ねむ

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5/10/2023, 1:33:34 AM

「行ってきます」
きみはそう言って、わたしに手を振る。
わたしは手を振り返して、答えた。
「行ってらっしゃい」
いつもの風景。
けれど、なんだろう。なにか引っかかる。
きみを、行かせてはいけないと。なぜかそう考えている。
きみを引き留めようと、手を伸ば——せない。体が動かない。
どうして、声も出ない。きみを、なんだか、止めなくっちゃあいけないのに。
なんで、なんで、これじゃあきみを、



「っ!! 、……」
夢。古い記憶が元の、夢。
それを理解して、深く、深く、溜息をつく。
あの日から——きみが帰って来なかった、あの日から。
「……一体、何十年経ってると思ってるんだか」


——――――――――――――
忘れられない、いつまでも。

5/6/2023, 4:52:51 PM

「お前さ、将来の夢なに?」
「んー……天文学者、かなぁ」
「へェ〜っ、いいねぇ!夢がある」
「まぁぼく数字苦手なんだけど」
「言うだけタダだぜ」
「まぁね。ちなみにきみの夢は?」
「おれ?う〜ん……スーパーヒーローとか?」
「すごい夢だね」
「おう。スーパーパワーとかで世界を守るんだよ」
「いいじゃん」
「だろ。まぁおれドジだから、ヘタに力持った方が怖いんだけどよ」
「気を付けなきゃね」
「だな」

今更なにを願ったところで無駄だと分かっているからこそ、
ぼくらはこうしてくだらない夢を語り合うんだ。

ああ、今まさに落ちて来ているというあの大きな星が、憎い。


――――――――――――――――――――—
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。

5/3/2023, 12:42:55 PM

この文を読んでくれたそこのあなた
読んでくれて「ありがとう」

はーとをくれたあなた
わたしの文章を好きになってくれて「ありがとう」

いつもはーとをくれるあなた
いつも好きでいてくれて「ありがとう」

さいきんもろもろ事情でぜんぜん書けないけど、書けるときは書きますからね

5/1/2023, 4:15:02 AM

一昨日は今日だった。昨日は今日だった。今日は今日だった。明日も今日だ。明後日も今日だ。

なんて幸せなのだろう。
もう二度と新しい日は訪れない。
もう二度と、あなたが居なくなることは無い。
なんて、幸せな世界なのだろう。

新しいものは恐怖だ。未知は恐怖だ。失われていくのは恐怖だ。さよならは恐怖だ。
大事な過去を手放すのなら、
未来なんて、無くていい。

わたしだけここに、置いていけ。
閉じられたこの、幸せな世界に。


———
楽園

4/25/2023, 5:12:57 PM

夜空に一筋、煌めく焔光。
冥いそらから、星渡りの船に乗って帰って来た、誰かの光。
きっと太陽系中を渡り歩いて、仕事を終えて、この星に帰ってきたのだ。
あの光に『お疲れ様』と祈るのと同時に、お願いごとをしてもいいだろう。
だって、ああいったものに、そうしてもよいという、古い古いおまじないがあるのだから。
だから此度もわたしは願うのだ、
『またあなたが、こうして無事に帰って来られますよう』


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流れ星に願いを

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