おおきないしを もちあけて
ふりかふった そのしゅんかん
おかあさんの ことはか
あたまにうかんた
いきものに やさしくしなはい
けっして いしめてはいけまへん
そうたった
そうたった
そうたった
ほくは いしを しすかに
しめんに おいた
こめんなさいこめんなさい
そうくりかえしなから
ありんこは にけていった
こめんなさい は ほくのほう
ちかくにいた かまきりをつかまえて
あたまのうらに ましっくてかいた
いきものを いしめては いけまへん
たけと
いきものを まてしか
かけまへんてした
ほくの あたまにも
こうやってかいておけたら
いいのにな
おかあさんを まいにち いしめる
あいつの あたまのうらにも
かひてやれたら いいのにな
ゆうやけこやけ あかとんほ
きょうもいちにち おわってく
さみしそうな おかあさんか
まってるから
きょうもほくは あのいえに かへる
僕は
天使に会ったことがある
妹の面会に行った時
病院の待合室で呼ばれるのを待っていた
なんだかそわそわして
購買でガムを買っていくつも噛んだ
天使って別に
頭の輪っかもないし 服が白いわけでもない
いつのまにか 隣に座っていて
僕には背を向けて
反対側の誰かと
理想郷について話していた
気がつくと いなくなっていて
天使と話していたのは
酸素チューブと点滴をつけたおばあさんだった
おばあさんは妹と同室だから
顔は知っていた
おばあさんは僕に会釈すると
酸素ボンベと点滴台をひきつれて
廊下の奥に消えた
翌週の面会日は月曜日
僕はまた妹に会いに行った
なんだか暗い顔をしているので
聞いてみたら
あのおばあさんが亡くなったらしい
あの日の夜中に急変して
異常に気づいたのは妹だったらしい
あれから何年も経った
妹はあのあとすぐに 無事退院した
だけど
天使のことは 誰にも言えずにいる
おばあさんは理想郷に行けたかな
天使って
頭の輪っかもないし
白い服を着てるわけでもない
でも会った時すぐわかる
ヒトじゃないなって
もちろん
天使じゃなくて
死神だったかもしれないな
しょうがくせいのときから
つねに あたまのなかに
もうひとつの じんせいがあって
いじめられてるとき
しかられているとき
いじめかえしているとき
つらくさみしいとき
もうひとつのじんせいを
いきたかった とおもった
おとなになっても
もうひとつのじんせいはやはり
いつもとなりにあって
わたしが えらばなかったみちを
どうどうとあるいている
だけどさいきんは
それが
いつもえらばなかったほうなのだ
とおもう
もし かこにもどっても
わたしは こちらのものがたりを
えらぶのだろう
たとえ とほうもなく
かなしくて くるしいことがあるとしても
やはり こちらをえらぶだろう
うんめいは
きまっているのか
じぶんでつかむものなのか
どちらでもあるのだろう
わたしは
フォレスト・ガンプにさんせいする
きょうも もうひとつのじんせいは
わたしのすぐ となりにいて
こちらをじっと みつめている
愛ということばは
きらい
みんな とてもかるがるしく
それをくちにする
愛してる とか
愛のために とか
りょうしんのいない
わたしにとっては
それは
おかねをはらわないと
もらうことができなかった
愛してる
とわたしにいったひとは
ひさんな しにかたをした
だからわたしは
愛ということばが
きらい
それでも
みかえりもないのに
ひとに やさしくするとき
いきものを いたわるとき
じぶんいがいを おもうとき
これが 愛なのかもしれないとおもう
でもやはり
愛ということばは きらい
ゆいいつ
ことばにしなくてもいい
ことばだとおもうから
ともだちっていいな
ちいさいころは
ともだちが ひとりもいなくて
さみしかったなあ
いまはほら こんなにいる
ともだちって
たのしいときだけじゃなくて
つらいときも
ずっと いっしょにいてくれて
こちらのはなしを
ずっと だまってきいてくれて
あいてのために
なんでもしてくれる
ともだちっていいなあ
もうきみも ともだちだよ
ほらだまって きいて
おくちは きりとってあげるね
だってともだちでしょ
えんりょしないで
きみが
わたしのいいともだちになれるよう
なんでもしてあげる
これからは ずっといっしょだよ
ともだちだもんね
ともだちっていいな
いまはほら
こんなにいる