secret love
人差し指を天へ向け 目を閉じる
くちびるにその指先を添え 鏡を見る
分身の私に囁きかけた
secret love
誰にも言っちゃダメ
まずは自分にロックをかけとく
いつからだろうページをめくる度に
漠然と感じていたこの特別な手触り
それをぬめり感と表したドラマに出会った✨
言い得て妙だわ
吸い付く様に指先に寄り添って来る心地よさ
心酔ものですよ
私と一緒に体感してみませんか
さあどうぞ
まずはお好きな辞書をお取りください
それでは軽く目を閉じて
はいパクッと開いたところでページをめくる
ここれは…
でしょう? フフフ
うわっ風?
紙が奏でる風の音?
そう
次々ページをめくってみて
音がしなやかに変化するでしょ
気に入った風を感じたら
そこで目を開け言葉を拾う
こんな楽しみ方もあるからね
五感を使ってこそ知があなたのものになるの
紙の辞書がもたらす知と癒しの世界へようこそ
ページをめくる快感があなたを捉えたなら
辞書メンタリストの世界をのぞいて見てね
夏の忘れ物を探しに
熱中症警戒アラートが流れてくる
夏の忘れ物って?
やっぱりこの暑さでしょ
置きっぱなしはダメよ
夏休みが終わったんだから
はいはい夏はおしまい
今はもう秋よ
なのにエアコンがフル稼働で悲鳴をあげている
夏の忘れ物はここだよって知らせてくる
探すまでもない
えっ40℃だって
パワーアップしてるじゃない
どおりでしそジュースがまだ美味しいわけだ
ねえそこの君 夏って9月までだっけ?
8月31日午後5時ですか?
宇都宮のパン屋さんにいましたよ
見て見てレシート日時17時5分
笑っちゃう奇跡の刻印でしょう
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急な用事で栃木まで来た その隙間時間
気紛れに立ち寄った石窯パン工房◯◯
空の籠トレーから人気店では?との期待値があがったけどすでに商品がほとんどなくて
忘れ物のようにポツンと残る最後の塩ワッサンとシナモンロールを値段も見ないでパパッとお買い上げ 帰宅してレシート見たら30%OFF
折角県外のベーカリーに立ち寄って買ったのがこれか…残り物感漂ってるし
何だかお得というより残念な気分になっちゃった
いいや明日食べよう おやすみ
9月1日7時
塩ワッサンで迎えた一日
よくよく見るとビジュアルはお肌カサカサのコッペパンで何これ
クロワッサン?塩パン?
いつもの見た目重視の私なら絶対買わないやつ
気楽に焼き戻すと
オー底がジュワパリッ
これはこれは…カルピスバターを忍ばせていたとはやるじゃない✨
色白の中心は意外や意外
もちもちあっさり和美人風
それにこの塩は只者ではないまろやかな旨み
いいぞ
井之頭五郎が自分に降りて来た✨
新学期始まりの慌ただしい世間をよそに
感動のパンをゆっくり味わう贅沢
おまけに30%OFFときた
8月31日午後5時の私 グッジョブ
おごちそうさま ありがとう✨
心の中の風景は
母と同居の4年間だ
私も老いて自分が母の立場だったらと日々リアルに甦って来る
自立が難しくなり頑張りにも限界がみえていた母を何年も説得して同居することのなったのが9年前の秋
2度と帰れないかもしれない故郷を離れて来たというのに引越し荷物はほんのわずかで
最小限の衣類と仏壇とテレビ
自宅の家具食器電気製品等一切合財近所の人にあげたと言う
その決断と行動力には舌を巻く
年老いてもその潔さは昔と変わらなかった母
30年ぶりに一緒に暮らしてみると母のことを何も知らない自分に唖然とした
おしゃべりは時間のムダという彼女相手になす術がない
ここには畑も広い庭もない
手っ取り早くテレビを一緒に見ればと
母にコントローラーを渡した
ほどなく日本縦断こころ旅がみたいと言ってきた
何それ?
火野正平さんが手紙の土地を自転車で旅する
田舎で見ていた好きな番組だと
これなら共通の話題ができると一緒に見始めた
旅人として手紙の差し出し人の思い出の場所へ行く 自転車旅の道中に見過ごされそうな景色のなかで人、生き物、食との出会いがある
感情を抑え淡々と手紙を読み上げ目的の地をさっぱりと後にする
素の俳優さんが演出なしにそこにいる感じ
よくあるテレビ的ではない旅番組だった
当時
同居の母に楽しんでもらおうと一方的な過剰サービス一色の自分と淡々とした母の反応
ねえなんとか言ってよ
口触りのいい反応が返ってこないことに勝手にイライラしていた毎日
こころ旅を思うに静止画的佇まいの母の好きは気の利いた言葉を無理に言わない正平さんだったのかもしれない
あれから10年
私は思いもよらず病人になりそのもどかしさから無意味な愚痴をこぼし周りを巻き込んでしまう
あーあ笑顔の素敵な楽しいおばあちゃんが理想だったのになあ…
一瞬あの世の母と目が合った気がした