

「中秋の名月…か。
満月に願いを込めても何も起きやしないよなあ。。」
肩を落としながらも、満月に対し手を組む。

「どうか、どうかもう一度だけ、彼女を生きさせてあげてください。」
神頼みとはこの事だろうか。
我に返り、目を開けると月は雲に覆われていた。
「馬鹿げたことをしてしまった。彼女はもう…」

「いけないいけない、中秋の名月の日に涙を流すなんて気恥しい。やめだやめだ」

とは言っても、彼女のことを思い出す度に目頭が熱くなる。

「…きっと、明日も彼女は見守ってくれる。」

淡い期待を抱きながらも現実に目を向ける。
いつも通り寝床にはいり、人々の声をあとに目を閉じた。

"きっと明日も"

9/30/2023, 6:24:29 PM