【1件のLINE】
たった1件のLINEで
気持ちがぱあっとなるときもあるし
なんっかもやもやするときもあるし
深読みして気分わるくなるときもあるし
ほんま勘弁してくれ、文字
文字ってつよいやん
字面がつよいし、残像もひどいやん
考えすぎたら忘れられないどころか
ますますクッキリするやん
引きずるし
今の私みたいに
あぁーもやもやするわー
【目が覚めると】
急に地面に足がついている感覚にハッとする時がある
視界がぱあっと晴れたようなかんじ
ぜんぶに焦点があっているようなかんじ
世界の謎がひとつずつ解明されていくとき
法則の成り立ちを理解したとき
じぶんだけの恋が終わったとき
高かった壁も、存外手が届くと気づいたとき
目が覚めたみたいに視界が開ける
これからあと何回、目が覚めるだろう
目が覚めるたびにおとなになってきたみたいだ
そう思うとすこし淋しい
もう目覚めたくないな、なんて
覚めない夢の中にいられることに憧れる
【私の当たり前】
あたりまえ…
毎日かならずメイクする
毎日かならず朝ごはんを食べる
…
私の当たり前はそれくらいかな?
あっ、あと
なるべくいつもおなじでいる
【街の明かり】
学生の4年間、京都に暮らしていた。
京都の街は、建築の規制もあってかどこも低層で茶色くて、等しく賑やかですこし浮かれた学生たちと観光客で溢れていた。
その感情とパワーの激しさについていけなくて逃げ込んだ先はお洒落な大人のあつまるカフェだったり、地下鉄の階段に入り口のある深夜のクラブだったり、なんにせよアンダーグラウンドなサブカルチャーの宝庫で、居心地はよかったけれど、そんな所にはまだふさわしくない自分の未熟さを思い知ったりした。
6階にあるマンションの窓から見る東山にはあかりがぽつぽつ灯るのが見えるだけで、さらに、当時辛い恋をしていた私には、京都は入り込まないと暮らしていけないとても重い街だった。
京都を愛する人たちには申し訳ないのだけど。
姉の暮らす街にたまたま遊びに行き、その街の空の広さ、明るさ、光の多さには驚いた。
ワインの空瓶が奔放に転がっているマンションのベランダでタバコを吸いながら眺めた並んだ高層ビルの航空障害灯、赤い光が一定のリズムで点滅するのを見つめながら、心が静かに落ち着いていくのがわかった。深呼吸をした。
海沿いにあるその街は、道路が広くて街路樹が多い。高いビルの間の欅の下にはカフェが広がり、自由でおおらかなビジネスマンが笑いながら横断歩道を横切っていった。
この街に暮らしたい、と思った。
六甲山から街の明かりを見下ろしたり、夜の照明が美しいビルを見上げたりする時、いつもその時の気持ちを思い出す。
私は今、光のたくさん溢れるこの街で暮らしている。
【七夕】
中学生の頃だったような気がする
天の川は、銀河系の星々だと教わった
銀河系に存在する無数の恒星や惑星を見ているんだと
ロマンのないこというー!なんて女子が言った
教師はその言葉に大きく笑った
私は、震えていた
その壮大な景色を想像しようとして震えていた
想像の域を超えた偉大すぎる宇宙の世界、
音もなく動く巨星を、巨大なガスの惑星たちを
私は見ている…ということ??
生きていることのふしぎ、
今ここに偶然生まれて、恋をしたり、幻滅したり
すごく大切なことを知ったような気持ちになったり、
世界の終わりのような後悔をしたり、
とても些細でささやかな命を生きていることのふしぎ
あなたにめぐり会えないことも、
そう思えば当たり前のことなのかもしれない