ねむ

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6/11/2023, 4:02:56 PM

空は白んで薄明の時、街は静かに目を覚ます。
走る列車の音、心臓の鼓動、切る風は呼気、朝露の匂い。

日は昇って旦明の時、照らされた街は動き出す。
人の音、車の音、混ざってごうごう、街の呼吸。

日が傾いて黄昏時、眠る支度を街は始める。
引きゆくざわめき、「また明日」の声、帰宅を促すカラスの呼びかけ。

日は落ち暗い宵の時、街は静かに寛いでいる。
少しの灯り、夜の民の歌、鉄の鳥が轟音で飛ぶ。

そして静まる未明の時、街はようやく眠りに就く。
あるのは虫達の話し声と、木の葉達の囁きだけ。


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「街」

5/27/2023, 10:15:10 AM

「人類がまだ月に行けなかったほどの遠い古の話だが」
「ああ」
「月には兎や蟹や鰐などの生き物と、若い女性や老婆、あとは月の女神が住んでいると考えられていたらしい
「楽園か何かと思ってたんだろうか」
「なんにも住んではいなかったのにな」
「だな。そこに初めて住んだのは結局人類で、」
「今や何者も住んではいない……」
「あるのは廃墟と、過去の亡霊たちくらいだな」
「あとはおれたちのような、」
「亡霊のなりそこない」
「……虚しいものだな」
「"賑やかな亡霊"もいるから、しんみりはしないかもな」
「いいや、あれは"騒がしい"。被害をもたらすからな」
「はいはい、冗談言ってる場合じゃないってね」
「笑えないがな」
「すんませんね。まぁ、今日もちゃっちゃとやりましょっかねぇ」
「ああ。……そうだな、古の月の女神にでも祈ってから行くか」
「いいねそれ」
「"一日も早く、亡霊が鎮まりますよう"」
「"一日も早く、昔みたいに笑える場所になりますよう"」


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月に願いを

5/17/2023, 9:24:46 AM

「わたしを愛しているというのなら、今すぐここで自害してみせなさい」


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愛があれば何でもできる?

5/15/2023, 9:51:38 AM

生まれ変わったら、蒲公英の綿毛になりたいな。
そして、流れ者として、あちこちを旅するのだ。
良い土地があれば、そこに落ち着いてもいいだろう。
そんな素晴らしい期待と希望で胸を膨らませ、わたしは今、飛び立った。
ああ、風が気持ち良い。


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風に身をまかせ

5/13/2023, 1:13:51 AM

「うちの子かわいい!このまま大きくならないでほしいなぁ〜」

……なんて、幼子に対して、冗談でも言ってはいけません。
何故ならその子はあなたの期待に応えようと、成長を止めてしまうからです。
体はいやでも大人になりますが、その子の心は。
心はきっと、二度と大人になることは無い。

子供は純真。純粋。素直。無垢。あなたの全てをそのままに受け取る。
"言霊"という言葉もあるのです、どうか、どうかその口に出す言葉は、よくよく考えたものにしてくださいますよう。


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子供のままで

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