エグチーセット

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12/5/2023, 2:38:41 PM

もう三時になってしまった。
十一時に布団に入り睡魔どころか眠気すら現れない。
時おり寝返りをうてども効果がない。ようやく眠気が訪れたかと思えばすぐに覚醒してしまった。
思い切ってスマホをみて後悔をする。
まさか自分が思っているよりショックだったらしい。ご飯もしっかり食べ仕事でミスもしていない。
だから、なんともないと思っていた。
そして、思っていただけだった。
ショックを受けている自分へのショック。悲しいと思うくらいにはあれに愛着があったのかという安心感。
二つの間で揺れ動いていた。
実家の犬が死に五年。
犬小屋の処分がされる。
それも明日。
不意に思い出す犬の姿。
できれば、壊してほしく無い。死んだことを認めたく無い、唯一の抵抗が、犬小屋だった。
じわりと目頭が熱くなる。
私は心を押し殺す様に布団の中で丸くなった。

眠れないほど

12/4/2023, 2:32:09 PM

現実を侵食する夢。
夢を捕食する現実。
恐ろしいくらい厳格さ。
神々しいくらいの悍ましさ。
それらをもって互いを食い荒らし引きちぎっている。
私たちはそんな狭間で立ち往生をしているに過ぎない。どちらかに大きく偏ることを恐れながら魅了されていた。
身を委ねたいと願いながら嫌悪していた。
今日も我々の足元で蠢いている、夢と現実。


夢と現実

12/3/2023, 2:52:01 PM

さよならはいわないでどこへ行こう。
心配させることになるだろうが仕方がない。必ず戻るなどという嘘もつけそうにない。
こうでもしないと決心が鈍るのだ。
一応、共通の友人にメッセージは託してある。
あとは友人次第かと船に乗り出した。
ゆっくりと、沖から離れるのと同じくらい、寂しさが込み上げてきた。引き換えそうと実行できないのが船のいいところか。
やはり船にして正解だったと沖を見る。
すると友人を伴って相方の顔が見えた。
涙でぐちゃぐちゃの顔を見られないのも、船のいいところか。

12/2/2023, 2:56:42 PM

キアロスクーロ(明暗対比)だと光さす庭を眺めた。
日差しは柔らかく草花を撫でている。相対するように周りが陰り互いを際立たせている。しかし日向はほんの一部。狭い隙間からたった一輪の花のために刺した様な光。
レンブラントの夜警ですら多くの人に光を当てているというのに。
だがこうなってくるとより強く対比させてみたいものだ。
光は全てを潰しかねないほどに。
影は夜を思わせるほどに。
光と闇の狭間で花を愛でてみたい。

12/1/2023, 2:53:00 PM

不意に甘い香りがした。香りのするものを身につけたり置いたりしてこなかった身だが、この香りは悪い心地がしなかった。
香りの出どころを探す様に鼻をひくつかせる。
ドアが開いているのをこれ幸いと盗み見もした。
そうして元いた場所から二つ先のドアからより甘い香りが漂う。
香りの正体は生けられた花だった。
香りに詳しくなければ花もよくわかっていない。
ただテレビで見る様な高そうな花が生けられている。
ドラックストアで手に入る品であれば、思い切って買ってみるかと思っていたが、これは諦めざるを得ない。
もうすこし香りを楽しむ為ゆっくりと通り過ぎることにした。

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