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9/13/2024, 11:09:30 AM

【夜明け前】


道はどこかへつながっているのだ
果物も肉も腐る直前が最も旨いのだ
追い詰められた鼠は猫を噛むのだ
夜明け前の空がいちばん暗いのだ
だから心配いらない、行ってこい

9/12/2024, 12:16:37 PM

【本気の恋】


ってなんだろうね?

いつだって本当に好きだったけどな

自分の時間、心、人生、自分の何かを懸けて真剣に向き合う様を本気というなら、
そんな相手に向き合って、そんな相手の本気に本気で応えたいと思ったのが最後の恋だった
それが今の家族をつくった

本当に好きだよ、と言ってくれた相手は妻子のもとに帰ったし、
初めて恋をした、と言ってくれた相手は別の女を妊娠させて結婚したし、
ずっと好きだよ、と言ってくれた相手は略奪婚で若社長になったし

恋はいつだって真剣だ
想いを遂げようが遂げまいが、伝えようが伝えまいが、
抱こうが抱かまいが、
結果がどうあれ、それが恋ならいつだって
とてもその人らしい、と思うのだ
本気とはそれはすこし違う気がするけれど

9/11/2024, 2:02:16 PM

【カレンダー】


 おばあちゃんちにあった「日めくり」。毎日ちがう格言が書かれていて、幼心にもなかなか興味深かった。今思えば当時のそれは特殊な道話であって、どうりで母があえて触れようとしなかったわけだと、物心ついてから妙に納得したのを覚えている。
 それにしても、ある世代から上のご年齢の方々のおたくでは、トイレにカレンダーが置かれていることが多い。あれはなぜなのだろう。世界一有名なねずみさんたちの描かれた保険会社のカレンダー、接骨医院の卓上カレンダー、酒屋さんのシンプルな日めくりカレンダーなど、大きさ、紙質、仕様などの違いがあればさらに種類は多い。

 ゴッドハンドのいる整体に通っていた。先生のご自宅に伺って施術してもらうのだけれど、そこのお手洗いはすごかった。
 ドアには書道で格言の書かれた週めくりカレンダー。壁際の飾り棚には3つの立方体に書かれた数字でそれぞれ月日をつくる木の置物。ペーパーホルダーの上には手帳サイズの365日カレンダー。その上には「君ならできる!」とあの熱いひとが叫ぶ週めくりカレンダー。
…どうしてこれほどまでカレンダーが必要なのか。
なにか鬼気迫るものを感じる。
なにを確認しているのですか先生。
それはトイレでしないといけない確認なのですか先生。
私の仙腸関節は分かるのですか先生。
ほんとうに分かるのですか先生。ほんとに?え?

ひょっとしたら私もあと20年ほどするとわかるのかもしれない。カレンダーのカレンダーとして以上の存在意義が。

9/11/2024, 8:59:03 AM

【喪失感】


その言葉が当てはまる感情を私はまだ知らない。ような気がする。
大人を四半世紀やってきてもまだ出会ったことがないのか、それともその言葉より先に踏み込みすぎたのか。
いずれにしろ、そういえばその言葉を自分で使ったことがない。
落としてしまったもの、置いてきてしまったもの、その席が空いてしまった存在、取り戻せない光、枯れてしまった花、二度と会えないひとたち。
時間の経過が早まるほどに驚くほど次々消えていくから、自分の感じるそれをその言葉で表現する機会がなかったのかもしれない。失くすことに慣れていくわけでもあるまいし。

9/9/2024, 12:23:02 PM

【世界に一つだけ】


星の王子さまを思い出すような…。
どれだって同じような星だけど、あのどれかひとつにぼくの花がいる、だからその星は特別なんだ
台詞までは覚えていないけど、王子さまはそのようなことを言う。
あの地平線、輝くのはどこかに君を隠しているからなのもそうだろうね。

ただの石ころ、ただの綿の布、ただの風、ただのペットボトル、ただの落ち葉。
君が触れたもの、君が愛したもの、君がきらいなもの、
とくべつな君に関わるものはすべて、
世界に一つだけのとくべつなもの。

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