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5/13/2025, 2:34:18 PM

【記憶の海】


おじいちゃんが転んで骨折したのは何年だったかな。

とか言って、スマホの検索アプリを開きかけて、
我に返って閉じる。
Googleさんが知ってるわけなかろうて。

5/12/2025, 10:19:08 AM

【ただきみだけ】


公園がすこし赤く染まる時刻
あのグラウンドでボールを蹴っているはずの
君の汗と砂埃を思う

指示の声、ふざける笑い声、
リラックスした帰り道
笑っている君の足取りは、軽いだろうか

同級生と渡り廊下で
好きな男の子の話をした30年前の夕焼け
青から赤に変わる、でも決して混ざらない、
その美しいグラデーションを
今でもはっきりと思い出せる

君もいつか思い出すのだろうか
夕暮れのにおい、風、空の色
友だちの声、ひとりの帰り道、ブランコの軋む音
電車の音、僕を呼ぶ声

思い出すといいな
いつもこの広い空が、君の上に広がるといいな

5/10/2025, 4:43:10 AM

【夢を描け】


夢なんて見るもんじゃない
語るもんじゃない
叶えるものだから

なんて歌詞に、
当時の私がどれだけ脅かされたことか
そう生きられる誰かがうらやましく
同時にそうじゃない自分がうしろめたく
苦笑いしてたっけ

夢を描け
誰も口にしたことのない価値観、
言ったもん勝ちのパワーワードに流されるな
たくさん夢を描け、山ほど描けばいい
山積みの夢を見上げて途方に暮れた時、
道が見えるのだから

5/9/2025, 4:39:28 AM

【届かない】


体調がまだ万全ではないまま、急ぎの処理のために出勤したが、目論見の半分しか進まなかった。
その処理bのための前段階の処理aの担当者が突然退職するということで、後任への引き継ぎのために、処理aは来週まで延ばされているのだという。
私のつくるデータを使用しなければ次の処理cが進まないから鼻水をすすりながらあわてて出勤したのに。
先々週に申し出て今月末で退職する彼女は、隣の席から私の体調を心配してくれている。
彼女の2年間の在職中の様々な理由から退職慰留はなく、公に送別会もしてもらえないのだそうだ。
なんてことだ。
個性と信頼は、多くの企業では影響し合わないのだとふと我に帰る。そして信頼は安心と一体だ。

急ぎの処理が進まず、他にもやることは多々あれどなんとなく手持ち無沙汰である。
鼻水は洪水のように出続ける。
薬の効果だと内科医は言っていたけど本当だろうか。
それならと、普段お世話になっている皆さまが早く帰れ早く帰れ、帰って寝なさいとねぎらってくださる。
お言葉に甘えて、お手洗いでティッシュを大量に消費したあとそそくさと帰宅する。

帰り道、大通りから入った路地のアパートに1人の男性を見かけた。
ノーネクタイのスーツを着た若い男性。
アパートの2階を見上げて、困ったように笑っている。
アポイントの時間を間違えたのか、いるはずの恋人が不在なのか、自宅の鍵を無くしてどうにか入ろうとしているのか。
メジャーリーグで活躍しているヒーローのような顔立ちの長身の若者だった。
そういう日ってあるよね。わかるよ。
ただ、退職意思は3ヶ月前に伝えると迷惑にならないよ。一緒に仕事してるのは法律とか契約とかじゃなくて、心を持ったひとだからね。
次の会社でもがんばってね。
届くといいな。

処理aはひょっとして私の仕事になるのだろうか。

5/7/2025, 12:04:47 PM

【木漏れ日】


きのうは一気に書きすぎたから
きょうは休憩

緑の葉っぱがきらきらするのが好きだ
そのなかで君がしゃがんでカタバミを集めてくる
澄んだ目で真剣に
驚きをもって手渡してくれる花束
なんて素敵
なんて愛しさ

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