なんてことだろう、私は今とても自分を泣かせてやりたい。
泣かせて、夜に悩めること気持ちを水に流してあげたい。
でも、心から流せるわけじゃない。傷はいつまでも痛み続ける。その鎮痛剤として、溢れんばかりの感情をながしてほしい。
大人になると、泣くのにもまた苦労する。
大きくなれば涙脆くなる、そう誰かが言っていた。
けどそれは、不穏な感情を振りかざして泣いてる訳じゃなく、なにか過去のものに縋って泣くのが上手くなるだけで、感情のままに泣くのは下手になる。
だから、私は私を泣かしてやりたい。
感情のまま、感情の暴力とも言える涙をひとりだけが知るこの場で。
泣かしてやりたい。
そこに悩める気持ちも、明日の不安も、考えすぎて死への不安も、全て流してあげたい。
目覚めるまでに、朝を待つ。
朝を待って、朝に舞う。
そしたら空でも飛べる気がして、空に舞う。
でも、足は地に着いていて、草についた露が冷たい。
でもそれなんかも気持ちよくて、朝に舞う。
目覚めるまでに、夜を待つ。
夜を待って、夜に立つ。
そしたら空には星が舞っていて、空に立つ。
でも、足は地に着いていて、星にさえ手が届かない。
でもそれなんかもどうでも良くて、夜に立つ。
目覚めるまでに、私を待つ。
私を待って、私を刺す。
傷んだ心が治る気がして、私は待つ。
でも、足は地に着いていて、地はすぐに崩れる。
でもそれなんかも気持ち悪くて、私を刺す。
心に残るようなことは、気の利いた事は言えないけど。
ひとりでいたい。そう思う日はあれどきっと、きっと心のどこかではきっと。
ひとりにはなりたくない。
ひとりは怖い。
ひとりは寂しい。
誰か語らう人が欲しい。
共感できる人が欲しい。
友達が欲しい。
なんなら親友が欲しい。
けど友達の定義がどこなのか分からない。
確信できる友達が欲しい。
完璧にひとりは嫌だ。
きっと、ひとりでいたいと言った私の心根はきっと、誰よりも欲深いもの。
澄んだ瞳に見つめられるは、罪悪。
潤んだ瞳に蔑まれるは、嬉々。
私の正は、冒涜。
私の生は、規律。
下品な口に問われるは、嫌悪。
濁りし瞳に映るは、私。
澄んだ瞳に見つめられるは、罪悪。
濁りし瞳に映るは、私。
酔う匂い、酔い匂い、君放つ「大好き」は一体どこまでが本物なの?
「酔ってない時にまた言ってよ、今じゃなくて。」
電話越しに聞こえる居酒屋特有の騒音に、君の声がかき消されるようで、聞き逃さないように、聞き直さないように。
「え、なんて?」結局、私の耳が敗北したようで。