五感を癒す、夏の風物詩。
聴覚を癒す、風鈴の音。
視覚を癒す、入道雲。
触覚を癒す、水流。
嗅覚を癒す、雨上がりのアスファルト。
味覚を癒す、夏野菜。
昔の先人が残した、風物詩は耐えに絶えない。
そして、私が何時ぞ、五感を震わしたあの夏さえも。
味気のない日常にガーベラを添えてみる。
ガーベラと言えど、色は十人十色。選んでみる。
大切に、大切に愛でてみる。
傷つけないように、世話をしてみる。
いつかは、ガーベラも枯れゆく。
いくら大切にしても、傷つけぬようにしても、枯れてゆく。
ふらりと花屋によってみる。
小さな蕾のフリージアを見つける。
フリージアと言えど、色は十人十色。ガーベラと重ねる。
大切に、大切に愛でてみる。
傷つけないように、慎重に世話をしてみる。
でも、フリージアもいつかは枯れゆく。
いくら大切にしても、傷つけぬようにしても、生命は衰え消えゆく。
…ある日、ふらりと花屋によってみる。
みんなが赤を選べば、赤が好きになるんですか?
みんなが青を選べば、青が好きなんですか?
私個々の色味じゃなくて、同じ色の中にひとつ違う色がある方が嫌なのですか?
私個々の色味を表すより、周りの視線が気になるのですか?
『誰もあなたの色なんて見てないよ』なんて言ってくれますか?
それ、なんの助けにもならないんです。悲しくなるんです。
私の好きな色はコレと、胸を張って言えたのなら、それが私の個性が綺麗に光った瞬間では無いのかと。
どうかその日がいつか、私にも、あなたにも、来る様に。
祈る。願う。祈る。
あなたがいたから今の私がいるとか、そんな風にあなたに言うつもりはなくて、それは決して感謝していない訳では無い。
あなたがいた、あなたの軌道修正が効いて今こうして、息ている。
ただ、あなたはたまに危ない道を渡らせようとしてくる。
辛くて仕方が無い道を歩ませる。痛いくらいの針のむしろ。
人生そんなもんだと割り切るしかないほどの、辛いことも。
人生はこんなにも素敵だとおもえるほどの、楽しいことも。あなたは私の意思で経験させる。
私が私であるために、あなたは私を擁護する。
私の意思はあなたを擁護する。
私が私であるために、私は私の意思は、私を擁護する。
あなたという、私がいる。
私という、あなたがいる。
人間悩みが尽きない。
人間苦痛が過ぎない。
人間鈍痛が増さない。
誰かが言った、時間が解決してくれる。
周りはそうかもしれない、周りは。
私はそうじゃない。きっとね。
誰かが言った、痛みも必要だ。
けど鈍い痛みが続くのも、鋭い痛みが突如来るのも、私は耐えられない。
私はそんなに強くない。きっとね。