君は怠け者だ。
愛する者に1年に1度しか会えないなんて、
私なら考えられない。
聞いた話によると、
奥さんにかまけて働かなかったようじゃないか。
まあ、奥さんにも非はあると思うが、
君はもっと食い下がらなかったのか?
「ちゃんと働いていれば1年に1度会わせてやる」
なんでそんな無茶苦茶な条件を呑んだんだ?
たしかに仕事をサボったのは悪い。
けれどそこまでされることはないだろう。
「ちゃんと働くから引き離さないで下さい」
くらいは言えなかったのか?
……すまない、言いすぎた。
君が会いたい時に会いたい人に会えるようになれば、
もしかしたら私の願いも、と思って気が立っていた。
君にもいろいろあるんだろう。
私には何の手助けもできないが、
1年に1度くらいは君たちの幸せを祈っているよ。
~七夕~
この宇宙を創造した神がいるとしよう。
その神が未だ膨張を続けているとされている、
直径900億光年の領域を全て管理できるとは到底思えない。
地球に住む人類への処遇としては、
途上国の戦争、飢餓、貧困は依然として放置し、
圧倒的に恵まれている先進国の中でも、
貧富の差は著しく格差は広がるばかり。
管理体制が非常に杜撰だと言わざるを得ないが、
おおよそ7億分の1光年にも満たない星と考えれば、
そこの1種族を気にする暇などあるはずがないのも頷ける。
さて、これは有名な話。
脳内のニューロンと宇宙の構造は似ているという。
それによりこの宇宙は1生命体の脳の中という見解もある。
様々な問題を抱えたこの星も、
所詮は神経細胞の極一部だとすれば、
神の存在など甚だ馬鹿らしい問題である。
それはそれとして、
我々の脳にも同じようにニューロンが存在する。
とすれば、同じように宇宙が構成されていて、
我々と同じように日々を過ごす生命体が、
脳内のどこかで同じように社会問題を訴えているのだろう。
当然、その一つ一つを認知することは不可能だ。
我々は自我を認識することしかできない。
ゲームの設定でありがちな、大いなる存在の“意識”。
神の正体とは案外、そんなものなのかもしれない。
そういう意味では、
どこまでも自由に想像をはたらかせ、
気軽に世界を宇宙ごと創り出してしまう、
人間は最も身近な“神”といえるだろう。
~神様だけが知っている~
※今後は不定期にします。
いつできるかは神様にもわからない。
この道の先には何もない。
あるのは感情の浮き沈みだけ。
~この道の先に~
子どもの頃は親の事情もあり、
夏は毎年泊まりで駆り出されることがあった。
遠方の地で初対面の人と集団生活をさせられて、
毎日早朝に起こされて外へ出向いたり、
見知らぬ人々に冷たい麦茶をついだり、
好きでもないレクリエーションに参加させられたりした。
汗だくの炎天下。
漂う土臭さ。
鳴り響く蝉の声。
飛び散る冷たい水しぶき。
涼しい部屋で浸る空調。
まっすぐに照りつける太陽を浴びると、
懐かしさと共に夏を感じる。
行事はあまり好きではなかったが、
むせ返るような灼熱の季節は、
私にあの頃の気持ちを思い出させてくれる。
どこまでも自由に、穏やかに生きたい。
~日差し~
はめ殺しの窓
採光だけを目的とした窓
換気機能を捨てた窓
虫すら入って来れない窓
ただ眺めることしかできない窓
絶対に開くことのない窓
決して外へは繋がらない窓
カーテンを取り付けて
二度と開くことのない窓
~窓越しに見えるのは~