エグチーセット

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12/10/2023, 2:35:57 PM

近くでふたつの群れが縄張り争いをし出した。
一触即発と身構えていたが事態は想定していたより先に動いていた。開始から一時間とかからず決着がついたことにも驚いている。
それより被害である。
場合によっては二次災害を警戒せねばならない。
慎重に偵察に向かうもこちらも小規模だった。
小さな怪我はあれど致命傷になるものはいないらしい。
しかしどうしても。そう観察していれば縄張り争いをしていた二つの群れとは別の群れ。
そこがいやに盛んであった。
どうやら仲間として受け入れたらしい。


仲間

12/9/2023, 2:54:39 PM

無言で差し出された手を、握っていた。
しばらく歩いていたが反応がない。あっていたのか。間違っていたのか。
もうしばらく歩いてみた。
いよいよ心配になって来た。
そっと顔を盗み見る。
するとそこには夕日のせいではないくらい赤い顔をした君がいた。
つられて赤くなり手が汗ばんできた。
でも、解くのが惜しくなりやはり無言で歩いた。

12/8/2023, 11:12:28 AM

ありがとう、ごめん。
先輩は申し訳なさそうに頭を下げた。
なんとなく解っていたので特にショックは受けていない。と言い聞かせてこの日やって来たのはカラオケである。
私の異変に面白おかしく切り込み根掘り葉掘り聞き出した友だち三人に担ぎ込まれたのだ。
何故人は失恋するとカラオケに行くのか。
(正確には連れ出されたのだが拒絶しなかった時点で来たも同然である)
解らないまま曲を入れていく。
一曲目は私だ。入れた曲も、先輩のおすすめ。
なんとなく解っていたしショックも受けていない。
そう告白する前に言い聞かせ振られてからも呪文の様に唱えた。
嘘です。本当はめちゃくちゃショックです。
泣きながら歌った点数は酷いもので私の顔も凄まじいものだったろうが友達と抱き合った温度だけは優しいものだった。

12/7/2023, 6:39:11 PM

部屋に死体が横たわっている。
それも上司の死体だ。
思わず後退り足をもつれさせる。危うく転びそうになるが慌てて壁に手をついた。できるだけ、最初の痕跡以外残さない様努めた。
何故なら明らかに他殺であるからだ。
花瓶が割れ花と水が死体、特に頭部を中心に広がっている。
その中に僅かに残る血液。
そして倒れる間際に机のものをひっくり返したのだ。部屋の片隅にまでその痕跡が及んでいた。

12/6/2023, 2:14:07 PM

逆さままさか。地面が頭上に見える。
かと思えば振り回される様に天地が入れ替わる。
地面。天井。地面。天井。
絶え間なく景色が変わり見ていたものが後ろに流れていく。
悲鳴の中重力に身を委ねる。
髪の毛だけでなく上着の裾もはためいていたが徐々に減速していきやがて止まった。どうやらここまでの様だ。

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