無邪気だった日々
無知を嘆いた日々
無気力に過ごした日々
諦め切れずに足掻いた日々
果てしない遠回りの日々
これからも続いていく日々
まだ旅は始まったばかり
~過ぎた日を想う~
『止まない雨はない』
古い言い伝えだ。
私が生まれてからというもの、
窓の景色からノイズが消えたことはない。
飽きもせずに形骸化した天気予報。
傘を差すことをやめた街人たち。
雨粒が降り続く原因を気にする者はいない。
漫然と、悪意もない、当たり前の光景。
「自然現象だから」
仕方のないことだと誰もが言う。
灰の上は澄んだ青色で、
綿飴のような雲が漂い、
煌々と太陽が鎮座する。
そして夜には月と星が漆黒を彩る。
私は写真やテレビでしか見たことがない。
この目で見たい、死ぬまでに。
濡れた縁側。
今日もてるてる坊主が笑ってる。
~明日、もし晴れたら~
本当は誰かと一緒に楽しさを共有したい。
本当は誰かと一緒に喜びを分かち合いたい。
本当は誰かと一緒に幸せになりたい。
幼い頃は当たり前にそうなると思っていた。
でもその当たり前はフィクションの話だった。
楽しさを共有できるほど雄弁ではないし、
喜びを分かち合えるほど純情ではないし、
誰かと幸せになる資格なんてありやしない。
誰かといられること。
幸せでいられること。
そんなもの、もういいよ。
私には私という最高の理解者がいるんだから。
~だから、一人でいたい。~
時間が余ったので寝る前に少しだけ。
どんなに簡単なことであっても、
習慣にするとなると途端に難しく感じるだろう。
実際、難しい。
代表的なのがダイエットやストレッチ。
健康番組でよく紹介されるほんの5分から10分の運動でも、
毎日欠かさず続けるのは至難である。
習慣化を難しくする理由一つ。
ホメオスタシスという脳機能が災いしているから。
それが「良くなる変化」かどうかに関係がなく、
脳が「変わりたくない」と拘泥するのだ。
残念ながら、その根本を変えるのは現実的ではない。
だが諦めるのはまだ早い。
立ち上がるより寝っ転がった方が楽なように、
新しく行動を増やすより減らす方が簡単だ。
習慣化を難しくする理由二つ。
既存の習慣に新しい習慣をねじ込もうとしてしまうから。
やる気が出ないのは基本的に、
「本当は別のことがしたい」という葛藤からくる。
そして大抵、天秤にかけられるのは悪習慣である。
端的に、まずはその悪習慣をやめるのがよい。
やめたことで行き場をなくしたリソースは、
次にやりたかったであろう新しい習慣に移しやすい。
なにかを増やすなら、先になにかを減らすこと。
単純な足し引きだ。
こんなことを真剣に考えていたら、
外が明るくなってしまったではないか。
習慣化を難しくする理由三つ。
悪習慣をやめるのも往々にして難しいから。
……とりあえずもう寝よう、おやすみ。
~終わりにしよう~
君は怠け者だ。
愛する者に1年に1度しか会えないなんて、
私なら考えられない。
聞いた話によると、
奥さんにかまけて働かなかったようじゃないか。
まあ、奥さんにも非はあると思うが、
君はもっと食い下がらなかったのか?
「ちゃんと働いていれば1年に1度会わせてやる」
なんでそんな無茶苦茶な条件を呑んだんだ?
たしかに仕事をサボったのは悪い。
けれどそこまでされることはないだろう。
「ちゃんと働くから引き離さないで下さい」
くらいは言えなかったのか?
……すまない、言いすぎた。
君が会いたい時に会いたい人に会えるようになれば、
もしかしたら私の願いも、と思って気が立っていた。
君にもいろいろあるんだろう。
私には何の手助けもできないが、
1年に1度くらいは君たちの幸せを祈っているよ。
~七夕~