「1年前」
毎日は、オルゴールみたい。
…同じ曲を繰り返す。
でも少しずつ違う。
じゃあ1年前のオルゴールはどんな曲かな。
そうだな…「鉄道員」かな。
古い映画なら何でもいいや。「追憶」。
もしかしたら「ツィゴイネルワイゼン」。
毎日少しずつしか変わらなくても1年も経てば、
ひとつの曲ぐらいは終わっているでしょう…
じゃあたった今の曲は?
…本当の事を言うと昨日ひとつの曲が終わって、
今日、新しい曲が始まった氣がしている。
人間として人間の中に生まれた私が時間に逆らいこの世界のどこかに爪痕を残したくて抗っていた抗いが、昨日終わったから。
…唐突ですよね。
でもそう感じている。
だから私は昨日死んで、今日生まれた。
1年前の音楽はもうかなぐり捨てられて戻らない。
だからたった今の曲は多分乱調の、
「ハッピーバースデー」
またすぐに…1年もしないうちに変わる音楽。
好きな本。
おお、好きな本よ。我が愛する素晴らしき超素晴らしき友よ。
雨の日も風の日も、カンカン照りの日も、我に読まれるべくそこにいてくれる本よ。
汝の存在の光に包まれ、どれほど多くの人々が、その心を救われたであろうか。
好きな本よ。
そうでもない本よ。
とにかく、本という本よ、
存在してくれて、ありがとう。
そして、存在させてくれた人々よ、ありがとう。
その光を受け取って、我は生きる。大感謝が凄い✨
「あいまいな空ですね。」
あなたが言うと、私はひねくれているので、
「そこが良いです。」と返す。
いつもあなたが困るようなことを言っている…かな。
(ちょっと反省しないとなぁ)
もちろん口には出さず、あなたを横目でうかがう。
(ん?)
あなたは笑っていた。
なんかおかしい流れだったかな?と思うけど、
何で笑ってるの?なんて、聞き出すのもなぁ…
私たちはあいまいに、笑ったり戸惑ったり…
あなたが優しく笑っていたから、まぁ、良しとしようか…
母は、紫陽花は枯れると醜いから嫌いだと言った。
私は、紫陽花は枯れても、美しいと思う。
私は花は買わない。
枯れても美しいから、捨て時がわからない。
母も花は求めなかった。枯れるのを見るのが嫌だったのだろう。
真逆の理由で私たちは、同じように花と関わる。
半分の空白を埋め合うように。
けれどそれは紫陽花のあずかりしらぬ事。
紫陽花は私たちには聴こえない歌を、きっと歌いながら咲いているだけ。
❁花は、今は時々、母のために供えている。
そして、バラバラになるまでそのまま。
好き嫌い。好きで嫌い。
セロリは好き。葉っぱはトゲトゲして嫌い。
でもぜんぶ食べてしまう。
炒めたら食べやすくなるし。
あなた、も、そうなのかしら?
あなたは好き。でも、こっちを向いてくれないから嫌い。
でも、ぜんぶ…ぜんぶ…ぜんぶが欲しい。
きっちりいらないところだけ捨てるなんて、出来ないよ。
私、セロリの葉っぱも食べちゃうんだし。尚更ね…
でももしも、あなたを半分捨てる事が出来たら、
私たちの間に空白が生まれて、
そこでふたりで安らいでいられるかもしれない。
いらないものは、さよなら…
見なくなれば無くなるかもしれないわ。
さっぱり捨てられたら、きっと無くなる。
でも、私があなたの半分を、怖れながら捨てるなら…
それはきっと帰って来てしまうのだろう。
あなたが私を裏切るなら、
それは私の怖れの証拠品でしかないのかもね……