伝えたい
心の中で思うことは簡単なのにどうして、口には出せないのだろう。難しい言葉じゃない。誰かを否定する言葉ではない。口にすることで損をするわけでもないし、お金が減るわけでもない。ただ、面と向かって言うとなると恥ずかしさが込み上げてくる。毎日何度も思うのに毎日言うことができない。この言葉を言わないでずっと過ごすなんていうことはできない。誰かの言葉を借りて言うことはしたくない、自分の言葉で自分の口から言いたい。この大きな感情を込めた大切な言葉を。あなたの手を握り締め、目を合わせて、そっと優しくこの言葉を優しくかけてあげたい。。「あなたと一緒に生きていられてよかった」なんて少しよそよそしい感じがする。だから、「いつもありがとう。愛してるよ」とあなたに伝えたい。
この場所で
「あなたとはもう一緒にはいられない」と言われてからもう何年たったのだろうか。あなたはどこへ行ってしまったの。あなたと過ごしたあの日々はどこへ還ってしまったの。私が今覚えているのは、あなたの後ろ姿と海へ沈んでゆく真っ赤な夕焼けだけ。幾つもあなたへ手紙を送っても届いているかはわからない。もう一度、あなたと笑い合っていた日へ戻りたい。だから、私は今日も此処であなたを待つの。
あなたと出逢ったこの場所で。
誰もがみんな
町を歩けばカップルで歩く人がいる。友達数人のグループで笑い話をしながら歩く人たちもいる。誰かと電話をしながら足早に行く人もいれば、一人でのんびりと音楽を聴きながら歩く人がいる。そこには優劣や惨めさを感じとることはない。でも、心のなかには寂しさや怒り、脆く崩れそうな感情が震えながらでもあるのかもしれない。私は寒空の下、一人佇んでいるとそう思うことがある。孤独に冷えきり、幽かな灯りで暖をとるように生きる現代では、一人を強く感じることが多いだろう。だけど誰も一人ではない。誰もがみんな誰かに愛され、誰かに必要とされるときが来るのだろうから。
友達や家族、恋人ほかにも言葉で表せない関係性でもきっといつか、あなたは誰かの必要不可欠な存在になる。もしくは、誰かを必要不可欠な存在とするかも。そう思えば、寂しさで世界に溶けていきそうな夜でも、少しの灯りで自分の輪郭を取り戻せるから。
花束
花束というものはいつ貰うのだろうね。感謝を伝える相手や日々募る想いを伝える相手が私だったらもらえるのだろうか。それじゃあ私はいつになっても貰えなそうだね。私は誰かから感謝をされるために行動するわけでは無いし、私へと想いを馳せる人はそう多くはいないだろう。しかし、花束が日常にあれば少しは凍えるような寂しさは軽くなるのだろうかね。
きっと、私が花を貰うときはそれが最初で最期であろう。
スマイル
もっと笑顔でー!と盛り上げる声がした。私は仮面を着けたように表情を変える。この一瞬を絶えず流れている時間軸から切り離す"写真"なんて私は嫌いだ。スマイルをしようとするとへにゃってなるのが嫌な訳じゃない。写真写りが悪いのが気になるから嫌いな訳じゃない!スマイルして目が細くなると不細工だから嫌っているのでもない。ただ、どんな美しいものでも色褪せてしまうのに、写真だけは色褪せないのが許せないだけなの。
いつか、私の笑顔はちゃんと褪せているかな。