君と初めて出会った日は、快晴だった。
心も体も私のモノ。
だけど、だんだん曇ってきて。
あなたの中にある宝を私が切り裂いてしまった。
今も吊られているあなたの宝。
土砂降りの中、雷の光で照らされる
唯一無二の宝。
君と最後に会った日は、君の泣き顔すら見れないのね
「繊細な花」
「もうお前学校来んなよ!!」
「ほんっと目障り。生きる価値なんてないから。」
「ご、ごめんなさ…」
「無理!」
「即答とかウケるんですけどwwww」
「あ、やば早く帰らなきゃ。」
「ほんとだ。じゃあまたねー?笑」
「…はあ、、」
私は中学二年生。
二年生になってクラス替えをして、最初は楽しかった。
だけどどんどん私へのいじりが酷くなっていじめへとエスカレートした。
「今日は殴られるだけで良かった、、」
普段は靴を隠されたり、水をかけられたり、髪を切られたり、倉庫に閉じ込められたり…
説明がつかないほどのいじめをされている。
「でも…」
もう死にたい。何度そう考えたか。
今死ねたらどれだけ幸せか。
もう耐えられない。
「死んでやる。」
私は覚悟を決めた。
体育館倉庫から縄を持ち出して教室の窓で…
「…最初は楽しかった。 最初は。」
首を吊った。
後日、私は首を吊った状態で目撃された。
「いじめを受けていただなんて…知らなかったです…」そう泣きながら話す母を見て虚しい気持ちになった。
「あの子は繊細で、とっても優しい子なんです…だから、、自ら…首をっ……」
「お母様…心中お察しします。。本当に心からご冥福をお祈りします。」
「もし良ければですがこちら…」
「、、?これはっ…?」
「お花です。お墓などの傍にと思いまして…」
「、、ありがとう…ございます、きっとあの子も喜ぶかと……」
「いえいえ。本当に突然のことで…お悔やみ申し上げます。ご冥福をお祈りします。」
私の墓のある墓場に行くと母が先生から貰った花をそっと置いた。
私の心に置かれた花は、繊細な心を癒してくれたように暖かかった。
1年後の私。
「あなたは今何をしていますか?」
そう書いた、未来の自分へ宛てた手紙。
何をしているかなんて、私からしたら愚問だった。
私は今、何もしていない。
それは 無職だとか、そういう訳ではなくて。
私は今、生きるのを拒んでいる。
もっと言えば、私が今を生きているかどうかすら危ういということ。
命が尊いと教えられたのは小学生の頃だ。
道徳の時間に「命の尊さ」を知った。
「貴方は命の尊さをどう考えますか。」道徳のノートにそう書かれていた。
私は、その質問はおかしいと思った。
命は美しい。それは確かだ。
だけど、命の尊さと儚さを、言葉で表現できないから美しいのだと思っている。
私は白紙のノートを提出した。
次の日の朝、先生に「どうして何も書かなかったのか」と説教された。
意味が分からなかった。命は言葉に包めないから美しいのに。真っ白のノートを渡して何が悪いのか。
「分かりません。」と応えた。
「あなた、今日放課後残りなさい。そして、この白紙のノートを埋めなさい。」そう返された。
「分かりました。」私はそう答えるしかなかった。
放課後、私は先生と二人きりの教室で、ひたすら悩んだ。一体何を書けば良いのだろう。
嘘をついてまで、命の尊さを表現しなければならないのか。悩みに悩んで一時間が経過した。
「あなたいつまで書いてるの…って、何も書いてないじゃない!いい加減にしなさい。」声を荒らげて怒られた。
「あなたねぇ、命の尊さを書くだけよ?
難しく考えなくていいの。あなたが思うことでいいの。」
ピンときた。「命の尊さは言葉では表せない」そう書こうとした。すると、
「…言葉で表現できないと言うのは分かるけれど、もう少し質問に反った答えを書いてちょうだい、?」
呆れた声で言われた。
「…じゃあ書けません。」
「…いい加減にして。もう冗談を言う時間は終わりよ。早く書いてくれる?「無駄な時間入らないのよ。」」先生が言った。
私は、私の中で何かが壊れたような気がした。
「無駄な時間」…?私が命について考えてる時間は先生にとっては無駄な時間だった?
私は何かが崩壊したように暴れた。
「あなたっ…ちょっ……と、、、」
真っ白なノートが先生の赤色で埋め尽くされた。
私は、先生に言われた通りノートを埋めて提出した。
「動機は何ですか?」
「分かりません。」
「…では質問を変えます。命を奪った自覚はありますか?」
「…まあ。」
1年後の私は今、刑務所に居る。
生きているのか死んでいるのかも分からない、朦朧とした意識の中 ただじっくり、冷たい床が私の赤色に染まっていくのを見ている。