平穏な日常
穏やかな午後。あなたのことを考えながら微睡む。
漂う意識の中であなたに出会った。
しなやかに伸びた黒髪に誘われた。
現実ではないとわかっていてもあなたに惹かれてしまった。
忘れようと努めても忘れられなかった思い出。
底が見えないほどの青さの海。
あなたのはしゃぐ姿が映えて眩しかった。
水平線へと沈む夕焼けに照らされたあなたの赤く火照った横顔。
時の流れに抗うようにあの日へ還りたい。
喧嘩もしたし、仲直りもした。
お出かけもしたし、家でゴロゴロもした。
あの頃に戻れれば、今みたいにあなたを失わずにいられたのだろうか。
「運命」なんてあなたは笑っていたけど、そんなものに従いたくなかったでしょう?
僕の前から消えても僕の中からは消え去ってほしくない。
夢で会えればいい。無意識な時に逢えるだけでいい。
もう一度だけ二人であの頃を過ごそうよ。
波乱万丈とは程遠い平穏な日常を。
愛と平和
愛があれば優しくできる。
愛があると真なる愛を巡り、戦わなければいけない。
平和を叶えれば、争いは無くなる。
争いがなくなれば、「あなたを守りたい」と言った私の存在意義は無くなる。
愛と平和は同じ場所に存在するのかな。
そんなことをあなたと語り合うより、一緒にご飯でも食べに行こうか。
こんな愛に満ちた日々で平和だなぁと感じることを繰り返してあなたと生きていたい。
過ぎ去った日々
あなたと別れるタイミングには少し遅すぎた。
あなたを好きになった瞬間にこの先を思い描けなかったなら今日まで一緒にいなかっただろうね。
あなたとただの顔見知りでいられたなら、あなたの事を気にせずさっと消えることができたのに。
あなたが髪飾りを落としていくような、そそっかしい人でなければよかったのに。
あなたと紡いだ日々は、俺にとって捨てるにはもったいないくらいの思い出になっている。
「おまえなんて嫌いだ」とはっきりあなたに言えたら
あなたは俺に幻滅してくれるかな。
あなたが俺を嫌いになってくれたらそれだけでいいのに。
「あなたがつらくなってしまうから別れる」なんて、そんな優しさみせないでよ。
あなたが俺を傷つけられると思ってるなんて傲慢だよ。
二人一緒にいれるなら、多少の傷は勲章に変わるよ。
過ぎ去った日々を捨てるくらいなら
俺は新しい恋愛をしたくない。
お金より大事なもの
僕はあなたが好きだ。
毎日でも会いたいくらい好きだ。
あなたに会うためならどんな天気でも迎え撃とう。
あなたが喜ぶならどんなことでもしよう。
辛酸もなめるし、劇薬でも喜んで平らげる。
天才にも道化にでもなってみせるし教祖や信者にもなろう。
あなたが黒と言うなら僕の中でも黒だし、白と言うなら白になる。
愛せと言うなら愛する、嫌いというなら消えるさ。
あなたの欲しいものなら何でも捧げよう。
言葉は意味を失くし、愛は飾りへと姿を変え、お金はただの紙になる。
あなたの存在の前に万物は無価値なガラクタへと変容する。
僕はガラクタを飾り、愛でる趣味はない。
あなたはお金よりも何よりも大事なんだ。
月夜
真っ暗な夜空の下、月光に照らされた君は果敢なげに僕を見つめていた。
その瞳は僕を痛めつけるようにギラギラと光る。
君の姿を見かける度に僕の胸は空を舞い、鼓動を速めた。
ステンドグラスを宿したような瞳に呑み込まれてしまいそうになる。
君は僕を見つめ、何も語らない。ただ、手を差し出す。
僕はその手を取り、出鱈目なステップを踏む。
細く伸びた指先が僕の手の中に収まる。
君の手は花びらのように軽かった。
汚れた社会の中を泳ぐ君はマーメイドのように汚れない。
「今夜は眠れなそう」君は呟いた。
君の赤く火照った頬が変な気を起こさせようとする。
月夜の下、僕は無垢な花弁をそっと抱き締めた。
夢が覚めないように。
熱を冷まさないように。
君に僕の気持ちが伝わらないように。
僕は紅い花へ接吻をしてしまった。