さいきん
はをみがく とちゅう
しょくばの かいぎちゅう
じゅうなんざいを えらんでいるとちゅう
もう すぎた ものたちを
おもいだす
すぎた つらいこと
すぎた かなしいこと
すぎた うれしいこと
すぎた かけがえのないこと
まるで
おとしあな みたいに
わたしが おちるのを
まっている
すぎたものを うらんでも
しようがないのに
過去に対する態度が
人の価値を決める
むかしきいた きょうくんが
きょうも わたしを
いましめる
そのきょうくんすら
すぎたものなのに
ねえ
おにいちゃん
あのせいざ
ああ あのせいざ
どうしたの
あのせいざ
なまくび をもっているんだって
こわいよねえ
ぼくは
おとうとの
もっているもののほうが
こわい
それはさっきから
ぼくをみている
ワルツは踊れて?
あら大丈夫 簡単ですのよ
三拍子ですの
合わせていただくだけで
大丈夫ですわ
あらお気をつけて
そこ血塗れなの
あんなことがあったもんだから ねえ
大丈夫ですのよ
ちょっと危なかったけれど
何時ものことですの
また縛って物置に入れときましたから
何時もより少し緊くなってしまったかも
でも息は出来ましてよ
さあそんなこと忘れて
踊りましょう
ワルツで宜しいですわね
むかし あったじけんだそうです
でも ものおきは からだったそうです
さあ おどりましょう
こわいはなしは
おどって わすれてしまうのにかぎります
あたし
奇跡をもう一度なんて言わない
ただ
これでよかったんだって
誰かに言ってほしかった
かのじょはそういって
タオルケットにくるまって
ねむってしまった
かのじょが うしなったぶぶんは
タオルケットにかくれて
みえなかった
あまりにしずかなので
いきをしているか
おもわず たしかめた
そのせなかに
これでよかったんだよ
といってあげたけど
わたしのそのひとことは
よるのなかに
とけていった
わたしのいえは
がっこうから
でんしゃと バスをのりついで
30ぷんもあるいて
やっと かえれるところだった
でも
いえにつくと
だれもいなくて
いつも
たそがれだけが
わたしをまっていた
それは
かぞくみたいな かおをして
あたりまえに しょくたくに すわり
わたしを なかせたり
ぼんやりした かおにしたり
にかいから
とびおりたくなるように させたりして
わたしを こわがらせた
でも
あるひ
とつぜん
いなくなって
いまでは
たまにしか
かおをみせない
さわると
ちょっとひんやりとして
なまあたたかい
こなっぽいやつ
たそがれ
いまはもう
こわくない
もっとこわいものがあることを
しったから